
違法薬物事件の“被害告発者”が一転、容疑者として逮捕された件について、新たな情報が浮かび上がってきた。東京科学大学に在籍していた小西木菜容疑者(21)は、不動産投資会社「レーサム」創業者・田中剛容疑者(60)との間で薬物の使用や性的加害を受けたとする証言を残しており、事件の構図が改めて注目を集めている。
高級ホテルでの“異様なパーティー” 浮かぶ田中容疑者の常習性
事件の舞台は都内の超高級ホテル。2024年6月、コカイン0.859グラムと覚醒剤0.208グラムを所持していた疑いで、田中剛容疑者および職業不詳の奥本美穂容疑者が逮捕されたが、その場に同席していたのが、小西容疑者だった。
小西容疑者は当初、田中容疑者から金銭目的でホテルに呼び出されていた。「性的な接触はせず、女性同士が演技的に振る舞うだけ」という説明のもと、スカウトマン経由で高額案件に応じたという。初回の報酬は300万円に及び、「1時間20万円」の計算で謝礼が現金封筒で手渡された。
パーティーには複数の若い女性が同席し、田中容疑者が薬物を使用しながら、女性たちに下着姿でポーズや振る舞いを指示する異様な空間だったとされる。被害女性の証言では、「歯ブラシを使って下着越しに動作をする」「AVを観ながら見守る」といった指示があったという。
都内アテンダーが語る“高額案件”の実態 田中は氷山の一角
この種の「案件」は、実は田中容疑者に限った話ではない。都内繁華街で飲食店を営む一方、業界内で“アテンダー”として長年活動してきた40代男性が、匿名を条件に話を明かす。
「田中さんの案件は有名ですよ。こちらの界隈では“リッツ”って呼ばれていた。リッツ・カールトンのスイートに数日こもって、昼も夜も女性を入れ替える。謝礼もケタ違いでした」
この男性は、港区や六本木界隈の“遊び慣れた富裕層”の中で、若い女性との接待を含むプライベートな紹介を斡旋してきたという。ターゲットになるのは、いわゆる港区女子界隈の女性たち。あるいはスカウトで地方出身で金銭に困窮した学生や、モデル活動をかじったことのあるフリーター女性なども対象となり、アテンダーのファームにリストとして並ぶのだという。
「もちろん全部が薬物案件じゃない。でも、“一線超える”クライアントも珍しくない。田中さんの他にも、某有名IT企業の創業者や、中小企業の経営者なんかも“リスト入り”してる。月に一回、関東の某県から団体で訪れる社長連中たちも有名だという。今回の逮捕後の報道を見るに、田中さんの案件は群を抜いて“演出”が細かかったみたいですね。撮影NGだけどポージング指示あり。まるで自主映画の監督みたいですね」
同氏によれば、薬物の使用や性的強要が行き過ぎると、斡旋側でもすぐに噂が広まるので、暗黙に取り扱いを休止することもあるという。ただ、田中氏の件は、月に4桁万円の紹介料が入る破格の美味しい案件でもあり、アテンダーにとってもありがたい人だったのだろうと推察する。
「でも結局、女の子に直接DMを送ったり、別ルートで探してくる。大金を使ってでも自分の世界を作りたいって欲求があるんです。今回の逮捕は氷山の一角。田中さんの逮捕で、業界全体がざわついてるのは間違いないです」。
薬物強要と“薬物クリーム” 小西容疑者の告発
事件の核心は、薬物の強要とされる行為にある。小西容疑者は、田中容疑者から紙巻き状のマリファナを口に押し込まれたり、クリームに混ぜた薬物を身体に塗布された経験を語っている。とりわけ衝撃的なのは、「薬物入りクリームを性器に塗られ、さらに指を挿入された」とする証言だ。
また、小西容疑者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、2024年8月には丸の内警察署に不同意性交等致傷罪で刑事告訴状を提出していた。実際に当日撮影されたという動画や写真も存在しており、田中容疑者が白い粉を取り扱っていた様子や、女性に具体的なポーズを強要していた様子が記録されていたとされる。
一方で、これまで断片的だった田中容疑者と小西容疑者とのトラブルの詳細も、徐々に明らかになりつつある。発端となったのは、2024年6月下旬、都内の高級ホテルに滞在していた小西容疑者が、異常な状況を察知し、交際相手に助けを求めたことだった。その交際相手がホテルの部屋に突入し、田中容疑者と直接対峙。そこでの騒動が、警察の出動を招く事態へと発展したとされている。
美人局で田中を強請ろうとしたという見方も?
小西容疑者は、自身がアテンダー(仲介者)から提示された条件について、「性行為の実行までは求められない」との認識だったという。だが、現場での行為が次第にエスカレートし、合意を逸脱したと感じたことで、「話が違う」と交際相手に連絡した経緯があるようだ。ただ一方で、小西容疑者はこれ以前にも田中容疑者の主催する会に複数回参加していた事実もあり、経緯の複雑さがうかがえる。
こうした一連の経過について、SNS上では「これは美人局(つつもたせ)ではないか」「田中の薬物使用を強請ろうとしたという見方も成り立つよな」といった指摘も飛び交っている。実際に、遊び慣れた経営者が羽目を外した末に、逆に女性側に弱みを握られ、「証拠写真を盾に数百万単位で脅される」といった事例が都市伝説のように語られている。
「○○の会社の社長は、キメセクプレイの様子を女に録られて2000万円払って黙らせたらしい」「逆に、強請ってきた女の方が裏の人脈で“教育”された」といった“半笑いの与太話”が、界隈では酒の肴になるほど日常化しているのが実情だ。もちろん真偽のほどは定かではないが、「表ではビジネス、裏ではスキャンダル」という“二重帳簿の社長業”がまかり通っているのが、この世界のリアルでもある。
彼氏はなぜ突撃したのか?なぜ通報しなかったのか
今回の田中容疑者の一件も、一夜で300万円を支払ってくれる男である。交渉次第では、4桁の金額を口止め料として、もぎ取れるのではと考える人がでてくるのも、欲望うずめくこの世界ではあり得る話ではある。もちろん、小西容疑者は純粋に彼氏に事前に事情を話して助けを求めたのだろう。
ただ、わからないのは、彼氏に事情を話したうえで、再度田中容疑者の元に向かわせることを了承する彼氏の存在である。多くの場合、「二度とそんなところに行くな」「関わるな」と注意するのが一般的ではないか。再度向かわせるというのは証拠を掴もうとするからなのであれば理解できるのだが、それ以外の事情で愛する彼女にそんなリスクをおかさせる心境がよくわからない。
単純に話を聞いた時点で関わりを断ち切らせるか、警察に通報しておけば、このような逮捕劇にはつながらなかっただけに、当人も悔やんでも悔やみきれないだろう。それとも、小西容疑者サイドにはよほどお金が必要な事情があったのだろうか。
実際に今回の小西容疑者と田中容疑者の件も、警察に通報したのは田中容疑者側のようだ。警察が現場に到着するまでの間に、田中容疑者がトイレで薬物を廃棄しようとしていた様子が報道でも描写されている。両者の主張や立場が錯綜するなかで、事件の全容解明が強く求められている。
“被害者”から一転“容疑者”に 不可解な警視庁の対応
2025年5月、小西容疑者は田中容疑者と同様に薬物所持の容疑で逮捕された。FLASHの報道によれば、小西容疑者は帰国時の空港で尿検査を受けたが、薬物反応は陰性だったという。「告訴人であり、被害者である小西さんをなぜこのタイミングで逮捕し、しかも名前や大学名まで報道機関にリークするのか。それによって、今後同様の被害を訴えようとする女性が萎縮してしまう」と、小西容疑者の代理人加藤博太郎弁護士は強く批判している。
さらに、事件が起きた当時、警察官が現場に臨場しながら、現行犯逮捕に踏み切らず、数か月後に小西容疑者の逮捕へと進んだ経緯についても、「捜査の整合性が問われている」と指摘されている。
小西容疑者の反省と今後の協力意思
小西容疑者は、「薬物の使用を強要されたとはいえ、自分の判断で現場に行った以上、責任はある」と述べ、事件への反省を語っている。一方で、「薬物の使用が条件に含まれているとは一切聞かされていなかった」とも強調し、違法薬物への関与については強い違和感を表明した。
「自分の行動が批判されるのは理解していますが、それでも私は、田中容疑者に受けた加害の真実を捜査に伝えたい」と語っており、今後の捜査への全面協力の意志を明かしている。
真実はどこに?
今回の逮捕は、小西容疑者をめぐる報道の流れを大きく変えた。しかし、彼女の証言内容や当日の状況、さらには事後の精神的影響に照らせば、「加害と被害の境界」はきわめて曖昧であり、単なる薬物所持事件では語り尽くせない複雑な構図が浮かび上がる。
司法の判断は、果たしてどこまで人間の内面と葛藤を汲み取ることができるのか。被害と加害、富と性、そして沈黙と告発の狭間で、社会は今一度、分別を求められている。
小西容疑者は、報道されてきた通り、東京科学大学に通う才媛であり、学業や教養面でも高く評価されていた人物である。そんな彼女が、きらびやかな報酬に引かれ、想定外の領域に足を踏み入れたことで、逮捕という重い現実と向き合うこととなった。
しかし、若さとは可能性でもある。今回の一件は、たしかに手痛い失敗であり、社会的にも厳しい視線が注がれるであろう。それでも、彼女が自らの過ちと真正面から向き合い、そこから何を学び、どう立ち上がるのかは、本人次第だ。
高額報酬の誘惑、グレーゾーンとの接触――こうした現実は、決して特別な話ではなく、多くの大学生にとっても身近に存在しうる社会の影である。そこに踏み込んだ代償は決して軽くないが、それでも人生は長い。だからこそ、小西容疑者には、この危機を単なる転落で終わらせず、己の強さへと変えていく姿を、静かに期待したい。