世界最大規模の世論調査会社イプソス株式会社(日本オフィス所在地:東京都港区、代表取締役:内田俊一)は、日本を含む世界33カ国23,721人を対象に2025年の見通しに関する意識調査の結果をまとめたイプソス「2025年予測レポート」を発表。
イプソス社が実施した2025年予測調査では、日本人の楽観度が調査対象国で最下位となった。
この調査をもとに、2024年の総括と2025年への展望を探る。
【調査背景】
イプソスでは世界の人々の「翌年への予測」に関する意識や行動、またその変化の動向を観測し、理解するための調査を継続的に行っています。
【 調査概要 】
調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
調査対象: 世界33カ国23,721人(日本人約1,000人 )
インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、フィリピン、南アフリカ、トルコ、アメリカでは18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他すべての国では16~74歳
実施日: 2024年10月25日~11月8日
調査機関:イプソス
▷イプソス2025年予測調査レポート
日本人の楽観度、世界最下位に
イプソス社が発表した「2025年予測レポート」によると、「2025年が2024年より良い年になるだろう」と楽観視する日本人の割合は38%で、33カ国の調査対象国中最下位を記録した。日本が最下位となるのは今回が初めてではなく、近年の調査でも一貫して低い水準にとどまっている。32位のフランス(50%)と比較しても12ポイント差があり、日本人の悲観的な傾向が際立つ結果となった。
さらに、調査開始以降のデータを振り返ると、日本人の新年への期待感はコロナ禍以降、著しく低下したままである。例えば、2017年時点では、より前向きな姿勢が伺えたものの、パンデミックを経て、生活の不安や経済的な懸念が増大したことが背景にあると考えられる。
日本人の2024年評価は厳しい結果
調査では、2024年を振り返り「自国にとって悪い年だった」と回答した日本人の割合は63%に達し、対象国全体の平均(65%)に近い数値となった。しかし、この割合は前年よりもわずかに増加しており、明るい兆しは見られなかった。世界全体では「悪い年だった」と回答する割合が減少傾向にある中で、日本人の厳しい評価が目立つ形となった。
この結果は、物価高や生活費の上昇、政治への不信感がその要因に挙げられるが、これらの問題が解決されない限り、楽観的な未来を描くことは難しいのだろう。
世界経済への期待感も低調
2025年の世界経済について、日本人の期待感はさらに低調な結果となった。「2025年の世界経済は2024年よりも良くなる」と回答した日本人はわずか28%で、調査対象国中31位という低い順位にとどまった。これはフランスやベルギーなどとともに、経済的な見通しにおいて悲観的な国の一つであることを示している。
物価の上昇や税金の増加が依然として懸念される中、特に日本では、経済的な改善を実感できない現状が調査結果にも反映されていると考えられる。さらに、他国と比較しても日本人の間で「来年は良くなる」という楽観的な思いは乏しく、コロナ禍の影響が未だに続いている印象を与える。
一方で、世界全体では、「2025年が2024年より良くなる」と期待する割合は71%と高く、前年からの増加傾向が見られる。特に新興国では楽観的な見通しが多いが、これと対照的に日本は閉塞感が漂う状況だといえる。
課題解決に向けた明るい兆しは見えるか
日本人が抱える閉塞感は経済だけに限らない。イプソスの調査では、気候変動、社会問題に関する懸念も浮き彫りとなった。例えば、気候変動についても日本人の不安は大きい。イプソスの調査では、全体の80%が「世界の平均気温は上昇する」と予想しており、異常気象の増加などが生活環境に直接的な影響を及ぼす可能性が指摘されている。特に、気候変動の影響で住む場所が制限されると考える声も多く、政府や国際社会の対応に対する信頼感が薄れつつある現状だ。
こうした課題に対し、日本国内では多くの人々が政治への不信感を抱えていることが背景にあると考えられる。経済的な困難や環境問題への対応策が具体的に見えない中、未来への希望が欠如している状況が浮き彫りとなった。しかしながら、世界全体では、例えば金利上昇に対する懸念が減少するなど、徐々に改善の兆しも見え始めている。このようなポジティブな変化をいかに国内に取り入れ、持続可能な未来につなげるかが今後の課題となるだろう。