株式会社トドオナダは、2024年11月26日から12月25日までの期間におけるSDGs・ESG・サステナビリティ関連のウェブニュースの動向を調査し、最新のランキングを発表した。
国内4,000以上のWEBメディアをモニタリングするPR効果測定サービス「Qlipper」のデータに基づくもので、注目を集めたニュースやトピックが分析されている。
サステナビリティ関連ニュースに注目
同調査では、特にサステナビリティ関連情報の開示義務化に向けた動きが高い注目を集めた。2027年3月期より有価証券報告書でのサステナビリティ開示の義務化が、東証プライム市場上場企業に段階的に適用される見込みであり、この変化に備えた企業の対応がニュースの中心となっている模様だ。
例えば、サステナビリティ分野で注目されたトピックの一例としては、「SX加速プロジェクト」の発足が挙げられる。booost technologies社が資金調達を行い、同プロジェクトの発足を発表。このニュースは多くのビジネスメディアに取り上げられ、高いPVを記録したとのこと。
また、「サステナビリティ」のトレンドキーワードランキングを見てみると、1位は、「EcoVadis」とのこと。EcoVadisはフランスの会社で、サプライチェーンに関するサステナビリティ調査を実施する調査機関として、環境、労働慣行、倫理、持続可能な調達の4つのテーマで企業を評価する団体だが、最近はあまりに力をつけすぎてしまい、多くの中小製造業にとっては無視できなくなってきた、イヤイア対応しないといけない存在となっていることはご承知の通り。
先日もアップルがサプライチェーンにいる企業の調達に、再エネを義務化することがニュースとなったが、大手メーカーのサプライチェーン上にいる企業にとっては、サステナビリティ対応、そしてEcoVadisの調査に対応することが必須となりつつある。
ただ、現場はしんどい。実際に中小企業各社は、大手企業からのサステナ調達アンケートへの回答が求められるケースが近年増加している。ある中小企業は、年間200社以上からのCSR調達アンケートに回答しており、どのように答えればよいか悩み、また回答次第で実際に商取引を打ち切られてしまうなど、現場が疲弊しているとの声も聞かれる。
エコヴァディスで高評価を受けている企業の一例としては、オムロンやセイコーエプソンなどがプラチナの高評価を受けており、具体的な取り組みとしては、サプライチェーン全体でのCO2排出削減や、持続可能な原材料の調達強化が挙げられる。EcoVadisの話が長くなってしまった。次にいこう。
SDGsに関する注目トピック
SDGsのトレンドキーワードでは、1位は、「達成」ということでこれはよく理由はわからない。2位は「FRaU」というのも、おしゃれな媒体としてSDGsの取り組みを取り上げまくったのだろうなと。
3位には「SAF」が来ている。空のカーボンニュートラルPR事務局が行った「SDGsへの関心と航空業界の持続可能な航空燃料(SAF)に関する認知度のギャップ」の調査がヒットしたようで、SDGsに関心がある人の中でSAFを詳しく知っている人は19%にとどまり、認知度の向上が課題とされている。
ただ、SAFも、先日期待がかかっていたユーグレナの失速などがニュースとなっていたので、2025年のランキングでどうなるかはわからない。中長期で見れば、非常に重要なトピックだが……
ESG分野のトレンドキーワード
QlipperによるESGのトレンドキーワードランキングでは、1位にMSCI、2位にDJSIと、ESGの評価機関・データプロバイダが上位を占める結果に。
これは、プライム市場に上場している企業などが、自社がESG評価指標の構成銘柄に選定されたことをプレスリリースなどで公表していることが要因と考えられるのだが、実際そういうことだろうか。あるいは、日経新聞などの報道で純粋にトレンドキーワードとなったのだろうか。
また、ESG関連のニュースでは、「企業価値を高めるESG指標」に関するアビームコンサルティングの調査が注目を集めたと報告されている。柳モデルで有名な柳氏がアビームと一緒に開示した30指標のニュースのことか。
この指標、上位は「役員の平均年齢」「R&Dの創出アイテム数」「産業廃棄物の産廃量」などが来て、30位の下位の方に、「女性の管理職比率」とか来ていたヤツで、企業価値と強い相関を示す具体的な指標の現実がビシバシと伝わってきたランキングだった。
疑問だったのは、上位30ってことだけど、全部でどのぐらいの指標があるものなんだかパッと見ただけではわからず、でもサステナ関連でそれほど指標ってないよなーと思いながら、女性の管理職比率や女性のキャリア採用数がまだ2024年では企業価値と、ほとんど何も結びつかないのが現実なのだろうなと感じたものである。
これで能力の伴ってなさそうなお飾り女性社外取の就任ボーナスタイムが終了になるのであれば、個人投資家の観点で言えば、ガバナンスの機能不全が解消されうる分、いいことなんだが。でも、トレンドって点で考えれば、この女性社外取の就任ラッシュこそが、ここ数年本当のトレンドだよなーと。はたして、流れは変わるのだろうか。いや、変わらないだろうな。
Qlipperによると、ほかにも、SFPF運営協会と日立製作所が、IFRS(国際会計基準)に対応したESG情報開示テンプレートを国内で初提供したニュースもPVを伸ばしているとのこと。テンプレート提供により、上場企業が国際基準に基づいたサステナビリティ情報をより簡便に開示できるようになり、運用機関とのコミュニケーションが円滑化されることが期待されているって話みたい。
Qlipperが示すランキング結果
調査期間中、SDGs、ESG、サステナビリティというキーワードを見出しに含む記事数は以下の通りだった。
SDGs関連ニュース
- 記事数:5,033件(前月比+7.1%)
- プレスリリース数:159件(前月比+20.5%)
ESG関連ニュース
- 記事数:1,691件(前月比+35.3%)
- プレスリリース数:49件(前月比+32.4%)
サステナビリティ関連ニュース
- 記事数:7,035件(前月比+1.7%)
- プレスリリース数:226件(前月比-0.9%)
まとめ
トドオナダが提供するPR効果測定ツール「Qlipper」は、企業のPR活動をリアルタイムで分析し、効果的なPR戦略の立案を支援している模様。2025年はトランプ旋風によって、反ESGが高まるハズで、年末の開示ではESGが死語になっている可能性さえあるが、今後も注視していきたい。
■調査概要
調査期間:2024年11月26日〜12月25日
(Qlipperの記事確認日時)
調査機関:自社調査
調査対象:見出しに「SDGs」「ESG」「サステナビリティ(サスティナビリティ)・サステナブル(サスティナブル)」の語を含む記事。
調査方法:Qlipperが調査期間中に収集した国内主要ニュースサイトのウェブニュースの内、調査対象の記事数、仮想PV数、記事がXでポストされた数を集計。
※仮想PV:国内4,000媒体以上のWEBメディアをモニタリングしているQlipperが、取得したサイト構造を基に独自エンジンで記事のページビューを予測・算出しています。(特許第7098122号)