若年層の6割が「歯がシミる」経験 7月25日は「知覚過敏の日」

Haleonジャパン株式会社(東京都港区)は6月25日、「歯がシミる症状に関する実態調査」の結果を公表した。7月25日の「知覚過敏の日」に向けて実施された同調査では、20~30代の約60%が歯がシミる経験をしている一方、約80%が知覚過敏への対処を行っていない実態が明らかとなった。
SNS風の表現を借りれば、こうした人々は“#知覚過敏スルー界隈”に属する。若年層を中心に、症状の軽視とケア不足が社会的な広がりを見せている。
「一時的なもの」と誤認 ケアはホワイトニングや口臭対策が優先に
調査では、20~30代の49%が「月1回以上」、33%が「週1回以上」歯がシミると回答。にもかかわらず、知覚過敏用の歯磨き粉を使用しているのは21%にとどまった。
その背景には、知覚過敏症状を「一時的なもの」と捉え、自然に治ると信じる認識がある。また、同世代では歯磨き粉に求める効果として「口臭ケア(47%)」や「ホワイトニング(46%)」を挙げる声が多く、知覚過敏ケアの優先度が相対的に低いことが浮き彫りになった。

生活にも影響、放置で重症化リスクも 専門家が指摘する「危険な放置」
愛知学院大学 歯学部の前迫真由美助教(歯科保存学・審美歯科)は、知覚過敏について「象牙質の露出により神経が刺激され、鋭い痛みが一時的に生じる症状」と説明する。原因としては、加齢や歯周病による歯ぐきの後退、歯ぎしり、過剰なブラッシング、酸性飲料の摂取などがあるという。

特に夏場に人気のスポーツドリンクや炭酸飲料、柑橘系ジュースなどは、歯の表面を溶かしやすく、知覚過敏を引き起こすリスクが高まる。さらに、痛みを避けて食べ物を噛まなくなったり、冷たい飲食物を避けたりすることで、食生活のバランスが崩れ、栄養不足を招く可能性もある。
前迫氏は「症状が悪化すれば、神経の炎症や感染を引き起こし、最終的には神経を抜く処置が必要になることもある」として、軽視の危険性を訴える。
硝酸カリウム入り歯磨き粉で8割に改善傾向 セルフケアと歯科受診を推奨
Haleonによれば、硝酸カリウム配合の知覚過敏用歯磨き粉を使用することで、8割以上のユーザーに症状改善の自覚があったという。近年では、虫歯予防、口臭ケア、ホワイトニングなど多機能な製品も増え、選択肢は広がっている。
また、歯がシミる症状をかばってブラッシングを避けると、歯垢が蓄積して虫歯や歯周病のリスクが高まるとされ、早期のケアと歯科医院での診断の重要性が強調された。
「知覚過敏スルー界隈」から脱却を 自覚とケアが鍵に
Haleonの調査は、知覚過敏が若年層のライフスタイルや健康に与える影響を改めて浮き彫りにした。痛みを“我慢するもの”と捉えず、早期のケアと情報の正しい理解が求められている。
7月25日の「知覚過敏の日」を機に、#知覚過敏スルー界隈に属さないための行動変容が求められる。