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日大三高野球部「書類送検」の衝撃  名門を蝕んだ暴力の正体と、監督・部長が語った「指導」の歪み

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日大三高

高校野球界の最高峰、東京・町田の地に君臨する日本大学第三高校(日大三高)。その漆黒のユニフォームは、勝利への執念と鍛え上げられた技術の象徴であった。しかし今、その聖域から漏れ聞こえてきたのは、歓喜の咆哮ではなく、肉体を打つ鈍い音と、押し殺された呻き声だった。

警視庁町田署は2026年2月12日、部員への暴行容疑で野球部監督(50代)と部長(40代)を、さらに別部員への傷害容疑で元コーチ(20代)を書類送検した。大手報道が日本中に駆け巡ったこの一報は、単なる一校の不祥事を超え、「令和の高校野球」が抱える根深い病理を白日の下にさらしたのである。

 

なぜ「強打の日大三高」で暴力は連鎖したのか?元コーチ解任の裏側

事件の凄惨さは、その具体的な手口に現れている。報道によれば、元コーチは2024年、練習中に部員の顔面を殴打。その衝撃は凄まじく、全治不詳の怪我を負わせるという、教育者としてはおよそ考えられない一線を越えていた。

さらに、組織を統率すべき立場にある監督と部長までもが、複数の部員に対して平手打ちや蹴るなどの暴行に関与していた疑いが持たれている。町田署の調べに対し、彼らは事実関係を概ね認めた上で、「指導の一環だった」という趣旨の供述を繰り返しているという。

だが、冷静に考えれば、これほど支離滅裂な論理はない。技術の向上や精神の鍛錬を目的とする「指導」が、なぜ対象である生徒の肉体を損なう「暴力」へと変貌を遂げたのか。そこには、言葉による対話を放棄し、安易な恐怖支配に逃げ込んだ指導者たちの「怠慢」が透けて見える。

 

小倉イズムの喪失か。名将が遺した「選手を信じる勇気」との乖離

日大三高には、前監督である小倉全由氏が築き上げた、あまりにも巨大な遺産がある。小倉氏はかつて「練習は厳しく、しかしグラウンドを出れば親子のようでありたい」と語り、選手の自主性を重んじる指導で知られた。

しかし、そのバトンを引き継いだ現体制において、いつしか「勝利」という結果だけが独り歩きを始めたのではないか。伝統という重圧が、指導者たちを焦らせ、短絡的な力による統制へと駆り立てた可能性は否定できない。SNSに寄せられるファンの声には、「三高の野球はもっと明るかったはずだ」という悲嘆で溢れている。

ある保護者の告白は、名門というブランドの陰に隠された残酷な現実を突いている。 「子供たちは、幼い頃から夢見た甲子園という舞台を人質に取られていたのです。ここで声を上げれば、試合に出られない。その恐怖が、彼らの口を固く閉ざさせていたのです」

今後の焦点はどこになるのか?2026年夏の大会への影響と高野連の処分

 

最も懸念されているのは、現役部員たちの未来だろう。今後は、日本高校野球連盟(高野連)による対外試合禁止等の処分内容が焦点となる。

  • 出場停止の可能性
    過去の事例に照らせば、指導者による組織的な体罰や隠蔽が認められた場合、数ヶ月の対外試合禁止処分が下る可能性がある。

  • 夏の大会への影響
    処分期間によっては、2026年夏の西東京大会への出場に黄色信号が灯る。

教育の場としての再生を優先すべきか、部員の夢を守るべきか。高野連は極めて難しい判断を迫られることになるだろう。

日本大学第三高校が再生するためには、「教育者」としての真価が問われる

今回の書類送検という司法の介入は、教育現場における「暴力の聖域」を解体するための最後通牒である。学校側は既に元コーチを解任し、監督らに対しても厳正な処分を下す方針を示している。しかし、トカゲの尻尾切りに終わらせては、悲劇は必ず繰り返される。

問われているのは、日本大学という巨大組織全体のガバナンスであり、そして私たち社会の眼差しだ。私たちは、彼らに何を求めていたのか。ただ勝つことか、それとも野球を通じて一人の人間として成長することか。

日大三高が、再び町田の丘から堂々と胸を張って甲子園を目指すためには、まず自らの過ちを完全に直視し、膿を出し切る必要がある。「暴力」という名の劇薬を使わなければ勝てないチームに、名門を名乗る資格はない。

白球を追う少年たちの瞳に、恐怖ではなく、希望の光が宿る日はいつ来るのか。その再生への道のりは、あまりにも険しいが、避けては通れない茨の道である。

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ライター:

SNSやサブカルチャーを好むフリーライター。大学在学時からライターとして活動しており、Webマーケティング分野からナイトカルチャー分野までさまざまな執筆経験を持つ。

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