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マーチャント・バンカーズの適時開示問題が浮上 〜第三者委員会の報告書が暴いた実態〜

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問題発覚の経緯

マーチャントバンカーズの適時開示より
マーチャントバンカーズの適時開示より

マーチャント・バンカーズ株式会社(東証スタンダード・3121)は、投融資のアレンジやホテル、ボウリング場の運営を手掛ける企業である。1947年に繊維事業を手がける企業として設立されたが、2000年代に入ると事業転換を進め、金融や不動産関連事業を軸に展開してきた。

 

そんな同社において、ガバナンス体制と適時開示に関する疑義が浮上したのは2023年のことだった。2025年3月3日、マーチャント・バンカーズは第三者委員会の調査報告書を受領。これは、2023年1月19日に匿名で送付された文書を発端とする一連の社内調査と、その後の外部専門家を交えた精査の結果であり、同社の経営の透明性を揺るがしかねない問題が指摘されている。

今回適時開示されたレポートはところどころ黒塗りされ、読み取りにくいものだが、何があったのかをわかりやすく伝えたい。

内部告発から始まった大規模調査

発端となったのは、2023年1月19日、同社の当時の会計監査人・南青山監査法人に送られた匿名の内部告発文書だった。この文書には、マーチャント・バンカーズのガバナンス体制の欠陥や適時開示に関する疑義が記されていた。

文書の内容には、会社の重要な経営判断が一部の幹部によって非公開のまま進められていたことが記されていた。また、過去に発表された事業の撤退や投資の詳細が適切に開示されておらず、監査に対する協力も不十分だったことが指摘されている。これにより、会計処理の透明性が確保されていない状況が浮き彫りとなった。この問題が明るみに出たことで、社内外からの不信感が高まり、監査役会は即座に対応を開始した。

監査役会は、外部の弁護士、公認会計士、公認不正検査士の協力を得て、2023年2月21日から同年11月16日までの間、社内調査を実施。役員や関係者へのヒアリング、関連資料の精査、デジタルフォレンジック調査などが行われたが、問題の全容解明には至らず、より徹底的な検証が求められる事態となった。

 

取締役会の決断と第三者委員会の設置

こうした状況を受け、同社取締役会は2024年2月9日、社内調査に加え、第三者委員会の設置を決定。委員会は外部の専門家で構成され、ガバナンスの実態と適時開示の妥当性を精査する役割を担った。

2025年3月3日、調査を終えた第三者委員会は報告書を提出。その中では、経営判断が十分な説明なしに行われていたことが明らかになった。また、投資や撤退の決定が開示されず、株主が知らないまま進んでいた事案があることも判明した。さらに、過去の適時開示において重要な情報が省略されており、これが投資家の判断を誤らせる可能性があったと指摘されている。

 

適時開示の訂正と今後の対応

報告書の内容を受け、マーチャント・バンカーズは今後の対応として、過去の適時開示の訂正を進めるとともに、再発防止策を策定すると発表した。

しかし、問題の全容が完全に解明されたわけではなく、訂正すべき開示事案についても引き続き精査が続けられるという。同社は、「訂正等の開示事案は、後日、確定次第、その内容を改めてお知らせする」としており、さらなる調査結果が待たれる。

 

信頼回復への道のりは険しい

同社は株主および投資家に対し、「多大なご迷惑をお掛けしていることを深くお詫び申し上げる」とし、早急に再発防止策を実行する考えを示した。しかし、今回の報告書が明らかにしたのは、単なる情報開示の不備ではなく、企業の信頼そのものが問われる事態である。

今後、マーチャント・バンカーズがどのようにして経営の透明性を確保し、信頼回復に向けた具体的な行動を示すのかが、厳しく問われることになる。同社には、問題を真摯に受け止め、抜本的な改革を進めることで、企業価値を高めていくことが期待される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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