~ステークホルダーエンゲージメント・ステークホルダー資本主義まで網羅して解説~
ステークホルダーという言葉を普段の日常会話で聞く人は少ないでしょう。ただ、ビジネスシーンだと多用される用語となります。
なんとなく理解した気になっているが、正確にその意味を問われると、回答しにくい言葉と言えるでしょう。そこでこの記事でステークホルダーについて意味や種類、歴史、どのような場面で使われるか、関連する用語を解説します。
ステークホルダーが意味するところは?
ステークホルダーはよく、日本語では「利害関係者」という言葉で訳されます。利害関係者が意味するところが広範囲に及ぶため、余計にわかりにくい用語と言えます。
利害関係者以外の表現で、ステークホルダーが意味するところをわかりやすく言うと、「会社の関係者」というのが近いと思います。会社は業種・業態にかかわらず、さまざまな人が関わるものです。
当然、会社によって、関わるステークホルダーの数も種類も異なります。起業したての頃の会社であれば、お客様と社員、株主、金融機関ぐらいしかステークホルダーはいないかもしれません。ただ、事業規模が拡大すれば、何千何万と関わるステークホルダーも増えていきます。
さまざまな人や組織と関わりを通じて会社はビジネスを営むもの。ステークホルダーとは、その関わるすべての人や組織を意味する言葉です。
ステークホルダーの種類
ステークホルダーには実際にどういった種類があるのか、代表的なものをここからは例に挙げて解説していきます。
社員やその家族
「社員」は多くの会社にとって最も重要なステークホルダーです。会社の目的も従業員や家族に安定した生活を送ってもらうために、事業を営むのだと考える経営者は多いです。
最近では、一口に「社員」と言っても、正社員や業務委託、パート・アルバイトと様々な種類の関わり方があります。
経営者や会社が実現したいビジョン、パーパスに賛同して、目的を体現する実行者として働く社員たちですが、ステークホルダーとして考える際は、社員だけではなく、その先に「家族」というステークホルダーもいることを意識して、会社からの貢献の在り方を考えることが、いい会社の姿と言えます。
会社から社員の家族に向けたメッセージを定期的にきちんと配信している会社はいい会社と言えるでしょう。
また、会社を辞めてしまったOB・元社員もまたステークホルダーと考える向きがあります。なぜなら、最近では出戻りを受け入れる会社が多いからです。元社員たちによる会社の口コミサイトの存在感も大きくなっていますよね。辞めていった社員だからと、軽視するのではなく、元社員もまた重要なステークホルダーと考えることが、人を大切にするいい会社の条件と言えます。
お客様・顧客・ユーザー
会社は売上を立てなければ持続しません。ビジネスであれば、それがどんな分野であれ、商品・サービスを購入する「お客様・顧客・ユーザー」を獲得できなければ持続できません。
あえて書くまでもないことですが、多くの企業にとって、「お客様」が最も重要なステークホルダーであると考える会社は多いでしょう。
取引先・サプライヤー・仕入先
会社は商品やサービスを作りますが、そのモノやサービスの原材料はどこかから仕入れなければいけません。そのモノやサービスの材料を供給してくれる相手をステークホルダーの分類では、「取引先・サプライヤー・仕入先」といいます。
例えば、製造業であれば、資材や部材を仕入れて、それを加工して商品を作りますね。その資材を供給してくれる相手が「取引先」というステークホルダーになります。
ケーキ屋さんであれば、ショートケーキのクリームを作るために、牛の酪農家や卵会社、ショートケーキに添えられる、いちごの農家などが取引先です。
また、ステークホルダー分類上の取引先という言葉が意味するところは広く、会社の税務をみてくれる税理士であったり、リーガルチェックをする弁護士も取引先として分類されることが多いです。
その他、社員ではないけれども、業務委託として関わってくれるメンバーやコンサルタントなども取引先として分類されることもあります。
地域社会
会社の所在地である、ビルの管理会社や地域の住民、自治体、社員がランチで活用する飲食店、NPOなどが「地域社会」と呼ばれるステークホルダーに分類されます。
米国の経済団体ビジネス・ラウンドテーブル(以下BRT)が2019年に出した「ステークホルダー資本主義」(後述します)の宣誓では、この「地域社会」が非常に幅広く捉えられています。「一般市民」「自治体」「NPO団体」「経営者コミュニティ」などのステークホルダーも「地域社会」の中に分類されていました。
日本では古くから、「三方よし」の考えが根付いています。いい商売の極意とは、売る人にとってメリットがあり、買う人も喜び、世間にとってもよいビジネスであることだと喝破したものですが、この「世間」という考え方自体が、そのまま地域社会を言い表した言葉であり、地域社会を大切にすることの重要性に早くから気づいていた国柄と言えます。
実際に、日本は長寿企業大国ですが、社歴100年以上の会社の理念などをみると、地域社会への貢献を謳っているところが非常に多く、地域社会を大切にする企業こそが持続可能な企業と言えるかもしれません。
株主
多くの会社にとって「株主」は無視できない、最重要なステークホルダーです。
議決権を有する株主同士が手を組み、経営者を放逐することさえできます。アメリカをはじめ日本でも企業の所有者は株主という考え方が一般化するようになりました。その考え方は正しくもあり、一方で株主の利益だけを過度に追求することで、ほかのステークホルダーの利益を逸してしまう、そうした行き過ぎた株式第一主義な経営が目立つようになってしまったことが、今日の超格差社会を生み出した要因の一つとも言われます。
中小企業であれば、株主=経営者という会社が多いでしょう。あるいは、経営者一族(オーナー一族)で株式を持ち合いしていることもあります。
スタートアップ企業では、創業者のほかに、投資家がいて、ストックオプションを発行された社員もまた株主となっているケースが多いです。
株式公開している上場企業になれば、一般投資家やアクティビストファンド、年金基金、保険、海外の投資家、社員の持株会など、色々な属性の株主がいます。
金融機関
「金融機関」は場合によっては「地域社会」に内包されるステークホルダーです。起業して潤沢な自己資金のもと事業をはじめるのでなければ、多くの企業が開業資金や暫くの運転資金を地域の信用金庫や信用組合、地銀、都市銀行から借りることでしょう。
金融機関は、デッドで資金を貸してくれる重要なステークホルダーです。
地球
多くの会社にとって「地球」がステークホルダーという意識はないかもしれません。
しかし、気候変動リスクが無視できないラインまで来てしまった2020年代を考えると、地球上に存在するすべての会社や法人が、きちんと持続可能な社会づくりを考える必要があります。
当たり前のことを言いますが、私たち人類は生物であり、ヒトです。人類はもともと地球と生命体との共進化のプロセスで生まれた多様な生物の一種に過ぎないはずでした。それが近代以降自然を大幅に改変するようになり、自らの母胎である生態系さえも破壊するようになったのです。
肥大した産業経済活動は地球の炭素循環系を攪乱させ、地球温暖化を引き起こすようになりました。こうした人類の活動によって社会経済や地球環境の変動が急増している現象を「グレート・アクセラレーション」といいます。
新しい時代に向かう過程で、長いこと人類に突きつけられた、さまざまな問いをもう先延ばしにはできません。いのちの尊さや幸せとは何かの再解釈が求められる時代なのです。
地球が重要なステークホルダーという考え方をすべての会社、一人ひとりの人間が持つことこそが、これからの時代は求められています。
さて、地球を重要なステークホルダーと考えることで行動はどのように変わるでしょうか?
この答えは各企業が考えるべきものですが、環境にやさしい素材を活用したり、CO2削減に貢献するなどやれることは多いはずです。
未来世代
2019年に米国BRTが、「ステークホルダー資本主義」の宣誓をしたときに、ステークホルダーは顧客、社員、サプライヤー、地域社会、株主の5つにカテゴライズされました。地域社会に多くのステークホルダーが内包されたのでしょうが、cokiでは「未来世代」という時間軸をもって、経営にあたることがより良い社会を作ることになると考えています。
いまの地域社会に対して貢献できることと、「未来世代」という時間軸を通して貢献できることは異なります。
会社が扱うヒト・モノ・カネ・土地といった資源は社会からの預かりものです。そうした資源を活用して利益を生み出すのですから、きちんと未来世代のためにより良い社会を築いていくという考えを持たなければなりません。企業は「社会の公器」です!
政府・関係省庁・自治体
多くの会社は、「自治体」や「中央省庁」「政府」がステークホルダーと認識してはいないでしょうが、自治体に納税する、補助金を申請するなど考えると、やはりステークホルダーと言えます。
事業によっては、関係省庁の認可が必要な企業もあるでしょう。また、規制がかけられている分野に、説明が必要な場面もあります。
メディア
「報道機関」もまたステークホルダーと言えます。企業が新商品を発表する際やSDGsな取り組みなどを取り上げてもらうべく、多くの企業で広報が報道関係者と良好な関係を築こうとします。
大学・学校
「大学」と共同研究を行ったり、寄付講座をもったり、あるいは学生に就職説明会を開いたり、多くの会社にとって大学・学校がステークホルダーというところも多いでしょう。
学生
インターンシップとして学生を受け入れたり、就職説明会を開いたり、自社に就職してもらうために、人事部が関わるステークホルダーと言えます。
国
あまり意識されるステークホルダーではないですが、国に納税していますし、 国がどういった政策をとるかによって、事業自体が大きく揺らぐことも考えられます。地政学リスクを考慮すると、例えば、中国が尖閣に来る際、日本の対応いかんでは、サプライチェーンが大きく棄損することも考えられますし、BCPをどのように構築するかなど、意識すべき問題と言えるでしょう。
また、海外に拠点を持っている企業にとっては他国はルールなども把握しなければならない重要なステークホルダーとなります。
ステークホルダーの例
なかなかわかりにくいのが、ステークホルダーという言葉の難しさです。そこで、ラーメン屋を参考にして考えてみましょう。
開店まもないラーメン屋のステークホルダー 例
最初は社員もいない一人でお店をはじめるとします。法人化していれば、経営者が「株主」も兼ねた存在となります。
ラーメン屋をオープンするにあたって、開業資金を集めなければなりません。自分の手持ちの500万円だけでは足りないので、追加で300万円を地域の信用金庫に創業融資してもらいました。この信用金庫が「金融機関」として、定期的に借りたお金を毎月一定額返済していくステークホルダーになりました。
続いて、ラーメンをオープンする場所を渋谷にしました。ラーメン屋が入居するテナントのオーナーが「地域社会」というステークホルダーになります。
さて、ラーメンを作るには、ラーメンの麺や豚骨、煮干しなどを仕入れる必要があります。この材料を納品してくれる業者が「取引先(サプライヤー)」というステークホルダーですね。
さぁ、やっとのことで、できたラーメンです。食べにきてくれるお客は、もちろん「お客様」ですね!
これだけでビジネスは完結しそうに見えますが、人と人とのつながりが求められるのが社会です。ラーメン屋が属している渋谷の商店街の会合に参加しなければなりません。商店街の連中は「地域社会」です。
3か月が経ち、黒字化できるようになりました。ラーメン屋の店主は地域の経営者会、青年会議所のメンバーとなりました。経営者会やコミュニティも「地域社会」というステークホルダーに分類できます。
半年が経ち、ワンオペに疲れてきました。仕込みを手伝い、注文をとってくれる「社員」を採用しました。
こうして経営は軌道に乗りました。以上が、オープン間もないラーメン屋さんで考えるステークホルダーの例です。
ステークホルダーの歴史
ここからは、ステークホルダーの歴史を見ていきましょう。
ステークホルダーという言葉が最初に使われたのは、所説ありますが、1946年に米国スタンフォード大学で設立された「SRIインターナショナル」という研究機関だと言われています。
1963年にSRIインターナショナルの機関内向けのメモで、ステークホルダーは「そのグループからの支援がなければ、当該組織が存続し得ないようなグループ」と定義されていました。
のちに、1980年代に入り、米国の哲学者ロバート・エドワード・フリーマン(バージニア大学ダーデン校経営学教授)が提唱して広く使われるようになりました。フリーマンは、利害関係者理論とビジネス倫理に関する研究で高名な方です。1984年、フリーマンは著書『Strategic,Management:A stakeholder Aproach』において、ステークホルダーについて言及しています。
もともと、ストックホルダー(株主)という言葉をもじり、「ステークホルダー」となったと言われています。この著書のなかでステークホルダーは「組織の目標達成に影響するか影響を受けるグループ、または個人」と定義されました。ただ、この定義が広義で曖昧だったことが後に難解になった要因ともいえるでしょう。
のちに、フリーマンは、狭義の定義を表明しています。そして、「ステークホルダーとは、組織体の存続および成功にとって不可欠なグループ」となりました。
日本におけるステークホルダーの歴史
一方、日本でステークホルダーが強く意識されるようになったのはいつからでしょうか。
1970年代に日本では、公害が大きな問題となり、企業の社会的責任が問われるようになりました。この頃に、会計報告の範囲は、株主や債権者だけではなく、顧客、生活者、規制機関にも拡張されたようです。
それが1980年代後半になると、財務会計の報告責任範囲は、利害関係者という言葉ではなく、ステークホルダーという言葉にとってかわっていったそうです。ただ、日本のステークホルダーの考え方については、遡れば、先述した中世時代の近江商人の三方よしの考えがありますし、概念として意識されてきた歴史は長いと言えそうです。
ステークホルダーという言葉が使われ出したのは、1980年代後半ですが、元々の概念でいうと意味するところが近い「社中(しゃちゅう)」という言葉は江戸時代から使われていました(坂本龍馬の起こした「亀山社中」の名前に使われている社中です!)。
この社中は正式に言えば、一般的に言われているステークホルダーとは別です。ステークホルダーが意味するところは、利害が対立する、利害関係者を指します。マルクス、エンゲルスが唱えたように、労働者と資本家は対立関係にあるという考えのもと、交渉して物事を決めるのでステークホルダーと呼ばれてきた経緯があります。日本の経団連や政府も最近ではステークホルダーと言いますが、日本の多くの会社は、従業員と資本家は対立するのではなく、協力する前提で考えます。
社中という言葉は、会社を成功に導くために協力する仲間のことを言います。
最近では、ステークホルダー資本主義が言われるようになりましたので、伝統的日本式経営の価値観(利他を比較的重要視する精神)に2019年以降欧米社会の価値観が追い付いてくるトレンド化が見えていると言えます。
以下からは、ステークホルダーから派生していった関連用語を見ていきましょう。
ステークホルダーマップについて
ステークホルダーを理解するのに、「ステークホルダーマップ」というものがよく使われることをご存知でしょうか。
ステークホルダーマップとは、法人だけではなく、あるプロジェクト内のステークホルダーの関係性を図式化したものです。サービスの全体像を把握することに活用されることが多いです。
現代社会は、VUCAとも形容されるように、見通しの立ちにくい、複雑にして不確実な社会となっています。関係者をうまく巻き込みながらプロジェクト推進をしていかなければなりません。
ステークホルダーマップをつくることで、そのような関係者とのつながりを知り、関係性を強化するためのアイデアが得られるメリットがあります。
ステークホルダーエンゲージメントについて
「ステークホルダーエンゲージメント」を向上しようということが、事業規模の大きな会社では言われるようになりました。はたして、「ステークホルダーエンゲージメント」とは何を指すのでしょうか?
「エンゲージメント」という一語だけでみると、ビジネスでは、会社とステークホルダーとの両者の間に信頼関係が醸成されていることを指します。
一般的に使われる際は、「従業員エンゲージメント」「顧客エンゲージメント」といった意味合いで利用されます。従業員エンゲージメントは、似た言葉に「社員満足度」があります。ただ、両者は意味するところは微妙に異なります。従業員エンゲージメントは、企業の理念や目指すビジョンに共感し、社員が自発的に貢献していく間柄を意味します。社員満足度は、どちらかというと給与などの待遇や職場の人間関係に満足し、会社に満足しているか否かを指す言葉となります。
さて、従業員エンゲージメントや顧客エンゲージメントを拡大したのが、昨今よく使われる「ステークホルダーエンゲージメント」です。日本取引所グループが開示している「ESG情報開示ハンドブック」でも、ステークホルダーエンゲージメントを向上させていくことが、重要視されています。
また、経団連が発刊している「企業行動憲章 実行の手引き(第7版)」の 第3章にも公正な情報開示、ステークホルダーとの建設的対話を取るべきと推奨されています。幅広いステークホルダーへの説明責任や双方向コミュニケーションの重要性について明記されていますので、ぜひ読んでみてください!
求められる非財務情報の可視化
ステークホルダーと信頼関係を築くためには、まずはステークホルダーから見た企業がどういった存在かを知ることから始めなければなりません。最近では、非財務情報の可視化が重要視されるようになりました。
非財務情報とは、売上や利益といった定量的な企業価値ではなく、まさにステークホルダーエンゲージメントなどの表には見えない企業の価値を意味します。
ステークホルダーから企業がどのように評価されているかを可視化した先で、対外的に、その向き合い方を情報開示していくことで、世間に「ステークホルダーを大切にするいい会社」と伝えることができるようになります。
実際に、私たちの購買行動はもはやステークホルダーの声を参考にしなければほとんどの商品・サービスを購入することはなくなっています。BtoCの商品では、例えば、Amazonに並んでいる商品は口コミを多くの人が参考にするでしょう。BtoB商材では、導入事例などを参考に購入を検討する方が多いはずです。
ステークホルダーマネジメント
ステークホルダーエンゲージメントと同じような意味でつかわれるのが、「ステークホルダーマネジメント」になります。意味するところは、より「管理」的な意味合いが強いもので、会社単位というよりは、プロジェクトを管理する際に活用される用語と言えます。
ステークホルダー資本主義について
ポストコロナの経営において、「ステークホルダー資本主義」が世界に広がっていくことが予想されます。ステークホルダー資本主義とは、従来の株主資本主義からの揺り戻し、あるいは新しい資本主義を指す在り方として期待されています。
ステークホルダー資本主義とは、企業の持ち主は株主ではなく、顧客、社員やその家族、サプライヤー、地域社会、株主といったマルチ・ステークホルダーであるという宣言のことを指します。
これまでの私たちの社会では、単一のステークホルダーのためだけ、あるいは自社利益のためだけの経営が多く見受けられてきました。
〇株主資本主義では、株主の期待に応えるため、顧客や取引先に負担を強いることになりがちです。
〇顧客偏重主義では、「お客様のため」という名目で社員やサプライヤーに長時間労働を過度に強いることになりがちです。
〇自社利益偏重主義では、業界全体や地域のことよりもとにかく自社が儲かれば良いという経営になりがちです。
そうではなくて、これからの時代は、すべてのステークホルダーを尊重する経営に移行しなければなりません。こうした考え方を超格差社会などを背景にして、多くの人や組織が考えるようになり、ステークホルダー資本主義への移行が期待される気運が高まりました。
先述したBRTの「ステークホルダー資本主義」の2019年の宣誓から、翌年2020年ダボス会議では、「ステークホルダー資本主義」がメインテーマにもなりました。また、コロナ禍の最中、アメリカコンファレンスボードが2020年5~6月に実施したアンケート※によると、経営者があげたポストコロナの最重要課題は、「すべてのステークホルダーの利益のために、企業ミッションを再定義すること」だったそうです。
ただ、ステークホルダー資本主義の社会実装は、言うは易く行うは難しです。宣誓から数年の月日が経ちましたが、すんなりと移行できているとはとても言えない状況です。
現在地について語ったコラムは以下から読むことができます。
※世界経営幹部意識調査(C-Suite Challenge)調べ。経営者の回答の割合(日本70.1% /世界63.5%) )
ステークホルダー理論とは
「ステークホルダー理論」とは何かというと、ミルトン・フリードマンが説いた企業の所有者は株主であるという考えではなく、ステークホルダーを重要視すべきという考え方になります。パイオニアはイーディス・ペンローズと言われています。企業の内部環境研究者であり、人的資源とステークホルダーを含めて研究していました。
まとめ
ステークホルダーについての概説を行ってきましたが、理解いただけましたでしょうか。なんとなくでしか理解されていないステークホルダーについての理解が深まれば幸いです。
これからの時代は、すべてのステークホルダーを尊重する経営が求められます。いい会社とは何か?という評価軸も、ステークホルダーとの互恵的な関係を構築できている会社がいい会社、という世の中になっていけば持続可能な社会の実現につながっていくでしょう。
たくさんのステークホルダーからありがとうが集まる会社が、いい会社という世の中にかわっていくことを私たちcokiも目指しています!