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2024年問題を突破する「貨客混載」 いちごが描く宮崎・福岡の食物流革新

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2024年問題を突破する「貨客混載」 いちごが描く宮崎・福岡の食物流革新
提供:いちご株式会社

物流の「2024年問題」が深刻化する中、いちごグループが進めるのは単なる輸送の代替ではない。宮崎の食資源を高速バスと新幹線で福岡へ運ぶ「貨客混載」を軸に、次世代の料理人と共に新たな価値を創出する試みだ。

 

物流DXの新潮流「新幹線×高速バス」を活用した当日配送。宮崎の鮮度を福岡へ

物流コストの上昇とドライバー不足という構造的な課題に対し、いちごポタジェ株式会社(いちごグループ)は、農林水産省が推進する「地域食品産業連携プロジェクト(LFP)」の一環として、持続可能な物流モデルを構築した。2025年1月7日、宮崎市内で集荷された「綾ぶどう豚」や「きんかん」などの食材は、高速バスと九州新幹線を乗り継ぐ「貨客混載輸送サービス」により、わずか数時間で消費地・福岡へと届けられる。到着後、食材は直ちに中村調理製菓専門学校の学生たちの手によって調理され、翌8日には同校のレストランにて一般客へ提供される。既存の公共インフラを最大活用したこのスキームは、産直流通の新たな標準となる可能性を秘めている。

産学連携の独自モデル:単なる「仕入れ」を「教育と共創」へ変える差別化戦略

本プロジェクトが他社の産直支援と一線を画すのは、物流網の整備を「インフラの提供」に留めず、教育機関を巻き込んだ「価値の共創」へと昇華させた点にある。これまでの貨客混載は、主に既存のホテルやマルシェへの供給ルートとして機能してきた。しかし今回は、将来の食文化を担う調理師学校の学生をパートナーに選定した。学生は、当日配送された高鮮度の食材に触れ、その背景を学び、自らメニューを考案する。産地の想いを次世代のシェフに直接託すことで、将来的な仕入れルートの確保や、福岡エリアにおける宮崎食材のブランド認知向上という、長期的なマーケティング戦略が組み込まれているのである。

「サステナブルインフラ」の哲学:不動産から農業まで、いちごが描く社会課題解決

 

この取り組みの背景には、いちごグループが掲げる「サステナブルインフラ」という経営哲学が貫かれている。同社の田口沙緒理氏は、IT・業務コンサルタントから再生可能エネルギー事業を経て農業支援へと足を踏み入れた。田口氏にとって物流は、単なる移動手段ではなく、地方の生産性と都市の消費を有機的に繋ぐ血流そのものである。既存の公共交通機関を物流に活用することで、CO2排出量の削減と輸送効率の向上を同時に実現するその手法は、経済性と環境負荷低減を両立させる、まさに同社が目指す「持続可能な社会のインフラ」を体現しているといえるだろう。

地域経済の処方箋:貨客混載とZ世代の感性が生む「食のバリューチェーン」

本プロジェクトからビジネスパーソンが学ぶべきは、既存リソースを多角的に「掛け合わせる」ことで、膨大な資本を投じずとも課題解決が可能であるという視点だ。公共交通の空きスペースを貨物に転換する遊休資産の活用や、生産から消費までを一貫して設計する垂直統合型のデザイン、さらには将来の意思決定者である学生を巻き込むファン形成など、その戦略は極めて重層的だ。かつて「食糧が少なくても栄養のある料理を」と説いた中村調理製菓専門学校の開校精神は、現代における「資源を無駄にしない持続可能な食」へと確かに受け継がれている。宮崎から福岡へ。新幹線が運ぶのは、食材という物質以上に、日本の地方創生を加速させる新たなビジネスモデルの種に他ならない。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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