
2026年卒の就活が本格的にスタートした。しかし、例年と異なるのは、すでに4割の学生が内定を獲得している点だ。深刻な人手不足を背景に、企業は優秀な人材を確保するために採用活動を前倒しし、囲い込みを強化している。売り手市場が続く中、学生はどのような就活戦略を立てるべきなのか。本記事では、最新の就活動向や企業の採用戦略、そして就活成功のためのポイントを詳しく解説する。
2026年卒就活が解禁!すでに4割が内定獲得
2026年卒の大学生・大学院生を対象とした就職活動が3月1日に解禁された。しかし、実際には就活スケジュールは大きく前倒しされており、すでに内定を得た学生は4割に達している。リクルートの調査(2024年2月1日時点)によると、大学生の就職内定率は前年同期比15.4ポイント増の39.3%となっている。
この状況の背景には、企業の採用戦略の変化がある。少子化と人手不足の影響で企業の採用意欲は高まり、早期選考やインターンシップを通じた事実上の選考が一般化している。企業説明会が解禁された3月1日には、多くの企業が合同説明会を開催したが、すでに「内定持ち」の学生も多く、学生側の選択肢が広がっている。
早期囲い込みが進む理由とは?企業の採用戦略の変化
企業はなぜ採用を早めているのか?
人手不足が深刻化する中、企業は優秀な人材を確保するために採用活動を前倒ししている。特に大手企業や外資系企業は、政府が定めた公式スケジュール(3月説明会開始、6月選考開始)を形骸化させ、インターンシップを活用した早期内定の出し方を強化している。
マイナビの調査(2024年2月時点)によると、企業の78.1%が「前年より採用が厳しくなる」と回答。
これを受け、企業側は以下のような施策を進めている。
・インターンシップを通じた早期選考の導入
・初任給の引き上げや待遇の向上
・ダイレクトリクルーティング(スカウト型採用)の活用
例えば、ソニーグループは2025年4月入社の大学卒の初任給を14%増の月額31万3000円に引き上げると発表している。東京海上日動火災保険も2026年4月入社の大学卒で最大41万円まで引き上げる予定だ。
売り手市場で学生が企業選びで重視するポイントとは?
ワークライフバランスと企業の姿勢がカギ
売り手市場が続く中、学生が企業選びで最も重視するポイントは「ワークライフバランス」と「企業の社員に対する姿勢」だ。ワンキャリアの調査(2024年5月31日〜6月5日実施、回答数586)によると、文系学生は「自分のなりたい職種」(10.3%)を、理系学生は「給与の高さ」(10.7%)をより重視する傾向にある。

また、都市部の学生と地方の学生では企業選びの視点に違いがあり、東京圏の学生は「給与の高さ」(12.6%)、「社会課題の解決」(8.3%)に注目する一方、地方の学生は「企業の雰囲気」(14.2%)、「自己成長の機会」(11.5%)、「福利厚生の充実」(10.1%)を重視する傾向があった。
形骸化する就活スケジュールと変化する採用手法
政府は企業に対し、採用活動のスケジュールを「3月説明会解禁、6月選考開始」と定めているが、現実にはこれが機能していない。外資系企業や大手企業を中心に、独自のスケジュールで早期採用が進んでおり、インターンシップ経由での採用が急増している。
また、「スカウト・オファー型採用(ダイレクトリクルーティング)」が広まりつつある。企業が就活サイトで学生のプロフィールを閲覧し、個別にアプローチをかける手法である。この採用手法を活用する企業は、2023年から2024年にかけて6.7ポイント増加し、特に従業員5000人以上の大手企業では前年比11.7ポイント増の27.4%に達している。
まとめ
2026年卒の就活は、企業の早期囲い込みと採用戦略の変化によって、例年と大きく異なる展開を見せている。すでに内定率が4割を超える状況の中、学生はこれまで以上に早い段階で情報収集と企業研究を進める必要がある。売り手市場を活かしつつ、自分に合った企業選びを進めることが重要だ。
【参照】【2026年卒 就活実態調査】企業選びで文系学生は「なりたい職種」、理系学生は「給料」を重視(ワンキャリア調査 PRTIMESより)