
米アマゾン・ドット・コムは、生成AIを搭載した新型「アレクサ・プラス」を発表した。より自然な会話が可能となり、家電操作やオンラインサービスの予約などもAIが代行する。まずは米国で3月に提供を開始し、日本を含む他国でも順次展開する。
生成AIで進化するアレクサの新機能とは?
アマゾンは2月26日、音声アシスタント「アレクサ」に生成AIを搭載した新型「アレクサ・プラス」を発表した。従来のアレクサよりも自然な対話が可能となり、エアコンや照明の操作、飲食店の予約、配車サービスの手配など、より幅広い用途に対応する。
利用料金は月額19.99ドル(約3,000円)で、アマゾンプライム会員は無料で利用可能。米国で3月から提供を開始し、日本を含む他国にも順次展開する予定だが、具体的な時期は未定とされる。
生成AI時代のアレクサ、競争激化する市場
アレクサは2014年の登場以来、スマートスピーカー「エコー」シリーズを通じて音声操作を可能にしてきた。しかし、近年はOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」など、高度な会話機能を持つ生成AIが急速に普及し、従来の音声アシスタントの存在感が薄れつつあった。
アマゾンはこの流れを受け、最新のAI基盤モデル「Nova」や、同社が出資する米Anthropicの「Claude」などを活用し、アレクサの能力を強化した。これにより、利用者の指示をより文脈に沿って理解し、複数の作業を一度に処理できるようになった。
アレクサの市場動向と課題:進化と収益性の両立へ
現在、アレクサの月間アクティブユーザー数は日本国内でも増加しており、特にディスプレイ付きモデルの人気が高い。一方で、アレクサ事業は年間数十億ドル規模の損失を抱えており、アマゾンは有料版サービスの導入を検討している。2025年3月の「アレクサ・プラス」の提供開始を機に、収益性の向上と市場の再活性化を図る狙いがある。
「アレクサ・プラス」は、利用者の発言をより柔軟に解釈し、家電の操作やオンラインサービスの予約などをシームレスに行うことが可能だ。例えば「寒い」と言えばエアコンを調整し、「ピザを頼みたい」と言えば近隣のデリバリーサービスを検索して注文できる。
一方で、個人情報の管理が重要な課題となる。アレクサ・プラスは利用者の好みや会話の履歴を基に最適な回答を生成するが、その過程で大量の個人データを処理するため、情報流出への懸念が指摘されている。アマゾンは、厳格なセキュリティ対策を講じるとしているが、利用者の信頼を獲得できるかが焦点となる。
既存のエコー端末も対応?日本市場の展開は?
現在発売されているエコー端末も、アマゾンプライム会員ならアップデートを通じてアレクサ・プラスを利用できる可能性がある。ただし、具体的な提供時期や対応モデルについては、アマゾンからの公式発表を待つ必要がある。
また、日本市場におけるスマートスピーカーの普及率は年々増加しており、アレクサの利用範囲も広がっている。特に、音声操作によるスマートホーム機能の利用や、高齢者向けの見守り機能が注目されている。
一方で、日本ではプライバシー保護の観点から、音声データの扱いに慎重な意見も多い。政府の規制動向や消費者の関心を考慮しながら、アマゾンは日本市場向けのカスタマイズや追加機能を展開する可能性がある。