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ユニークな組織づくり10選〜地方自治体編〜

コラム&ニュース コラム
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社会経済環境の変化が激しい現代において、地方自治体を取り巻く状況も一変しつつあります。

中でも顕著なのが、少子高齢化による若手行政職員の不足。優秀な人材の都市圏への流出を防ぐヒントとして、注目されているのが、「人的資本経営」。

人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な組織価値向上につなげる企業経営のあり方です。

行政においても、自治体DXなどその在り方に対する変革が求められており、人的資本経営を推進する動きが高まっています。

そこで今回は、人材を資本として重要視し、組織価値を向上させるユニークな組織づくりや人材育成に取り組んでいる地方自治体の事例を10個紹介します。

フリーランス行政マン、募集【京都府・京丹後市】

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写真京丹後市・ふるさと創生職員募集より

美しい海と山が自慢の京丹後市では、副業が可能な職員、その名も「ふるさと創生職員」の採用を実施しています。

正規職員(任期付短時間勤務職員)として、週3〜4日は市役所の配属先で担当職員と共に行政が新たに取り組むプロジェクトに関わりながら、空いた時間を使って京丹後市内でフリーランスとして働いたり、農業を行ったり、都市圏の企業の仕事をリモートワークで行ったりすることができます。

任期は3年。その間、次のキャリアに向けた新たな仕事や人脈作りも可能です。

既存の仕事を続けながら、土地や文化が自分に合うかを知ることができる制度のため、将来的に定住を考える求職者にとっては非常に魅力的な制度となっています。

行政側としては、地方創生の更なる推進を図るとともに、任期終了後の定住を支援することで、U・Iターンの促進につなげる狙いです。

鯖江市役所JK課、女子高生発信のまちづくり【福井県・鯖江市】

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鯖江市役所JK課公式サイトより

めがねのまちとして有名な鯖江市では、2014年に「鯖江市役所JK課」を発足。

鯖江市に在住、もしくは鯖江市内の高校に通う現役の女子高生(高専の1〜3年生を含む)が、様々な市民・団体や地元企業、大学、地域メディアなどと連携・協力しながら、鯖江市を楽しむための企画や活動を行なっています。

2021年度は、交通安全教室用の信号機づくりやSUP体験、星空観測や投票啓発動画の作成などに取り組んだほか、2022年度にかけて海の環境を考える「海と日本プロジェクト」を推進するなど、時代に即した様々な取り組みを進めています。

既存のプロジェクトへ女子高生たちを巻き込むのではなく、女子高生自身がやってみたいまちづくり活動を提案し、市役所をはじめ市民団体や地域の大人たちを巻き込む「ゆるさ」を重視した新しい市民協働推進のモデルとして注目を集めています。

キャリアへの不安・ロールモデル不在、若手行政職員の課題を検証【熊本県・熊本市】

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熊本市ホームページより

熊本市は、グラビス・アーキテクツ株式会社(本社:東京都港区、北海道札幌市)と協定を結び、熊本市職員を対象としたエンゲージメント調査と、今後の人事施策の検討を2023年6月から開始することを決定しました。

熊本市では、職員一人ひとりが、仕事へのやりがいを感じながら業務を遂行できるエンゲージメント(職員と組織が一体となり、双方の成長に貢献し合う関係)の高い組織体制の整備を目指しており、職員を対象にアンケートを実施し、現状に対する満足度や就業継続意欲等のデータから課題改善案を探る見通しです。

参考:熊本市

ボスが変われば職場が変わる!イクボス宣言【茨城県・石岡市】

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石岡市役所ホームページより

酒造りが盛んな醸造のまち石岡市では、令和2年9月29日に、石岡市で2回目となる「石岡市役所イクボス宣言」を行いました。

イクボスとは、職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランスを考え、部下のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のこと。

イクボス10ヵ条として、「理解」「ダイバーシティ」「知識」「組織浸透」「配慮」「業務改善」「時間捻出」「提言」「有言実行」「隗より始めよ」を定め、共働きの育児や、制約社員の増加など、多様化する職場の人材を活かすマネジメントを実施できるイクボスになるべく、職員向けセミナーや市長・教育長・管理職(部長級)向けセミナーを実施しています。

「20時完全退庁」本気の働き方改革【山口県・周南市】

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周南市市役所ホームページより

小学生までのこどもの医療費¥ 0で有名な周南市では、2017から本気の「働き方改革」&WLB(ワークライフバランス)の推進と称して、週1回以上の定時退庁と、20時完全退庁への取り組みを実施しています。

全職員に、『WorkSmart』、つまり短時間で高い価値を生む、生産性の高さを重視する働き方への意識を浸透させることを目指し、各職場単位での業務の見直しや効率化を徹底し、働きやすい職場環境改善に向けた取組みを継続的に実施しています。

理想や夢物語で終わらない女性活躍推進プロジェクト【大阪府・泉南市】

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泉南市役所ホームページより

新鮮な山海の幸が自慢の泉南市では、2021年7月に、「理想や夢物語で終わらない、具体的な提言をしよう」を合言葉として泉南市働き方改革・女性活躍推進プロジェクトチームを発足しました。

部長級の女性職員がいない、つまり意思決定の場に女性が不在であることは多様な意見の創出を阻み、組織にも市民にも不利益と考え、誰もが活躍できる組織を目指しています。

部長級の女性職員を増やすため複数の解決策を提言し、その中から「時差勤務の拡充」と「男性育休100%へ向けた取り組み」の導入を検討することになりました。

ギャルから学ぶ広報力強化研修【北海道・札幌市】

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SAPPORO SMILEインスタグラムより

札幌市総務局広報部では、若者へ発信力スキルを高めるため、2023年2月に2日間にわたって「ギャル式ブレスト」と「ギャル式街歩き」を行いました。

「ギャル式ブレスト」とは、自由な発想を持つギャルとのブレストを通して、組織内のコミュニケーション硬直化の改善・新規事業創出のためのマインドセット獲得をサポートするもの。

「肩書き・役職関係なし!」「タメ語で話そ!」「あだ名で呼び合お!」「リアクション多め!5分以上沈黙🈲」「自分が持っている中で一番派手な服装で参加」といったユニークなルールのもと、もしも自分が札幌市の観光大使になったと仮定したとき、どのようなPR施策を打ち出すかを具体的に考えるブレストを実施しました。

また、「ギャル式街歩き」では、大倉山ジャンプ競技場・札幌市時計台・札幌テレビ塔を巡り、若者の視点に立って各場所の魅力についてCGO(チーフ・ギャル・オフィサー)へプレゼンテーションするワークを行いました。

若者に刺さるプロモーションのタネや、ターゲットにリーチする訴求方法を発見できたほか、ギャルの直感的で忖度のないコミュニケーション方法を体験することで、組織内のコミュニケーション硬直化の改善・新規事業創出のためのマインドセットを獲得するといった狙いがありました。

従来の常識を打ち破る能力開発重視の人事考課【大阪府・岸和田市】

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岸和田市役所ホームページより

だんじり祭で有名な岸和田市は、2003年から人材育成型の人事考課制度を構築しています。

曖昧な人物評価ではなく、職員に対して基準とルールがあらかじめ明確に示されたシステム化された考課を作ることで、能力開発を図る狙いです。

特徴は、本人考課の導入と簡易コンピテンシーの採用です。上司は本人考課の結果をベースとして考課します。

その際取り入れているのが、コンピテンシーという「いい仕事をするために必要な行動」という概念です。

コンピテンシーは、「変革力」や「市民満足志向」や「コミュニケーション」といった職員として働く上で必須のスキルとなる基本コンピテンシーと、「OA活用力」や「人材育成力」や「計画・管理力」など発展的な職務コンピテンシーの2つがあります。

職員は、考課される職務コンピテンシー項目を自分で選ぶことができます。

すべての職員を一律に考課するのではなく、個々の職員が自分の強みをより伸ばすことが可能であるという点において、能力開発に主眼を置いた制度であると言えます。

自治体初ホワイト500認定の健康経営【北海道・苫小牧市】

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苫小牧市役所ホームページより

ホッキ貝漁獲量日本一を誇る苫小牧市では、職員が心身ともに健康であることは、組織の活性化や生産性の向上、ひいては質の高い行政サービスの提供に貢献するという考え方のもと、健康経営と働き方改革を一体的に推進しています。

健康で働きやすい職場環境の整備のため、定期検査や不妊治療など職員の健康等に応じた「セルフケア休暇」の新設や、生活習慣病等の予防等に関する研修の実施など、積極的に新たな取り組みを取り入れています。

そんな苫小牧市は、2022年に全国で自治体初となる「健康経営優良法人2022(大規模法人部門 ホワイト500)」に認定されています。

働き方改革コンサルティングの導入【福島県・会津若松市】

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会津若松市役所ホームページより

仕事の属人化による特定の職員への業務の偏りを課題としていた会津若松市。仕事の進め方や業務のあり方を見直すため、働き方改革コンサルティングの株式会社ワーク・ライフバランスのサポートのもと、2021年7月より業務内容が異なる庁内3つの職場(契約検査課、公共施設管理課、農政課)の31名を対象に、働き方改革を実施しました。

具体的な取組み内容は、1日の予定を立てて実績を振り返ることで、時間の使い方の差異から働き方改革の課題を見つける「朝メールドットコム」の活用、チームごとに課題をみつけ解決策を議論する「カエル会議」などです。

また、毎週金曜日に職員同士で感謝の言葉を伝え合う「サンキューフライデー」で飲みニケーションの減少も補いました。

モデル職場での試行により、有給休暇取得率が前年と比べて5割増となった課もあるなど、確かな効果を感じることができました。

まとめ:人材育成への取り組みと成果が地方自治体のバロメーター

本記事では、組織価値を向上させるユニークな組織づくりや人材育成に取り組んでいる地方自治体の事例を10個紹介しました。

人口減少の加速により、地方公務員の人材確保は一層困難になると予測されています。多様性のある人材確保や幅広い能力開発が求められており、各地方自治体における人材育成の重要性は高まる一方です。

人材育成への取り組みと成果が、各地方自治体の体力を示すバロメーターと言えるのではないでしょうか。

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ライター:

1991年東京生まれ。中央大学法律学部出身。卒業後は採用コンサルティング会社に所属。社員インタビュー取材やホームページライティングを中心に活動中。

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