
NHK党の党首・立花孝志容疑者(58)が名誉毀損の疑いで逮捕された。発言の真偽を争う意思はないと語りつつ、「不起訴あるいは無罪を確信している」と強気の姿勢を崩さない。
しかし、竹内英明元兵庫県議をめぐる中傷が死後も続いた事実は、社会に深い波紋を広げている。
政界からメディア、法曹、評論家、芸能界まで。
この異例の逮捕劇に、著名人たちの声が次々と上がった。
「人を傷つけてもよい自由は存在しない」―報ステ・大越健介キャスターの言葉が波紋
10日夜、『報道ステーション』のスタジオ。重い沈黙のあと、大越健介キャスターが静かに口を開いた。
「自由とは、好き勝手にしていいという意味ではない。人を傷つけても良い自由など存在しないと思います」
言論の自由のもろさ、SNS社会の危うさを訴えるような言葉だった。
番組では、元大阪地検検事・亀井正貴弁護士の解説も紹介された。
「名誉毀損での逮捕は非常に珍しい。死者に対する名誉毀損の立証は困難だが、生前の発言は虚偽と立証できる可能性が高い」
異例の逮捕に司法関係者が注目する中、大越氏の「言論の責任」に踏み込んだコメントは、SNS上で共感を呼んだ。
成田悠輔氏「現代の魔女狩り問題」―炎上と逮捕のあいだにある“構造”
TBS系『ゴゴスマ』では、経済学者・成田悠輔氏がこう指摘した。
「この問題は現代の“魔女狩り”のようだ。インターネットでは誰もが発信者となり、真偽が曖昧なまま“敵”を作り出して集団で攻撃してしまう」
そしてこう続けた。
「立花さん個人を罰しても、根本の社会構造は変わらない。むしろ火に油を注ぐ恐れがある」
言論空間の暴走と司法の介入。両者のバランスを問う冷静な視点だ。
辛坊治郎氏「民主主義の危機」―“警察が名誉毀損で逮捕”への疑義
元読売テレビキャスターの辛坊治郎氏も、自身のYouTubeチャンネルで強い懸念を示した。
「国家権力が名誉毀損で政治家を逮捕するのは、由々しき事態。民事で解決すべき問題に警察権力が介入するのは間違っている」
辛坊氏は、言論の自由と警察権の線引きに一石を投じた。
政治的発言が刑事事件に発展する。その前例が生まれることの危うさを指摘している。
山口真由氏「より慎重であってもよかった」―法曹の目線から
元財務官僚で弁護士の山口真由氏は、「逃亡の恐れ」を理由とする逮捕の正当性に疑問を呈した。
「名誉毀損の逮捕率は1割に満たない。証拠隠滅の恐れが少ない中で、身柄拘束に踏み切ったのはギリギリの判断だと思う」
同時に、「今回の逮捕はオールドメディアとSNSの対立を象徴している」とも分析。
司法判断が、社会の“言論空間の境界線”を左右するとの見立てを示した。
カズレーザー「逮捕があるとは思わなかった」―驚きと戸惑い
フジテレビ系『サン!シャイン』に出演したカズレーザーは率直だった。
「このケースで逮捕があるんだなと驚きました」
SNS時代における“発言のスピード”を問題視しながらも、「理解が追いつかない瞬間がある」と語った。
ネット社会が抱える“速度の暴力”を体感するコメントでもあった。
高須克弥院長「遠因は自分にある」―まさかの“謝罪”投稿
高須クリニックの高須克弥院長は、X(旧Twitter)で自身の関与を“反省”した。
「立花候補の行動の遠因は自分にあります。逃げ隠れせず取り調べに協力します」
さらに、「自分が斎藤元彦知事を応援していた熱が、立花さんに感染した」と述べ、「ごめんなさい」と投稿。
ネット上では「責任を感じる姿勢が印象的」との声が相次いだ。
ひろゆき氏「刑務所に長期間行くことになりそう」―冷静な分析
実業家・西村博之(ひろゆき)氏は、法律的な観点から次のように投稿している。
「兵庫県警は検察と相談した上で逮捕しているので起訴はほぼ確定。有罪になる可能性が高い」
立花容疑者が脅迫罪で執行猶予中であることにも触れ、
「懲役と合わせて刑務所に長期間行くことになりそう」
と分析した。法的リスクを冷静に見通す視点が注目を集めた。
「政治ゴロ」批判から「構造問題」論まで 社会に問われる“発言の責任”
評論家や一般投稿者の声にも共通しているのは、「影響力ある立場での発言責任」への厳しい視線だ。
SNS上では、「言葉の暴力」「政治家の自覚欠如」という批判が多数を占める一方で、
「逮捕という手段は行き過ぎでは」という少数意見も根強い。
社会は今、言論の自由と誹謗中傷の境界をどこに引くのか。
立花孝志容疑者の事件は、その問いを突きつけている。



