資本主義から志本主義へ。「創る教える相談にのる」コピーライター竹島靖の取り組み。
わたしの本業はコピーライターです。
なので、わたし竹島靖が講師をつとめる2時間のキャッチコピーワークショップ「COPY48〜キャッチコピーでまちおこし〜」は、肉屋のメンチカツみたいなもんでしょうか。裏メニューとして出しているうちに評判を聞きつけたお客さんが増え、表メニューに載ったという感じです。
いいコピーはお客様を連れてくる
母になるなら、流山市。
ないものはない 海士町
島じゃ常識さざえカレー
うどん県 香川県
まちおこしにおいてコピーは、プロジェクト全体の背骨、もしくは羅針盤のような役割を担っていることも多い。あるいはバンドでいうフロントマンのようにキャッチーな「顔」でもあるでしょう。まちおこしのコピーをつくって選ぶことは、まちの未来を選ぶことでもあります。
そう、いいコピーって情報発信のメインエンジンであることはもちろん、まちのサステナブルな資産になると思いませんか。
さらに、コピーを地元住民が主体になって2時間のワークショップでつくると、単なる広告文案というワクを超えて、たくさんの波及効果が発生します。
2時間後には結果の出る、まちおこしです
ここでざっくりと「COPY48〜キャッチコピーでまちおこし〜」の概要をご説明します。
2025年1月現在、わたしが講師をつとめたキャッチコピーや住育のワークショップ・セミナー・講演は、日本各地で297回以上の実績になりました。ただし内容はワークショップと同様ですので、個人レッスン「コピーの家庭教師」も含んだ数字です。
さまざまなところからオファーをいただきました。たとえば、企業、店舗、商工会、法人会、自治体、学校、カルチャースクールです。
地域の活性化とは、けっきょく人の活性化であり、ビジネスの活性化でもあります。なので、社員研修とか就活支援などでも効果を発揮しています。
三部構成で全2時間になっています。
第一部は座学中心です。気に入った名作コピーを「写コピー」します。
第二部は個人ワーク。共通のお題を1つ出して、実際に20分間キャッチコピーを各自でつくります。
第三部は投票・審査・講評です。A4の紙を横位置で使い1枚の紙に1本キャッチコピーを手書きして、つないだテーブルの上に並べて提出します。
参加者48人の場合、ひとり2本提出ですから約100本のキャッチコピーが並びます。参加者全員でペンを持ち、いいコピーだと思ったら紙の右スミに「いいね」を記入して投票します。じぶんの書いたコピーには「いいね」しません。いちばん「いいね」を集めた作品が「最多いいね賞」です。お題を出した人は、「クライアント賞」を決めます。わたしは「コピーライター賞」を選びます。
最後に「気づきのシェア」です。参加者の技術の習得度やイベントの満足度が見える化されます。全員で記念撮影して、写真をSNSなどに掲載することもあります。
約300回のワークショップ参加者の声
これまで300回ほど開催してきたワークショップですが、ここで参加者の方からいただいた感想を一部ですが、紹介します。
「竹島さんに教わったコピー、大活躍中です! 今期の売上、3割増になりました」
(竹島塾第1期塾生/静岡県/製造業/男性)
「今すぐにでもビジネスに役立ちそうと思いました」
(2019年4月25日/麹町会場)
「(差別化点見える化チャート)の作業が分かりやすい」
(2019年8月25日/新宿会場)
「おもしろかったっ!! サイコー!!」
(2024年11月7日/徳島県立穴吹高等学校2年生)
「①あっという間の2時間 ②ネガティブアプローチ ③歌 ④帽子」
(2024年11月20日/赤坂会場)。
「COPY48〜キャッチコピーでまちおこし〜」5つの特長
このように参加者からの満足度が高いワークショップですが、ここで特長を5つお伝えします。
1:たぶん日本一コスパのいいまちおこし。
低予算で始められる。じぶんたちで続けられる。しかも効果は大きいです。
参加者の獲得した技術は、まちおこしはもちろん、就活、仕事、家族との関係改善などに効果を発揮します。
2:タイパにも優れています。
ワークショップ2時間後、たくさん成果物=キャッチコピーができています。写真を撮って主催者のSNSにアップするだけでも広告になります。
3:地域課題の見える化ができます。
ワークショップで使用することもある「2段階ブレーンストーミング」。これは、地域住民の抱える未来に関するモヤモヤを吐き出し、合意形成を図る「ファシリテーション」でもあります。まちおこしが他人事でなく自分事になるのです。
4:平均20分間に1回笑える、エンターテインメントワークショップ。
座学のときは、「コピー48手」のケーススタディとして古今東西のヒットソングを歌います。だいたい3曲ぐらいですかね。
けっきょくコピーは、料理と同じ。サッカーと同じ。続けてるうちにうまくなる。楽しくないと続かない。そう思います。
5:「一行力」は、合計3〜5回の参加で顕著な効果が出るようです。
広告界の芥川賞ともいわれる「宣伝会議賞」は半世紀を超える歴史があります。わたしのワークショップ受講者は、一次審査通過者がのべ40名以上、二次審査通過者がのべ10名以上います。
ちなみに一次審査通過の倍率は、第59回の場合0.96%です。
4つのオプションをつければさらに威力がアップします
また、以下のオプションをつけることもオススメです。
動画:ワークショップを動画に撮ってアップすれば、プロモーションムービーとして使えます。
試食会:地域特産の食べ物などがお題の場合、ワークショップで試食してもらい、参加者にキャッチコピーをつくってもらうケースもありました。
常設の「コピーの奇兵隊」:5回ほどシリーズでワークショップをやれば、体系的に一定以上のマーケティングやコピーライティングが身につきます。
自治体が音頭を取ってメンバーを公募して、1年間のプロジェクトチームを結成するのもオススメです。有償ボランティア・無償ボランティアとして募るのもアリです。
つまり、まちおこし情報発信部隊として、48名を公募して「コピーの奇兵隊」であるプロジェクトチーム「COPY48」を結成。いろんな案件を持ち込んでもらい、コピーを制作するのです。48名のSNSを適時、活用させてもらうことができれば、クチコミの相乗効果も可能です。
地域おこし協力隊のように、消防団のように、47都道府県の市区町村に「COPY48」がスタンバイしていれば、停滞しがちな情報発信もグイグイはかどるはずです。たとえば、北海道は「COPY48札幌」、沖縄県は「COPY48那覇」あたりが手始めでしょうか。ご当地コピーの奇兵隊というわけです。
コンテンツ化:「COPY48」に持ち込まれる案件を解決する過程は、「なんということでしょう」でおなじみ、「大改造!!劇的ビフォーアフター」のようなテレビ番組化することもできます。「地域おこしバラエティ」という新ジャンルです。
日本各地からオファーをいただきました
ワークショップは、本州、四国、九州で開催実績があります。都道府県名でいうと東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、青森県、石川県、長野県、静岡県、和歌山県、徳島県、福岡県、長崎県、鹿児島県。ほんとうに数多いですね。
強く印象に残っているワークショップをいくつか挙げてみます。
2016年1月。東京渋谷。
イベント「地域おこし甲子園」にクリエイティブシェアリング研究所の一員として参加。コピーのお題は、「高知県越知町の地域おこし協力隊に応募したくなるようなコピー」でした。
〈竹島氏を講師としたコピーライティング講座を行い、参加者それぞれ3本のコピーを書き、参加者投票などで優秀賞を決定。印象的な町名に焦点をあてた『おちなら僕でもやれるかも。』(会場賞)、町内を流れる水質日本一の仁淀川を取り上げた『ブルーな人生も仁淀ブルーで変えられる』(竹島賞)など、魅力的なコピーが数多く誕生した〉
(『月刊事業構想』2016年3月号56ページより)
2017年4月。東京池袋。
就職・転職相談の出来るBAR「とこなつ家」。
面接で使える自己紹介のキャッチコピーを自分でつくるというワークでした。
ある女子大生は、実行力・計画性という訴求点をこんなコピーで表現しました。
群馬から「チャリで来た」女
解説:高2の冬休みに、群馬の実家から池袋サンシャインシティまで自転車で来たという実話をベースにしています。これで実際に就職が決まったらしいという後日談もインパクトありMAXですね(笑)。
2024年11月。徳島県美馬市。
徳島県立穴吹高等学校。1日2回ワークショップをおこないました。
1:2年生全員を対象にしたワークショップ。2:エシカルクラブの部員を対象にしたワークショップ。
前者のワークショップのお題は、「穴吹高校野球部のキャッチコピーをつくる」でした。12月にはオンラインワークショップをおこない、完成した「最多いいね賞」「コピーライター賞」のコピーは、「三刀流になれるよ」でした。
〈世界農業遺産の認定地「渕名地区」(美馬市穴吹町)の急傾斜地で生産された農産品をPRしている穴吹高校(同市)エシカルクラブの生徒が、地区のキャッチコピーづくりに取り組んでいる。クラブの活動を通じて急傾斜地農法の実態や歴史などを学んできた経験を、地域資源の発信力の強化に生かすことが目的。プロのコピーライターの指導を受けながら月内にも完成させ、12月8日に地区で開かれるイベントの集客につなげる〉
(2024年11月17日/徳島新聞より)
資本主義から志本主義へ
最後に、ワークショップを開催してきてわたしなりに思う意見を。
首都東京とか大企業とかは、ほっといてもガンガン金を稼ぎます。いまこそコピーライターをふくむクリエイターは、日本各地の、中小企業とか、個人事業主とか、スタートアップとか、NPO法人とかの「志や夢」を応援すべきなんじゃないか。ずっと前から、そう考えています。志や夢がカタチになりやすい社会は、きっと住みやすいです。
2022年、総務省データによれば、東京一極集中は再加速しています。いっぽう、2023年の日本の出生率は1.20で最低を更新。東京都はなんと0.99です。つまり、東京が発展すればするほど、日本人は減っていくという暗鬱なリアル。
「東京がん細胞説」。東京はニッポンのがん細胞なのかもしれません。
わたしは高知県生まれ、東京都在住。四国、関西、関東で引っ越し19回。どのまちにも愛着があるし、長所も短所もあるよなというのが実感です。
「地域活性化を活性化しないと、ニッポンはヤバイ」と思ってます。
ワークショップ「COPY48〜キャッチコピーでまちおこし〜」のオファーをお待ちしています。予算がまったくない場合、件名は「プロボノ枠の件」でご連絡ください。アメリカの弁護士を参考にして、1年に50時間はノーギャラでワークショップやコンサルティングをやりたいと思っています。交通費をいただければ、全国どこでも行きますよ。
2019年4月25日の麹町のワークショップが、グラレコとして1枚の資料になって手元にあります。そこには、こんなセリフが赤い手書き文字で記載されています。
「コピーライターの技術は課題と課題解決 皆がコピーという技術を得れば日本をちょっとずつ変えていける」