
泉佐野市は、不要品の再流通を後押しする新施策として、リユースプラットフォーム「おいくら」の導入に踏み切った。廃棄物削減と循環型社会の構築を目的に、官民連携で市民参加型のリユース促進に動き出す。
泉佐野市が「おいくら」と連携開始 不要品リユース促進で廃棄物削減へ
マーケットエンタープライズによると、大阪府泉佐野市は同社が運営するリユースプラットフォーム「おいくら」と連携し、不要品の再利用を促す新施策を19日に開始した。市民は、同サービスを通じて複数のリユースショップに一括査定を依頼でき、不要品の買取手続きを簡便に進められる。
市はこれまでも譲渡情報の掲載などリユース推進に取り組んできたが、粗大ごみの量が減らない現状を踏まえ、新たなアプローチが必要と判断した。今回の導入により、廃棄物処理量の削減や処理コストの最適化が期待される。
大幅に便利になる不要品処分 大型家具・家電も出張買取で即日対応
泉佐野市では粗大ごみの戸別収集が事前申請制で、市民が自ら屋外へ運び出す必要があった。大型家具や重量物、あるいは家電リサイクル法対象製品などは負担が大きく、リユース可能品がそのまま廃棄されてしまうケースも少なくなかった。
「おいくら」では、希望すればスタッフが自宅内部まで訪問し、運び出しを含めた出張買取に対応する。依頼から最短当日での売却も可能で、使える家電なら買取対象となるため、廃棄を回避できる仕組みが広がる。さらに、市の費用負担が生じない点も特徴だ。
自治体が抱える廃棄物処理の課題と、リユース導入がもたらす都市メリット
中核都市に共通する課題として、粗大ごみ処理費用の増加がある。泉佐野市でも、まだ使用可能な家具や家電が大量に廃棄されている現状が課題とされてきた。自治体が自力で回収・分別・処理を続けるには限界があり、民間との連携は選択肢として現実味を増していた。
「おいくら」の導入によって、市民の不要品処分手段は多様化し、再流通の可能性が広がる。市ホームページに設置される査定依頼への導線は19日午後に公開される予定で、市民の利用を後押しする。同時に、廃棄物減量や財政負担の軽減といった自治体側のメリットも見込まれる。
リユース普及を底上げする官民連携モデル マーケットエンタープライズの戦略
マーケットエンタープライズは「持続可能な社会を実現する最適化商社」を掲げ、ネット型リユース事業で成長してきた。全国286自治体にサービスが導入され、利用者は延べ940万人に達するなど、官民連携の実績も蓄積している。
同社は地方創生SDGs官民連携プラットフォームへの参加、楽器寄附ふるさと納税の運営など、社会貢献型の施策にも積極的だ。泉佐野市との今回の連携は、同社の掲げる「再利用を当たり前にする社会」形成に向けた重要なステップとなる。
記事の結び
不要品処分の選択肢が広がることで、市民の意識は「捨てる」から「循環させる」へと変わりつつある。自治体と民間が協働し、生活者が参加する仕組みが整えば、地域発の循環型社会づくりはさらに進展するだろう。泉佐野市の取り組みは、全国の自治体にとって新たなモデルケースになり得る。



