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世界の11人に1人が飢餓に直面:企業が知っておくべき現状と対応策

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~深刻化する食料問題~

世界中で飢餓に苦しむ人が増加している。ユニセフなど国連の5つの専門機関が発表した最新の報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)2024」によると、2023年には世界で約7億3,300万人が飢餓に直面しており、これは世界人口の11人に1人に相当する。特にアフリカでは5人に1人が飢餓状態にあり、深刻な状況だ。

SDGs(持続可能な開発目標)の目標2「飢餓をゼロに」の達成期限である2030年が迫る中、企業には、この地球規模の課題解決に向けて、これまで以上に積極的な役割を果たすことが求められている。本稿では、SOFI報告書2024で示された食料問題の現状を概観し、企業が取り組むべき課題と具体的なアクションについて考察する。

「世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The Latest State of Food Security and Nutrition in the World 〈SOFI〉)」
SOFI 提供:日本ユニセフ協会

「世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The Latest State of Food Security and Nutrition in the World 〈SOFI〉)」は、国連児童基金(ユニセフ)、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)が共同で作成する年次報告書。

1999年以来、報告書は、飢餓の撲滅、食料安全保障の確保、栄養の改善に向けた世界の進捗状況を監視・分析している。また、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の文脈において、これらの目標を達成するための重要な課題についても詳細に分析している。

SOFI報告書2024が示す厳しい現実

SOFI報告書2024は、世界の食料安全保障と栄養の現状について、厳しい現実を突きつけている。

飢餓人口の増加

2023年の世界の飢餓人口は7億3,300万人に達し、2019年から約1億5,200万人増加した。これは2008年~2009年当時の水準に相当し、15年間の進歩が帳消しになったことを意味する。地域別に見ると、アフリカでは飢餓人口の割合が増加傾向にあり、アジアでは人口規模の大きさから依然として課題が大きい。

食料不安の深刻化

2023年には、世界で約23億3,000万人が中程度または重度の食料不安に直面しており、そのうち8億6,400万人以上が深刻な食料不安を経験した。これは2020年以降、高い水準で推移しており、特にアフリカでは深刻な問題となっている。

健康的な食事へのアクセス不足

2022年には、世界で28億人以上が経済的に健康的な食事をとることができない状態にあり、特に低所得国では深刻な問題となっている。

栄養不良の多様化

乳児の完全母乳育児率は向上しているものの、低出生体重児の割合は依然として高く、5歳未満児の発育阻害も目標には達していない。また、成人の肥満は増加傾向にあり、栄養不足と過体重・肥満の共存という「栄養不良の二重負荷」も問題となっている。

これらの問題は、食料価格の高騰、紛争、気候変動、景気後退、健康的な食品の入手困難さ、不健康な食環境、根強い不平等など、複合的な要因によって引き起こされていると報告されている。

企業がサステナビリティ活動で取り組むべき課題

こうした状況を踏まえ、企業はサステナビリティ活動において、以下の課題に取り組むことが求められる。

企業が取り組むべき課題

サプライチェーンにおける人権・環境デューデリジェンスの強化

食料生産に関わる労働者の生活水準の向上、強制労働や児童労働の排除など、人権を尊重したサプライチェーンを構築する。環境負荷の低い持続可能な農業を推進し、気候変動の影響を緩和する。

食料廃棄の削減

サプライチェーン全体でのフードロスを削減し、食料資源を有効活用する。食品リサイクルやフードバンクへの寄付など、新たなビジネスモデルを構築する。

栄養価の高い食品の提供と普及

健康的な食生活を支援する商品開発や販売促進を行い、消費者の健康増進に貢献する。途上国における栄養改善プログラムを支援し、栄養不足の解消に貢献する。

企業による具体的なアクションと事例

日本ユニセフ協会提供の飢餓の写真
提供:日本ユニセフ協会

上記のような課題に対して、企業はどういったアクションを起こすことができるだろうか。

具体的なアクションの方向性

    • サプライチェーンにおける人権・環境デューデリジェンス

      企業は、サプライヤーとの契約に、人権や環境に関する条項を盛り込み、サプライヤーの行動を改善することが求められる。また、サプライチェーンの監査を定期的に実施し、問題があれば改善を促すこと。労働者や地域住民の声を聞き、問題解決に積極的に取り組むことが望ましい。

    • 食料廃棄の削減

      食品の賞味期限表示を見直し、食品ロスの削減を図ることだ。また、需要予測の精度を高め、過剰な在庫を抱えないようにすることも重要で、売れ残りそうな商品は、値引き販売やフードバンクへの寄付など、廃棄以外の方法で有効活用することを考えるべきだ。

    • 栄養価の高い食品の提供と普及

      栄養バランスの取れた商品開発や、栄養価の高い食品の販売促進を行うこと。また、消費者に食に関する正しい知識を提供し、健康的な食生活を支援することを実践する企業もいる。

これらの取り組みは、企業にとってリスクを低減し、ブランドイメージを向上させるだけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も秘めている。

持続可能な社会の実現に向けて

食料問題は、地球全体の持続可能性を脅かす喫緊の課題である。企業は、その影響力と責任の大きさを認識し、積極的に問題解決に取り組むべきである。SOFI報告書2024は、私たちに課題の深刻さと共に、行動を起こすことの重要性を改めて突きつけている。返信するもう一度生成するXarisに相談 ヒアリング 小見出しから本文生成 について生成

■   報告書に関するユニセフのデータは以下からご覧いただけます。 https://data.unicef.org/resources/sofi-2024/ 

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ライター:

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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