
学歴詐称問題で揺れる伊東市。田久保眞紀市長に対し、市民有志が1万人超の辞職要求署名を提出。市政停滞への危機感が市民の行動を後押しした。
学歴詐称から始まった混乱
静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が、市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記していたものの、実際には除籍だったことが判明し、市政が大きく揺れている。
市議会は辞職勧告決議を可決し、さらに百条委員会を設置。真相解明を進めているが、市長は疑惑の卒業証書を公開せず、大学への照会や検察への提出もしていない。記者会見などでも「大学側が確認すべきだった」と発言し、責任を大学に転嫁するような姿勢を見せている。
こうした強硬姿勢の背景には、周囲の弁護士が「偽物とは思わない」と口にしているとの証言もあるが、説明責任を果たさないまま市政は停滞を続けている。
市政はストップ状態に
学歴問題は行政運営にも直撃している。9月1日開会予定の市議会定例会では、補正予算案すら提出できない異常事態に陥っている。
市役所職員が委縮し、重要な意思決定が滞ることで、市民生活や地域経済に影響が及ぶ懸念が広がっている。
市民1万人超が辞職要求署名
こうした事態に危機感を抱いた市民有志は、8月上旬から市長の辞職を求める署名活動を始めた。最終日の26日までに集まった署名は1万158筆。人口規模から見ても極めて大きな数字である。
27日、署名代表の元市議・濱田修一郎氏ら5人が市役所を訪れ、市長に署名簿を直接手渡した。
辞職要求声明の全文要旨
濱田氏らが市長に渡した「辞職要求声明」には、次のような内容が記されていた。
- 市長はこれまで、自らの行動や発言について誠意ある説明責任を果たしていない。
- 百条委員会や記者会見での態度も、市政を軽んじていると受け取らざるを得ない。
- 学歴問題が起きて以降、市役所では意思決定が滞り、市政は深刻な状況にある。
- 職員は委縮し、市民生活や市内経済に不可欠な施策が先送りされ、暮らしに影響が出ている。
- 市長は虚偽の経歴を公表し、なお誠意ある説明を果たしていない。市政停滞を招いた責任は重大である。
- 何の大義もなく市議会の解散を口にすることは言語道断である。