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弘前城の絶景、最後の春 市民が語る見納めと再建への期待

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弘前城最後の春
DALL-Eで作成

青森県弘前市にある弘前城とその周囲を囲む弘前公園は、毎年春になると約2,600本の桜が咲き誇り、全国から花見客を集める日本有数の桜名所である。2025年4月16日から5月5日まで開催される「弘前さくらまつり」は、特別な意味を持つ年となる。というのも、弘前城天守と桜、さらには残雪をいただく岩木山という“三景”を一度に望める最後の春となるからだ。

 

地域のシンボル「弘前城」、修理工事で移設中

弘前城の天守は、石垣の修理にともない2015年に曳家(ひきや)によって移動された。現在も工事が続いており、天守が元の場所に戻るのは2026年秋の予定である。2025年中には、展望デッキの撤去や天守周辺のバリケード設置が始まる予定となっており、現在の位置から「桜・天守・岩木山」を一度に臨める絶景は、今年の春が見納めとなる。

この三景は、地域の観光振興に大きく寄与してきた。公益社団法人弘前観光コンベンション協会によると、桜まつり期間中には例年200万人以上が訪れ、市内の宿泊業、飲食業、観光ガイド業など幅広い産業を支える重要なイベントとなっている。

 

“桜守”がつなぐ、桜とまちの物語

弘前公園には、ソメイヨシノやシダレザクラ、八重桜など52種・約2,600本の桜が植えられている。その見事な咲きっぷりの背景には、「弘前方式」と呼ばれる独自の剪定・施肥・病害虫防除技術がある。これを支えるのが、地元の桜管理専門職「桜守(さくらもり)」の存在だ。

今年のまつりでは、桜守が推奨する「弘前桜七景」や「弘前七桜」、「弘前七輪咲き桜」など、“七”にまつわる3つの物語が紹介されている。中でも「花筏」や「春陽橋の夜桜」といった風景は、SNS映えも抜群で、近年は若年層の誘客にも貢献している。

 

ライトアップ、屋形船、展望台――多彩な体験がまちを彩る

「弘前さくらまつり」では、桜のライトアップや中濠観光舟、手漕ぎボート、弘前市役所屋上からの展望といった多彩な体験コンテンツも用意されている。なかでも、夜の水面に映る桜並木は訪問者から「人生で一度は見たい絶景」として高い評価を得ている。

こうした仕掛けにより、観光客の回遊性が高まり、滞在時間の延長や消費額の増加につながっている。市は桜の管理やイベント運営だけでなく、民間企業や市民団体との連携による観光施策の拡充も進めており、地域全体で観光資源を守る姿勢が鮮明だ。

 

東京から弘前までのアクセス情報

首都圏から訪れる旅行者にとって、弘前へのアクセス手段も重要なポイントである。以下に、代表的な3つの移動手段について所要時間や費用を比較した表を掲載する。

交通手段経路概要所要時間費用(片道・目安)特徴
新幹線+在来線東京駅 →(東北新幹線・はやぶさ)→ 新青森駅 →(JR奥羽本線)→ 弘前駅約3時間50分約18,360円最速・本数多く快適。天候に左右されにくい
夜行バス東京駅または新宿駅 → 弘前バスターミナル(直行または青森経由)約10〜11時間約6,000〜12,000円宿泊費を節約できる。費用重視向け
飛行機+バス羽田空港 → 青森空港 →(リムジンバス)→ 弘前駅約4時間約14,000〜26,000円時間短縮も可能。早割で安くなることも

旅行者は予算や滞在スタイルに応じて最適な移動手段を選ぶことができ、いずれの手段も弘前の春を楽しむための有力な選択肢となる。

市民が語る「見納め」と「次の弘前城」への思い

「桜・弘前城天守・岩木山」の三景がそろう風景が見納めとなることに、市民からは惜しむ声と前向きな期待が寄せられている。

「天守と桜と岩木山が一緒に見られるこの景色が見納めになるのは寂しい。毎年この風景を楽しみにしていたので、最後の春をしっかり目に焼き付けたい」(市内在住・60代女性)

「曳家で移動した天守にも愛着が湧いていた。今の位置からの眺めも好きだったので、戻ってしまうのは少し名残惜しい」(弘前市内の飲食店経営者)

一方で、修理工事を経て再び元の位置に戻る弘前城への期待も高い。

「元の位置に戻った天守と新しい景観がどのようになるのか楽しみ。観光客がさらに増えて、街が活気づくことを期待している」(市内在住・30代男性)

「修理が完了すれば、より安全で美しい弘前城が見られる。次の世代にもこの素晴らしい景色を残していけるのは嬉しい」(地元高校生)

こうした市民の声は『陸奥新報』『東奥日報』など地元紙にも取り上げられており、弘前城の修理と景観保全がいかに地域の誇りと結びついているかを物語っている。

 

三景の共演が果たしてきた役割、そしてこれから

「桜」「弘前城天守」「岩木山」という三つの絶景は、単なる風景ではなく、地域の誇りと結びついてきた。観光客が目にする景色の裏には、100年以上にわたる市民と職人たちの努力がある。

工事完了後は、元の位置に戻った天守と新たな景観整備により、再び新たな観光資源としての魅力が発信される見込みだ。だが、現在の姿を見られるのは、今年が最後となる。

訪れる者にとっては、過去と未来が交差する特別な春。地域にとっても、観光とまちづくりの節目となる記憶の季節となるだろう。

 

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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