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伝統×廃棄鉄粉 ゴミを「一点物」に変える広島発の逆転発想

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伝統×廃棄鉄粉 ゴミを「一点物」に変える広島発の逆転発想
提供:株式会社Raymaka

「サステナビリティ」という言葉が記号化しつつある今、広島の小さな企業が放つ一手は、鮮烈で、かつ静かな説得力に満ちている。

伝統工芸と産業廃棄物。一見すれば水と油のような両者が、一筋の「糸」によって現代の暮らしに溶け込み始めた。

 

ギフト・ショーで喝采。伝統工芸「紙布」と廃棄鉄粉の融合

2026年2月、熱気に包まれる東京ビッグサイト。第101回東京インターナショナル・ギフト・ショーの会場で、あるプロダクトがバイヤーたちの足を止めた。

広島市の株式会社Raymakaが展開するブランド「Kamiora(カミオラ)」の新作である。そこに並ぶのは、和紙を細く裁断して織り上げる日本古来の「紙布」を用いたテキスタイルだ。

だが、注目すべきは素材の希少さだけではない。かつて地元の鉄工所で「ゴミ」として捨てられていた鉄粉が、その表面で鈍い輝きを放ち、現代的なアートへと昇華されていたのである。

「紙」の弱点を克服。廃棄物を唯一無二の価値へ

このプロダクトの凄みは、単なるノスタルジーに逃げていない点にある。紙布の最大の弱点であった耐久性について、同社は広島県江田島市で独自の織り構造を開発。撥水加工を施すことで、日常の「道具」としての実用性を手に入れた。

さらに、尾道市の立花テキスタイルとの協業による「鉄粉プリント」が、製品に命を吹き込む。化学染料では決して出せない、工業用副産物特有の重厚な質感。酸化の度合いによって、一つとして同じ模様は存在しない。

大量生産・大量消費の時代に対するアンチテーゼのように、廃棄物が「世界に一つだけ」の付加価値へと転換された瞬間である。

 

「保存」ではなく「活用」。Raymakaが貫く現場の哲学

なぜ、彼らはこれほど手間のかかる手法を選ぶのか。代表の末宗千登世氏は、サステナビリティの本質を鋭く突く。

末宗氏は、伝統を単に博物館に並ぶ「保存品」にするのではなく、経済活動の中で使われ続ける状態に導くことこそが重要だと考えている。

「失われつつある技術や副産物を、現代の生活者にとって価値あるものへ再構築する。日常の中で価値を循環させていくことこそが、真の持続可能性です」

彼女の言葉には、綺麗事ではない、現場を知る者特有の重みが宿っている。

 

地域共生の教訓。物語が消費者の共感を生む

Raymakaの挑戦は、これからのビジネスが生き残るための決定的なヒントを提示している。一つは、伝統工芸というソフトと、鉄鋼業というハードを「デザイン」で結びつけた、異質な資源の掛け合わせだ。

そしてもう一つは、徹底した「物語(ナラティブ)」の構築である。現代の消費者が財布を開くのは、単なる機能に対してではない。その製品が、どこの、誰の、どんな課題を解決して生まれたのかというストーリーに共感した時だ。

廃棄鉄粉という「負の遺産」を最大の魅力へと変貌させた同社の歩みは、日本のものづくりが再び輝きを取り戻すための、一筋の光明に見えてならない。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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