
コロナ禍で大量に製造されたアクリルパーテーションを、そのまま廃棄させない仕組みづくりが動き始めた。BeBlockと豊田合成が再資源化に踏み込み、スポーツチームと連携した新たな循環モデルを提示する。
アクリル廃材を再利用した“万年カレンダー”誕生
ノベルティ製作を行うBeBlockは、自動車部品メーカーの豊田合成と連携し、コロナ禍で需要が急増したアクリルパーテーションの素材を再利用した「サステナブルアクリルカレンダー」を発売する。両社の発表によると、販売は11月29日から、ウルフドッグス名古屋のホームゲーム会場および公式オンラインショップで開始される。
“アクリル再資源化×スポーツ”の新しいアップサイクル戦略
今回のプロダクトが注目される理由は、アクリル廃材を単に処理するのではなく、スポーツチームのファンビジネスと接続した点にある。人気マスコット「ウルドくん」のアクリルスタンドを組み合わせ、廃材を“欲しい商品”として生まれ変わらせた。
アクリル製品の廃棄量は増加傾向にあるが、企業横断型の再資源化プロジェクトは珍しい。販促業と製造業、スポーツ事業の三者が協働する形は、アップサイクル市場の新たなモデルケースといえる。
環境負荷を減らす“素材循環”の思想が背景にある
BeBlockはアクリル製グッズを多く扱う企業として、廃材処理の課題を常に抱えてきた。アフターコロナで役目を終えたパーテーションが大量に残されるなか、同社は豊田合成と組み、廃材の再利用を“社会的責任”と位置づけて動き出した。
豊田合成は素材開発を強みとし、これまでも環境負荷低減の取り組みを継続してきた企業だ。両社の考え方は共通し、「使い捨てを前提としたモノづくりから脱却する」というテーマが今回のカレンダーにも通底している。
廃材に“ファン価値”を付加するアップサイクルは広がるか
今回の万年カレンダーは、単なる環境配慮商品ではない。スポーツチームのファンコミュニティを巻き込み、廃材に“感情価値”“所有価値”を付加する設計になっている。
万年仕様としたことで、長期間使用でき、リピート消費を前提としない点も特徴だ。企業が抱える余剰資材を地域スポーツと連携しながら再活用する——そのアプローチは、今後の資源循環モデルに新たな選択肢を示すものとなるだろう。



