最近、ビジネス書コーナーで異彩を放つ書籍が発売された。ゴマブックス出版社から刊行された『24歳での創業から19期8期連続増収13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み』(ゴマブックス)だ。
なんと、13期連続黒字を達成し、直近では安定的に売上を伸ばしている企業の営業戦略を、余すところなく公開したという。
著者は、経営コンサルティング企業、株式会社エッジコネクションの代表取締役社長である大村康雄氏。その書籍の内容を紐解きながら、エッジコネクションの躍進を支える独自の営業戦略に迫る。
エッジコネクションの営業戦略:徹底した「仕組み化」
エッジコネクションの営業戦略の最大の特長は、徹底した「仕組み化」にある。
同社は、営業活動のあらゆるプロセスを可視化し、標準化することで、属人的なスキルや経験に左右されない、再現性の高い営業システムを確立している。
「当社では、属人的な営業ではなく、誰でも成果を出しやすい仕組みづくりに力を入れています。」と大村社長は語る。
その仕組み化の中核を担うのが、緻密に作り込まれた営業資料だ。同社の営業資料は、単なる会社案内やサービス紹介にとどまらない。
顧客との対話を綿密に設計したストーリーに基づき、顧客の興味関心を惹きつけ、成約へと導くためのシナリオが組み込まれているのだ。
例えば、資料の構成は、会社概要や実績を最初に持ってくることで、顧客の企業に対する信頼感を高める工夫が凝らされている。
これは、「どんな会社なのかわからないうちから、サービスの説明をされても、なかなか興味を持てない」という顧客心理に基づいたもの。
「会社概要や取引実績に立派な企業が載っていることを先に伝えると、同じ内容でも相手に話を聞いてもらいやすくなるので、無名の会社でも、『会社名は知らなかったけど、すごい会社なんですね』という感じで、フリートークに入っていけます」と大村社長は語る。
資料の内容も、ただサービスを羅列するのではなく、顧客が話の流れに沿って自然と理解を深められるよう、綿密に設計されている。
例えば、サービス資料では、まず顧客が抱える課題を明確に示し、その上で、自社のサービスがどのように解決できるのかを具体的に説明する構成になっている。
資料は、「会社案内+実績資料」「サービス資料」の2つを基本とし、それぞれが顧客にスムーズな理解を促すように、以下の構成で作成されている。
会社案内
- 表紙
- 会社概要
- 実績紹介
- 事業概要(各事業の詳細説明)
- 企業理念
サービス資料
- 表紙
- 対象となる顧客と課題
- サービス全体像
- サービスの導入プロセス
- サービスの特長・機能
- 料金体系
- 会社概要
一見、一般的な企業でも作成している内容に見えるかもしれない。
しかし、
「これを純度高く、徹底できている企業は少ない」(大村氏)そうで、エッジコネクションでは、情報をただ羅列するのではなく、「その項目で伝えたいこと以外は一切書かない」という点まで徹底している。
例えば、「サービスの特長」の項目で、顧客の声や導入プロセスについて触れることは決してない。
顧客が1枚のスライドを見たときに、瞬時に、迷うことなく、その情報だけが頭に入るように工夫するのがいい資料のポイントだという。
「資料は、営業担当者と綿密に打ち合わせを重ねながら、顧客にとって本当に分かりやすく、納得感のあるものになるよう、常に改善を続けています。おかげさまで、お客様からも「資料が見やすくて分かりやすい」と好評をいただいています。」と、広報担当の免坂さんは笑顔を見せる。
新人育成にも活きる「仕組み化」
エッジコネクションでは、この仕組み化された営業システムを、新人育成にも積極的に活用している。
新入社員は、入社後1ヶ月間、みっちりと研修を受ける。その内容は、自社システムの使い方から、企業理念、行動指針、そして営業資料を使ったロールプレイングまで多岐にわたる。
「研修資料は確かにボリュームがありますが、一つ一つが分かりやすく丁寧に説明されているので、安心して取り組めます。それに、先輩方がいつも丁寧にサポートしてくれるので、本当に心強いです!」と、ある若手社員は語る。
このように、体系的な研修プログラムを用意することで、新人でも短期間で会社の営業ノウハウを習得し、現場で活躍できるようになるというわけだ。
「仕組み化」成功の裏にある失敗経験
しかし、エッジコネクションの営業システムは、最初から完成されていたわけではない。大村社長は、過去の失敗経験から多くの教訓を得て、現在のシステムを構築したという。
「創業当初は、飛び抜けた営業力を持つメンバーに頼りきりになっていました。しかし、その結果、彼以外の人が育たず、会社全体の営業力が低下してしまうという事態に陥りました。」と、大村社長は過去の苦い経験を振り返る。
この経験から、大村社長は、属人的な営業の限界を痛感し、誰でも成果を出しやすい仕組みづくりに注力するようになったという。
「過去の失敗から、属人的な営業の危うさを学びました。そこで、誰でも成果を出しやすい仕組みづくりに注力するようになったのです。」と、大村社長は語る。
今後の展望と読者へのメッセージ
エッジコネクションは、今後も、顧客企業のニーズを捉えたサービス開発や、営業システムのさらなる進化を図りながら、成長を続けていく方針だ。
「私たちは、これからも企業の事業課題解決に全力を尽くし、業界を第一線で牽引する存在になります。サービスの質をさらに高め、すべての企業に成功への道筋を示すべく、誠心誠意取り組んでまいります。」と、大村社長は力強く語った。
同社の事例は、営業力強化に悩む多くの企業にとって、大きなヒントになるだろう。