ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

アシックス、カンガルーレザー使用を年内で全面中止 動物福祉のグローバル潮流でアウトな理由

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
リンクをコピー
カンガルーレザーの使用不可、アシックス

スポーツ用品大手のアシックスは7月11日、2025年末をもってサッカー用スパイクシューズなどの製品におけるカンガルーレザーの使用を全面的に中止すると発表した。

 

代替素材による高性能・高耐久性の実現が可能となったことに加え、動物愛護と倫理的調達の観点から方針を転換した。プーマ、ナイキ、アディダスに続く主要メーカーの決断となり、業界全体の素材調達方針が一段と透明化・倫理化へと進んでいる。

アシックスが対象とするのは、サッカー用スパイク、フットサル用シューズ、ラグビー用スパイクなど。これまで軽量かつしなやかでプロアスリートからの支持が高かったが、欧米を中心に広がるアニマルウェルフェアの概念が、カンガルーレザーの社会的評価を一変させつつある。

 

カンガルーレザーの背景と動物福祉上の課題

オーストラリアでは毎年約150万頭のカンガルーが「商業狩猟」され、その多くは皮革産業に供給されてきた。これらは畜産ではなく野生動物であり、銃器による夜間狩猟が主流。親カンガルーが撃たれた際、その袋の中にいる赤ちゃんカンガルー(“joey”)は、打撃や斬殺といった「迅速な殺処分」が求められるが、方法の非人道性が問題視されてきた。

こうした現状に対して、国際動物保護団体「Humane Society International(HSI)」は、商業狩猟の透明性の欠如と倫理的な欠点を繰り返し指摘。オーストラリア国内では「Animals Australia」や「Voiceless」なども同様の立場をとっている。

また、米国の動物福祉団体「Center for a Humane Economy」は2020年代初頭より、「Kangaroos Are Not Shoes」キャンペーンを展開。ナイキやアディダスなどへの使用中止要請を続け、ナイキが2023年に使用中止を発表した際には、勝利声明を出していた。

 

主要メーカーが次々と使用中止へ

こうした国際世論を背景に、2021年にはプーマが、2023年にはナイキが全面的に使用を終了。アディダスも2024年5月に調達の中止を公表している。今回のアシックスの発表は、これらに追随するかたちとなった。

同社は「高品質で科学的研究に基づいた機能性や快適性を継続的に追求し、トップアスリートをはじめ、多くのお客さまのパフォーマンス向上に寄与する製品の提供に努めている」とした上で、「従来のカンガルーレザー使用製品を超える高性能かつ持続可能性の高い製品が開発できたこと、そして市場から高い評価を得たことが、今回の判断を後押しした」と説明している。

 

倫理と機能の両立へ

今回の決断は、素材開発の技術革新によって「倫理性とパフォーマンスの両立」が可能であることを象徴する動きでもある。製品開発において倫理的判断が求められる時代において、企業の調達方針は単なる技術選定ではなく、ブランド価値やサステナビリティの観点からもESG評価にも直結する重要な経営判断となっている。

アシックスは声明で「今後も倫理的な調達を重視し、持続可能な事業活動を通じて、世界中のすべての人々の心身の健康向上に寄与する製品、サービス、環境の提供をめざします」と表明した。

 

Tags

ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

関連記事

タグ

To Top