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創業350年の繊維商社が挑む「色の再定義」。モリリン株式会社が「EVER COLOR」で加速させる異業種共創の循環経済

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創業350年の繊維商社が挑む「色の再定義」。モリリン株式会社が「EVER COLOR」で加速させる異業種共創の循環経済
提供:モリリン株式会社

「捨てる」という行為を「彩る」起点へ。老舗繊維商社のモリリン株式会社が展開する、素材の色をインク化する「EVER COLOR」。食品廃棄物と先端技術を掛け合わせ、業界の垣根を越えた共創プラットフォームの真価を追う。

 

カカオやバタフライピーが「インク」へ昇華

繊維商社のモリリン(以下、同社)は、廃棄される素材から「色」を抽出してインクへと再生するプロジェクト「EVER COLOR(エバーカラー)」において、新たな協業体制を発表した。

今回は、チョコレート専門店「VANILLABEANS」から排出される年間約12トンのカカオハスク(カカオ豆の皮)や、沖縄県産のハーブ「バタフライピー」を原料として採用。これまで活用が困難であった食品由来の副産物を、独自の特許技術を用いてサステナブルな顔料へと転換することに成功した。

業界を横断する「色」のハブ機能

本プロジェクトが他社と一線を画すのは、単なる自社製品へのリサイクルに留まらない「共創プラットフォーム」としての広がりだ。

モリリンは自社を、素材を排出する企業、インクメーカー、そして最終製品を手掛けるブランドを繋ぐ「ハブ」と位置づけている。特筆すべきは、その展開先の多様性である。繊維商社でありながら、開発したインクの供給先をアパレルに限定せず、文房具、塗料、パッケージ印刷など、あらゆる「製造業」を対象としている。このクロスインダストリー(異業種横断)な展開こそが、素材の回収から出口戦略までを垂直統合で担える商社ならではの強みと言える。

350年の歴史と「豊かな暮らし」の再定義

 

この革新的な試みの背景には、創業350年を超える同社が掲げる「豊かな暮らしの創造」という哲学がある。

「私たちは単に布を売る集団ではありません。素材の原点に立ち返り、そこに新たな付加価値を見出すのが商社の本分です」。モリリンの担当者が語るその言葉には、素材の本質を追求する商人の矜持が滲む。

「EVER COLOR」は、環境負荷の低減という義務感のみから生まれたものではない。素材が持つ本来の美しさやストーリーを「色」として抽出し、人々の生活に再び彩りを添える。この「価値の再発見」こそが、同社の重んじるクリエイティビティの根幹にある。

既存スキルの「出口」を拡張する思考

モリリンの事例から学べるのは、自社のコアコンピタンスを「再定義」することの重要性だ。

同社は、長年培った繊維の染色技術や調達網を、「ファッションの部品」としてではなく、「循環型社会を実現するインフラ」として捉え直した。自社のリソースを他業界の課題(食品ロスなど)の解決に接続させることで、新たな市場を創出している。

持続可能性を単なるコストやリスク管理ではなく、新たなビジネスチャンスに変えるためには、自社の守備範囲を決めつけない柔軟な「接続力」が不可欠であることを、本プロジェクトは示唆している。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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