GP山本社長と共に(提供:Shining)
アメリカでホームレス経験、そして世界一周をするなど「セナノタビ」でSNSで知られる大橋星南氏。
学生団体の運営を中心に活動している株式会社Shiningを率い、世界一周を経て「世界平和」を語る若きリーダーは、どのようにしてその価値観を形づくり、事業を育ててきたのか。
そして、その転機となったのがグローバルパートナーズ・山本社長との出会いだった──。今回は大橋氏に破天荒なキャリアの真意と、未来に向けた覚悟を聞いた。
“旅するホームレス起業家”誕生の背景
「ホームレス起業家」。その一風変わった肩書きの持ち主が、大橋星南さんだ。
株式会社Shiningの代表取締役としてZ世代の学生支援事業を展開しつつ、世界各地を旅している。型破りな人生を歩んできた彼の原点には、一度すべてを失った過去がある。
大学在学中、恋人に仕事とお金を奪われたことをきっかけに人生を変えようとアメリカへ飛んだ大橋さん。
しかし渡米早々、クレジットカードを紛失しホームレス状態に。路上で寝泊まりしながら、ゼロ円でのアメリカ横断を敢行。その体験を通じて「生き抜く力」と「挑戦する覚悟」を手に入れた。
帰国後はさらにスケールを拡大し、世界一周の旅へ。アフリカ縦断から南米、中東、北米まで、極限の環境と多様な人々との出会いを通じて、彼の中に一つの信念が芽生えた。
それは「自分の行動が誰かのきっかけになればいい」という、揺るぎない想いだった。
Shining立ち上げの原点とZ世代支援の仕組み
Shiningのはじまりは、大学3年の春。レッドブルが主催する「Can You Make It?」の決勝で敗れたことが、学生団体「Shining」設立の起点だった。
「応援してくれたみんなに何か返したい」。その思いで始めた学生団体の設立が、偶然にもコロナ禍と重なり、オンライン上で爆発的に拡大。団体設立から1年後の2021年には法人化。
現在は全国の学生団体と企業をつなぐプラットフォームとして成長し、年間2000〜3000人の学生が関わるまでになった。
イベント運営とLINEアカウントを活用した企業マッチングが主軸で、企業にとっては次世代との接点創出の場に、学生にとっては挑戦のきっかけを得られる場となっている。
学生と企業をつなぐ独自の価値提供
(提供:Shining)
Shiningの強みは「親しみやすさ」と「接続の仕組み」にある。代表自身が学生団体の出身であることに加え、“旅するキャラクター”として学生からの信頼を得ている点が大きい。
またイベント時には電子名刺を全参加者に配布し、イベント後も互いの情報にアクセスできる設計を導入。社会人と学生、互いに話しかけづらいという壁をテクノロジーで柔らかくする工夫もなされている。
年間4回のピッチイベントには毎回30団体、200名が参加し、企業側にとっても数百名規模の出会いの場となる。
単なる“交流”にとどまらず、将来の採用やプロジェクトに発展するケースも出てきており、学生と企業の双方にとって価値のある場を創出している。
グローバルパートナーズとの出会い
グローバルパートナーズ(以下GP)との出会いのきっかけは?
大橋
元々インターンをしていたトップコネクト株式会社の内田社長を通じて、イベントに山本社長がゲスト参加されたのが最初の出会いです。
その後、池袋で一緒にお酒を飲んで“死ぬ”ような夜を過ごしたことが、距離が一気に縮まったきっかけでした(笑)。
大橋
大きなきっかけは「山本塾」という若者向けのビジネス塾に入ったことです。当時、Shiningはボロボロの状態で。売上もほとんどなく、仲間だったインターン生もどんどん辞めていって…。
マネタイズもできていないし、組織も崩壊寸前で。そこから泣きつくような気持ちで山本塾に入り、そこでの学びで一気に立て直すことができました。
売上10倍・組織再生の鍵となった“営業と弱者戦略”
山本塾では、具体的にどんなことを学ばれたのでしょうか?
大橋
大きく分けて2つあります。ひとつは「営業の基本」です。
僕はグローバルパートナーズさんで電話営業の練習をさせていただいたのですが、最初に作った資料を山本社長に見てもらったとき、「この色は見づらい」「文字が小さすぎる」「この説明じゃ伝わらない」と、めちゃくちゃに指摘されました(笑)。
でもそれは、「伝える力を磨け」という愛あるアドバイスだったんです。おかげで、相手にきちんと伝わる資料の作り方や、話の進め方がわかるようになりました。
もうひとつは、「自分の立場に合った戦い方」です。僕たちは学生で、大企業のようなお金や人脈はありません。でも、だからこそ、限られたリソースでどう勝負するかが大事なんだと教えてもらいました。
たとえば、「いろんな学生が来ます」と広くアピールするより、「意欲が高くて行動力のある学生と出会えます」と伝えたほうが、企業にも響く。
そうやって、自分たちの強みを明確にすることで、結果的に営業もうまくいくようになったんです。
世界を見て、視座が「日本」から「地球」へ
世界一周時での思い出(提供:Shining)
2024年には世界一周の旅にも出られましたね。どんな旅だったのでしょう?
大橋
大学生活の最後に、思いきって世界一周に出ました。アフリカを南から北まで2カ月かけて縦断して、そのあと南米をまわって、アメリカ、中東と、全部で4カ月くらい旅をしました。
一番きつかったのはキリマンジャロ登山です。高山病で意識も体も限界に近かったけど、そんな中でも「まだ進める」って思えたんですよね。
自分の中に、まだ出し切れていない力があるんだって感じられた瞬間でした。
大橋
すごく変わりました。それまでは「日本の若者を元気にしたい」とか「自分の会社を成功させたい」といった、どちらかというと身近な目標が中心でした。
でも実際にさまざまな国をまわって、人種や文化、経済状況の違いに触れる中で、「人として何が大切か」という本質的な問いを意識するようになりました。
今は、若者がどの国でも挑戦できて、生き生きと働けるような社会をつくることが、自分の次の目標だと感じています。
そういった環境が広がれば、結果的に世界が少しずつ平和になっていく──そんな希望を持って活動を続けています。
大橋
これからの課題は「継続」です。これまで僕が中心に引っ張ってきましたが、今年の3月に大学を退学して、学生じゃなくなりました。だからこそ、僕がいなくてもちゃんと回るような仕組みを作らないといけない。
具体的には、イベントをただ大きくするのではなく、内容の質を高めて、毎回しっかり成果が出るものにしていきたいと思っています。
そして将来的には、日本の若者だけじゃなく、世界中の若者が挑戦できる場所をつくりたいですね。
恩返しではなく“恩送り”で未来へつなぐ
GP山本社長や経営者の先輩たちと(提供:Shining)
山本社長に、今あらためて伝えたいことはありますか?
大橋
まずは、心からの感謝です。そして、“恩送り”をしたいと思っています。山本社長から受け取ったあたたかさや学びを、僕自身が次の世代に渡していくことで、その想いを社会に循環させていきたいと思っています。
実際、僕も自分が後輩と関わるときには、山本社長から学んだことだけでなく、行動も真似してみんなに還元できるようにしています。
たとえば、後輩をご飯に連れて行ったときは絶対に財布を出させませんし、「相談したいことがあったらいつでも連絡していいよ」と伝えて、スケジュールもオープンにしています。
いまでは200人くらいの人が僕のGoogleカレンダーを見られる状態です。こうやって、誰かにしてもらったことを、次の誰かへ返していくのが、自分にできる恩送りの形だと思っています。
大橋
「超えたい」とはあまり思っていません。山本社長は、僕にとって特別な存在で、同じステージで競うような相手というより、「尊敬する人生の先輩」という感覚が強いですね。
なので、僕自身は、自分のやり方で、自分らしい人生を歩んでいきたいと思っています。会社をどれだけ大きくしたかとか、お金をどれだけ稼いだかだけが成功ではないはずです。
むしろ、「何を大切にして生きているか」「誰にどんな影響を与えられるか」ということが、自分にとっての本当の成功だと思っています。
大橋
若者がもっと自由に挑戦できる社会をつくることです。
そして、Shiningがその“きっかけ”を提供する存在であり続けたい。いつか、国という境目がなくなって、世界中の人が「人として」つながれる未来が来ることを信じています。
その未来に少しでも近づけるように、これからも仲間と一緒に、一歩ずつ進んでいきたいです。
◎会社概要
・会社名:株式会社 Shining
・設立日:2020年4月20日
・URL:https://shining-group.net/
◎プロフィール
大橋 星南
株式会社 Shining 代表取締役社長 兼 CEO
アメリカでクレジットカードを無くすことをきっかけに、3ヶ月0円でアメリカ横断の経験を乗り越え、講演活動を開始。新時代を創る”ことをビジョンに、全ての若者に挑戦するきっかけを創るため、学生団体OneChanceを創業。年間100回以上のイベント、年間2000名〜3000名学生を集め、数々の若者のキャリアを支援。現在、学生団体と企業のマッチングと採用マーケティング支援を行っている。