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政府の自己評価で判明!生物多様性対策は“やってる感”だけ? 国の通信簿が明かす自然回復の厳しい現実

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生物多様性レポート2026

2026年2月20日、政府が「生物多様性国家戦略2023-2030の実施状況の中間評価」と「生物多様性条約第7回国別報告書」をとりまとめ、条約事務局へ提出した。小難しく聞こえるが、要するに「日本の自然保護、今どうなってるの?」という世界に向けた“通信簿”である。

だが、その中身を紐解くと、手放しで喜べない日本のリアルが浮き彫りになってきた。

 

評価は「順調」8つに対し、「進展不十分・進展なし」が31の衝撃

今回の報告書では、2030年までに達成すべき「2030年ネイチャーポジティブ(自然再興)」に向けた進捗が評価された。しかし、結果はシビアだ。全40の国別目標のうち、「目標達成に向けて順調」と評価されたのはわずか8つにとどまった。

一方で、22の目標が「進展したが、その程度は不十分」、さらに9つの目標が「大きな進展なし」、1つが「不明」という厳しい結果となったのだ。

 

特筆すべきは、目標の種類による明確なギャップだ。施策の実施状況を示す「行動目標」は全25のうち「大きな進展なし」が2つにとどまり、多くが進展を見せている。しかし、自然の実際の回復具合を示す「状態目標」については、全15のうち約半数の7つが「大きな進展なし」と判定された。

つまり、「対策はやっているが、自然は回復していない」という実態だ。報告書でも、「我が国の生物多様性の状態は全体として損失し続けており、生態系サービスの状態も回復するまでには至っていないと考えられる」と、政府自ら白旗に近い結論を記している。

では、私たちが直面している課題とは具体的にどのようなものなのか? 身近な目標をいくつかピックアップし、通信簿の生々しい中身を覗いてみよう。

 

実態① クマ被害は増加、農作物被害も高止まり。「鳥獣被害の緩和」は黄信号

地方のみならず、都市部周辺でも連日のようにニュースになる野生動物の被害。政府は状態目標2-3として「野生鳥獣との適切な距離が保たれ、鳥獣被害が緩和している」と掲げているが、こちらの評価は「大きな進展なし」だ。

報告書によれば、ニホンジカやイノシシの推定個体数は2020年以降減少傾向にあるなど一部で改善は見られるものの 、肝心の「全国の野生鳥獣による農作物被害額」は依然として高い水準のままだ。さらに深刻なのは、「クマ類による人身被害件数」が増加傾向にあることだ。国民の安全や生活に直結するこの目標で成果が出ていないことは、非常に重い課題と言える。

 

実態② 「外来種」はマングース根絶の快挙の一方で、全体の定着率は増加のイタチごっこ

生態系を脅かす厄介者といえば外来種だ。行動目標1-3では「侵略的外来種による負の影響の防止・削減」を掲げている 。この評価は「進展したが、その程度は不十分」。

明るいニュースとしては、水際対策が功を奏し猛毒を持つ「ヒアリ」の定着地点数を0に抑え込んでいることや 、2024年9月に奄美大島で「フイリマングースの根絶」が宣言されたことが挙げられる。

しかし、全体のヘッドライン指標である「侵略的外来種の定着率」自体は、対策の強化にもかかわらず増加傾向にあるという。まさに終わりの見えないイタチごっこが続いているのが現状だ。

 

実態③ 「絶滅危惧種」の回復は足踏み。リスト更新の遅れも露呈

状態目標1-2「種レベルでの絶滅リスクが低減している」。これも評価は「大きな進展なし」となっている。

アマミノクロウサギやトキ、コウノトリなど、一部の絶滅危惧種では個体数が回復傾向にあるものの 、全体の絶滅リスクを測る「レッドリストインデックス」等の指標は維持傾向(横ばい)にとどまっている。

しかも、指標が変化していない理由の一つに「2020年から2024年の間にレッドリストが更新されていない」という、行政側の足踏みも指摘されており 、実態把握の遅れも気がかりだ。

 

希望の光は? 企業の情報開示や「食品ロス」削減は優秀!

暗い話ばかりではない。行動目標のなかには、はっきりと成果が出ているものもある。

例えば、行動目標3-1「企業による生物多様性への(中略)情報開示を促す」については 、見事「目標達成に向けて順調」の評価を獲得 。自然環境に関する情報開示(TNFDなど)を行う日本の企業数はすでに160社を超え 、CDPを通じた情報開示をしている企業数は355社に上り、なんと世界平均(約30社)の10倍以上の企業がすでに取り組みを進めているのだ。

また、行動目標4-4の「食品ロスの半減」については 、事業系食品ロスが「2030年度までに2000年度比5割減」という目標を、なんと8年も前倒しで達成した。家庭系の食品ロスも着実に減少しているという。

 

パブコメ提出者はたったの「17人」! 国民の無関心も浮き彫りに

企業や行政の努力が一部で数字に表れている一方で、一度バランスを崩した「自然の回復」や「野生動物との共存」を取り戻すには、並大抵の行動では太刀打ちできないことがよくわかる。

そして何より深刻なのは、私たち国民の関心の低さかもしれない。この重要な報告書をまとめるにあたり、令和7年11月4日から12月3日にかけて実施されたパブリックコメント(意見募集)に意見を寄せたのは、のべ226件に対し、なんとたったの「17人」だったのだ。

報告書では「自然環境を保全・再生する活動に対する国民の積極的な参加が行われている」という状態目標や 、「教育や普及啓発を通じて、生物多様性や人と自然のつながりを重要視する価値観が形成されている」という状態目標も 、「大きな進展なし」と評価されている。パブコメの参加人数の少なさは、まさにこの「国民の無関心」を如実に表していると言えるだろう。

 

2030年「ネイチャーポジティブ」は絵に描いた餅で終わるのか?

もちろん、絶望ばかりではない。国家戦略の策定から2年余りで「目標達成に向けて順調」となった目標が複数あったことは「特筆に値する」と報告書も自己評価しており 、施策自体は着実に進み始めている。

しかし、2030年までの目標達成に向けては、国や企業だけでなく、国民一人ひとりが参加し、行動していくことが欠かせないとされている。

 

「対策は実施している」という“やってる感”だけで満足せず、いかに日本の自然を本当の意味で回復軌道に乗せるか。目標年まで残された時間は、あと4年しかない。

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ライター:

株式会社Saccoマネージャー、株式会社Blockchain Tech Farm 代表取締役。営業や多岐にわたる事業での経営経験を経て、2014年にブロックチェーン分野へ参入。2017年に株式会社Blockchain Tech Farmを設立し、非金融領域でのブロックチェーン活用を推進。多くの企業との縁から、現在は株式会社Saccoのマネージャー、ライターとしても活動している。

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