不確かな未来を生き抜く力を養うために、個人がライフマネーセンスを身に付けなければならないと語る、株式会社クレア・ライフ・パートナーズ、代表取締役社長 工藤将太郎氏。
「やりたいことを実現するためにお金を貯める」を、ライフプランにおけるゴールと位置付け、実現に必要な手立てをお客様と一緒に悩み続けることを軸に、様々な事業を展開している。
中でも一際注目を集めているのが、成長率の高いウイスキーのカスク(樽)に投資する「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」だ。
この事業の内容を中心に、資産形成を安心して任せられる、お客様にとって信頼できるパートナー企業とはどういうものか、工藤社長に詳しく伺った。
企業戦士から一転、失敗を恐れずやりたいことに挑戦しようと世界一周へ
そもそも投資を学び始めたのはいつ頃からでしょうか?
工藤
高校を卒業してからです。私が通っていた高校はいわゆる進学校でして、同級生は数学や英語などを専攻し国立大学をめざしていました。
そんな中、私だけは体育を選択。というのも、野球部に所属していましたので、野球のセレクションで大学へと思っていたんです。ところが、落選。
考えた末に、今まで自分がおざなりにしてきた勉強を取り戻そうと、商業の専門学校と通信制の短期大学に同時に入学しました。
その後、大学に編入し、興味があった投資を学ぶため株式スクールにも通いました。さらに宅建の資格も取得したりと、高校卒業後の4年間は勉強漬けの毎日でしたね。
そこまでお金の流れや投資に興味を持ったのは、そもそも何かきっかけがあったのでしょうか?
工藤
中学生の頃、父親が広告代理店を起業したんですが、その際、資金の確保が大変だった様子を目の当たりにしたんです。
「お金」というものを初めて意識しましたね。万が一、お金がなくなったらどうしようという恐怖感を持ったというか。
日本ではお金の勉強をする機会がほぼないですし、だったら自分で学ぶしかないと。働いても収入の限界は見えていますし、お金がお金を生む仕組みを作れないかと思ったんです。
その後、金融に関わる仕事として「日本生命」に入社されていますが、選ばれた理由は?
工藤
「この会社の人達と一緒に仕事をしたい」と思ったことが一番ですね。それから当時は、大手企業に就職して、出世して、良い収入を得たいと考えていましたので。
ですが、その数年後に退職して世界一周の旅に。どういう経緯からだったのでしょうか?
工藤
入社して数年後に配属されたのが、国際的な有名企業らを担当する法人営業、それから金融部門も並行して担当する部署でした。
バリバリの企業戦士だったんですが、正直想像を超える部分もありました。そんな時に、当時付き合っていた妻から「世界一周をしたい」と言われたんです。
はじめは気にも止めてなかったんですが、その時に読んだ、高橋歩さんの「いつもココロに青空を。青空はつながっている。」という本で人生観が変わりました。
やりたいことをやる人生もそんなに悪くないなと。
それまでは、将来お金に苦労しないように、大企業に就職しなければならない、出世しなければならないと、義務や責任で働いていましたが、失敗してもいいからやってみたいことをやってみようと思えるようになったんです。
そこで、世界一周を決意してすぐに結婚。会社にも辞める意思を伝えました。
実は結婚式の最後の挨拶で、会社を辞めて世界一周に出ると話したら、同期はもちろん皆さん目が点になってましたね(笑)。
それまでとは真逆の人生を歩み始めたわけですが、世界一周で得たものは?
工藤
世界一周のためにお金を貯めて、全部使い切ったことで、幸せの基準がとても明確になりました。
最も大切なのは、「誰かと一緒に何かを共にする時間」だと。自分の中で価値観や幸せに対する定義が固まって、言語化することもできました。
企業理念「生き抜く力を共に創る」に欠かせない、お客様とのライフプラン設計
それは具体的に御社の経営方針にも繋がっていますか?
工藤
前職で感じていたことなんですが、保険は万が一の見えないリスクに対するお守りとして販売するものなんです。
もちろん、お金に余裕のある方だったら良いんですが、保険料を支払うがためにできなくなることもあるのではないかと。
また、例えば車を買うという目標を立てお金を貯めたとしても、貯まった時には使えないという方が多いんですね。
というのも、その過程で努力しているので、価値観のパラダイムシフトが起きてしまい結局使えない。
ですので、弊社では「自分のやりたいことを実現するためにお金を貯める」ということを、ライフプランにおけるゴールと位置付けています。
お客様への提案の際にも、目先の利回りに左右されるのではなく、「実現には具体的に何が必要か」を一緒に考えていきます。
企業理念の「生き抜く力を共に創る」は、どのような考えをベースにしているのでしょうか?
工藤
主体はあくまでもお客様です。そのお客様が幸せに人生を送る過程で必要なことを、時に先生となり時に友人となって支え続けていくのが私たちの仕事だと考えています。
まずはライフプランを設計することを重要と位置付け、お金の知識をご提供しています。
お客様のライフプラン設計をどのようにサポートしているのでしょうか?
工藤
多くの企業は無料でライフプランを作って、そこからお客様に保険などの金融商品を提案するという形を取っていますが、弊社はライフプランシュミレーションを行うだけでもお金をいただいています。
他社とは違い、何かを買っていただくということではなく、共にお客様の人生に向き合うということに重きを置いているからです。
結果として、「何かを買わないといけないのではないか」というお客様の不安もなく、ご自身のライフプランの設計に真正面から向き合って頂けていると感じています。
具体的なプラン設計としては、お客様のご年齢やご家族状況、資産や投資経験の有無などを考慮し、標準的には3ヶ月で計8回程の面談を行い、一通り組み終えます。
ただ、昨今の世界情勢からも分かるように予測できないことも起こりますので、完璧な長期計画を立てるのではなく、必要最低限のことをプランニングして、常に方向転換できる柔軟な設計にしています。
その後も、年に1、2回は必ずお会いして、必要があれば見直します。大切にしているのは、お客様に高度なスキルをお教えすることではなく、「一緒に悩み続ける」ということなんです。
日本の企業で唯一参入している「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」
工藤
まずは、「ライフマネートレーニング事業」があります。一つが先程触れた約3ヶ月でライフプランを設計する「ライフマネープランニング」。それと、年間の顧問契約である「ライフマネートレーニング」です。
そのコンサルティングサービスの過程でお客様からの要望に応じて、ご紹介する資産性を帯びた商品として、成長率の高いウイスキーに投資する「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」、自社独自のスキームで安心して売買できる「アンティークコイン事業」、「コンテナ投資」という形態で財務体質を改善する「じぶん倉庫事業」などがあります。
さらに、パートナー企業様と共に永続的な成長をめざす「Co-Creation-Team事業」、その他の事業として、自社独自の投資や、資産形成や投資などに関する情報提供や共同開発も行っています。
その中の「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」とはどのようなものでしょうか?
工藤
「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」は、スコットランドやアメリカに貯蔵されているウイスキーの原酒が入った樽(カスク)の所有権の売買をするものです。
例えばサントリーの「山崎」をイメージしてもらうと分かると思いますが、12年と18年では後者の方が断然人気があり価格も高くなります。。
同じ樽に入っていても少しずつ蒸発(エンジェルズシェア)しますので、年々希少性も高まります。その視点で、資産価値が経年と共に上昇するウイスキーカスクに投資するんです。
現在はギフトとしての需要もあり、創業記念などにボトルに詰め、お客様にプレゼントする企業様もおられます。
ボトルのラベルについても、現代アーティストとコラボしてアート作品としてさらに資産性を高めていく取り組みも行っています。
さらに、ウイスキー関連では「Dear WHISKY」という自社メディアの運営も行っています。
工藤
2022年の実績では、平均して年間約14%という年間資本成長率(物の価値上昇)を得られます。理由としては、ここ数年の世界的なウイスキーブームと、コロナ禍で宅飲み需要が増えたことです。
ウイスキーは、寝かせれば寝かせるほど価格が上がりますので放っておいても大丈夫。お子さんに譲りたい時には簡単に名義変更もできます。
お客様の中には、お孫さんのために、「ニューメイク」という0歳のウイスキーを購入される方もいらっしゃいます。
かなり魅力的だと感じます。御社がこの事業を開始したのはいつ頃でしょうか?
工藤
そもそも、ウイスキー蒸留所は銀行や資本家の所有物で、スコットランドでも個人投資家に樽の売買が解放されたのは意外と最近なんです。
2014年頃からセカンダリマーケット、いわゆるブローカーが仲介して個人に販売するというマーケットが少しずつ成立するようになりました。そこで弊社がこの事業に本格参入したのが2020年。
当時は、スコットランドでの提携会社は2社のみでしたが、今ではアメリカ、タイ、シンガポールなどの会社も増え、多くの取引先とお付き合いさせていただいており、世界中の樽の情報をお互いで共有しています。
日本では参入しているのは弊社と弊社の代理店様のみで、世界的に見ても日本人の投資家は10%未満です。大半がヨーロッパで、特にイギリス、ドイツ、あとは中国、香港、台湾、シンガポールが多いです。
この事業が注目される理由は他にもあるのでしょうか?
工藤
スコットランドにとってウイスキーは、もはや名産品ではなくインフラ。歴史・文化としても保護していこうという姿勢が根底にあることは大きいですね。
また、BCP(Business Continuity Plan ※事業持続計画)の観点から、火災など万が一の状況にも対応できるように蒸溜所間で樽の交換を行ったり、情報や人の交流も行っています。
また、スコットランドの主要産業ということもあり、所有権の証明などにおいて行政のバックアップが非常に強く、お互いに協力して良いお酒を作っていこうという意識があるんです。
さらに、「ボトラーズ」と言って、ウイスキーを購入した業者が他のウイスキーとブレンドして、新たなテイストとして販売することも大きなマーケットです。
一方、日本では2022年にジャパニーズウイスキーが生まれてようやく100周年を迎えました。ここ数年で蒸溜所の数は増えてはいますが、まだまだ大手メーカーがシェアをほぼ占めている現状です。
エンターテイメント性も兼ね備えた確実な資産形成
「ウイスキー・カスク・インベストメント事業」を通して、御社が実現したいことはなんでしょうか?
工藤
先程、ライフプランのお話をしましたが、資産形成は人生の目的を達成するための手段と捉えていますので、利回りが高いという理由だけでウイスキーへの投資を進めているわけではないんです。
私はそこに、エンターテイメント性があっても良いと思っています。
もちろん、保険で手堅く資産形成するのも良いですが、ウイスキーへの投資を通じて、その歴史や産地などを学び、教養や趣味の一環として楽しむというご提案もしています。
大企業ほど社会的に大きなインパクトを与えるのは難しいですが、小さいマーケットの中で「こんなのあったらいいな」を形にしていくのが、弊社にとっての社会貢献の一つだと捉えています。
工藤
もちろん、ウイスキーが好きな方もいらっしゃいますが、コンサルティングでのご提案の中から選択する方が大半です。
それから、弊社の学生インターンが投資の仕組みや構造を理解していく過程でウイスキーに興味を持ち、投資するという面白い事例もあります。
経年が価値に繋がるウイスキーは、為替のリスクを考慮しても確実な資産形成に繋がります。
この事業において、これから先計画されていることはありますか?
工藤
2024年の4月にスコットランド支社を開設、営業開始の予定ですので、現地を見学したいお客様に対しツアーを計画しようと思っています。
支社には新卒の社員も駐在員として派遣する予定です。それに先立ち2024.3月には日本の企業としては初めてのスコットランドのウイスキーフェスティバルに出展することになりました。
2024年中に、弊社もボトラーズとしての事業開始を予定しています。国内でのボトラーズ文化も広めていきたいですね。
御社の事業では、ワクワク感も楽しみながら資産形成ができますね。
工藤
おっしゃる通りです。さらに、ウイスキーやアンティークコインは実際に見て触れることができますので、大人だけではなく子どもたちに対しても、なぜ価値が上がるのかということを説明しやすいんです。
リアルな体験を通して、需要と供給、それから外国為替や経済のことなどを学ぶ。それが意味のある金融教育だと思います。
お客様と一緒に悩み続ける資産形成のパートナーとして
工藤
弊社は、ライフプランニングの際に様々なご提案をし、そこからお客様自身が必要と思われたものを選択していただきます。ですので、社員の給与制度に歩合はありませんし、ノルマも一切ありません。
さらに企業人事部様よりご依頼を受け、従業員さま向けのサービスを行ったり、お客様から次のお客様をご紹介いただくことも多く、マーケティングコストも掛かりません。
同業者の方々も、競合となるのではなく、弊社の代理店様としてパートナーシップの契約を締結し幅広い商品が供給できるサービスを理想としている会社様もあります。
このような構造の会社は、日本で弊社だけと自負していますし、最大の特徴かもしれませんね。
最後に、様々な事業を通して、今後社会にどのような貢献をしていきたいか教えてください。
工藤
先程も触れましたが、大企業と弊社ができる社会貢献は違います。
この業界にいると、金融リテラシーの向上ということをおっしゃる方が多いんですが、私が思うに、これまで金融に触れてこなかった方が、忙しい毎日の中でいまからいくら勉強しても、人生に変化を起こすほどにはならないことも多いと思うんです。
そうであれば、しっかり仕事をして、同時に家族との時間や趣味の時間も充実させ人生を謳歌していただきたい。
その上で、「お金に関することは、信頼できるパートナーを見つけて任せる」という方法があるということを知らしめていければと思っています。そのパートナーに弊社を選んでいただければ嬉しいですね。
それから、「無知はコスト」と言いますが、例えば知らないからこそ必要のない保険に重複して加入しているということもあります。
もしお客様からご依頼があれば、コンサルティングの立場で、勤務先の就業規則や社会保障制度まで分析し、働き続けるのであればこうするべき、転職するのならこれを準備するべきなどのご提案もできます。
弊社はものの販売を通じた顧客貢献に留まらず、未来に向けてお客様と一緒に悩み続ける会社でありたい。
現在、お客様たちからいただいている「こういうサービスが欲しかった」というお声から、弊社の事業が社会貢献に繋がっていると実感しています。
◎プロフィール
工藤将太郎
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ代表取締役社長
1983年大分県出身。 西南学院大学経済学部を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。 クライアント企業の人事部、財務部や各営業セクションとのリレーションシップマネジメント業務に従事。主に外資系金融機関(証券・銀行・投資顧問)や、私立大学学校法人の確定拠出型企業年金や、 弔慰金制度などの福利厚生制度の構築を担当。
2012年、独立・起業し、世界一周へ。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズを設立。
個人投資家の最大の目的は「ライフプランの実現である」という信念のもと、「お金の使い方」を重視した資産形成実現のための事業・サービスを展開している。
おもな著書
・『30歳からはじめる一生お金に困らない蓄財術』(2014年、幻冬舎メディアコンサルティング)
・ 『入社1年目から差がついていた! お金が貯まる人は何が違うのか?』(2017年、すばる舎)
・『隣の人の投資生活』(2017年、クロスメディア・パブリッシング)
・ 『萌貓投資偵探所 (Traditional Chinese Edition) 』(2019年、台湾にて発売)
・『LIFE MONEY SENSE 不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話 (2022年、サンライズパブリッシング)
◎企業概要
企業名:株式会社クレア・ライフ・パートナーズ
設立:2012年7月
社員数:90名(正社員・非正規含む/2023年11月3日時点)
事業内容:ライフマネートレーニング事業・ウイスキー・カスク・インベストメント事業・アンティークコイン事業・じぶん倉庫事業・Co-Creation-Team事業他
本社:〒163-0603東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル3F