
医薬品供給とAI経営支援が手を組む。自由診療クリニックの業務課題に向き合う二社の提携が、医療の現場を根底から変えようとしている。
自由診療市場で存在感を強めるニフジとzapathが提携
2025年4月、ニフジ株式会社と株式会社zapathは、自由診療クリニックにおける業務課題の解消を目的とした業務提携を発表した。医薬品を安定供給してきたニフジと、AIによる業務支援システム「ClinicHub」を提供するzapathという異業種の連携により、診療から医薬品発注までを一元管理する新たな仕組みが動き出す。
提携により「ClinicHub」上での医薬品の直接発注機能が実装され、予約状況と連動した在庫管理や業務フローの効率化が実現する見通しである。医療従事者の負担軽減とサービスの質向上という二つの視点から、大きな効果が期待されている。
医薬品発注とAIの融合で業務効率化と医療の質を両立
この提携の最大の特徴は、クリニック運営における“裏方業務”への着眼にある。zapathが展開する「ClinicHub」は、予約管理から電子カルテ、問診、会計業務までを一元化するAIプラットフォームとして評価されてきた。
ここにニフジの医薬品供給機能が加わることで、診療予約から在庫管理・発注までを一気通貫で処理する体制が整う。医療そのものを変えるのではなく、「診療以外の負担を極限まで削る」支援の在り方は、特に小規模な自由診療クリニックにとって不可欠なインフラとなり得る。
「自由診療をもっと自由に」――事業の背後にある共通哲学
急成長を続ける自由診療市場の背景には、患者ニーズの多様化とともに、医療機関側の経営課題がある。美容医療や予防医療など、新たな領域に挑む開業医にとって、限られた人員で複雑な業務を回すことは大きな負担である。
ニフジ代表の後藤啓太氏は「医師が本来の医療に専念できる環境を整えることが、結果として患者の満足度向上につながる」と語る。zapathの四戸淳弘氏も「ITは医療現場の主役にはなれないが、最高の裏方にはなれる」と語り、現場に溶け込む形での支援を理念に掲げている。
両者に共通するのは、現場主義と余計な負荷をかけない設計思想である。単なるシステム提供ではなく、医師やスタッフの視点に立った“寄り添うテクノロジー”を標榜している点に、哲学の深さがある。
選ばれる支援とは何か――現場主義から生まれる信頼
この提携が業界にもたらす示唆は少なくない。自由診療という拡大市場においても、単に価格やスペックを競うのではなく、「どれだけ現場に寄り添えるか」という視点が、これからの支援サービスの評価軸になっていく。
ニフジとzapathの連携は、“主役にならない”ことを選んだ支援の形だ。しかしその慎ましさこそが、クリニックにとっての大きな安心と価値につながる。今後、医療現場で信頼される支援とは何かを考えるうえで、両社の提携はひとつのモデルケースとなりそうだ。