
素材の価値を余すことなく引き出すことが、食品ロス削減と地域農業の持続可能性を担保する。青木フルーツが手掛ける「おけさ柿」の活用は、単なる廃棄支援を超えた産地共創のモデルケースと言える。
佐渡産おけさ柿の規格外品を救う「柿ジュース」発売の狙い
福島県郡山市に本社を置く青木フルーツ株式会社は、2026年2月2日より、新潟県佐渡市の特産品「おけさ柿」の規格外品を活用した『とろ~り柿ジュース』を期間限定で発売する。
本取り組みは、JA佐渡、JA全農にいがた、そしてイオンモールとの4者協働によるものだ。収穫時に生じる傷やサイズの不揃いによって市場流通から外れた柿を、同社が展開する「果汁工房果琳」などのジュースバーにて商品化する。
味や品質に遜色がないにもかかわらず、外見の理由で廃棄されてきた資源に、新たな市場価値を付与する試みである。
他社と一線を画す「垂直統合型」の出口戦略
同社の取り組みが他社のフードロス対策と一線を画すのは、一次産業から三次産業までを垂直に繋ぐプラットフォーム機能にある。通常、規格外品の活用は単発のイベント的な販売に留まることが多い。
しかし、青木フルーツは全国に180店舗以上の直営ネットワークを持つ。この強力な販売チャネルを背景に、イオンモールという巨大な商業インフラと連携することで、一過性のボランティアではないビジネスとしての持続性を確保している。
外観に左右されない「ジュース」という形態は、素材のポテンシャルを最大限に活かしつつ、消費者が日常的にサステナブルな選択をできる戦略として極めて合理的である。
AOKIサステナブルビジョンが描く「産地共生」の哲学
このプロジェクトの背後には、2022年に策定された「AOKIサステナブルビジョン」が存在する。同社は、フルーツに関わる事業活動そのものが持続可能な社会への貢献であると定義している。
「完熟したおけさ柿の濃厚な甘みは、ジュースにすることで最も輝く。外観を理由にこれが捨てられるのは、産業としての損失だ」という現場の確信が、商品開発の原動力となっている。
単に余ったものを買い取るのではない。生産者の労力軽減や利益向上を見据え、ジュース専用としての栽培・出荷方法を提案するなど、産地の構造改革にまで踏み込む姿勢は、同社が掲げる理想を体現している。
欠点を特性へ変える「価値の再定義」が導く地方創生の解
青木フルーツの挑戦は、現代の企業が直面する課題解決への示唆に富んでいる。まず挙げられるのが、欠点を特性へと変換する視点だ。
外見の不備を隠すのではなく、完熟という加工適性の高さとして再定義したことで、看板商品に劣らないクオリティを実現した。また、単独行動ではなく、共通言語を持つパートナーとの協働も重要だ。
JAやイオンモールといった異なるレイヤーのプレイヤーと「地域農業の持続」という目的を共有したことで、個社では成し得ない規模のインパクトを生み出すことに成功している。生産者、消費者、企業、環境を含めた「四方よし」のモデル構築こそが、これからの経済が追うべき本質である。



