
カンロが、ドライフルーツ製造で生じる廃シロップを再利用した新作「CYCLECUBE」を発売する。同社のサステナブルラインがさらに広がり、日常の菓子選びに循環の価値を取り入れる動きが加速している。
カンロが新作アップサイクルグミを発売──CYCLECUBEの特徴とは
カンロによると、直営店「ヒトツブカンロ」および公式オンラインショップで11月20日から販売する「CYCLECUBE」は、アップルとマスカットの2品を展開する。ドライフルーツ製造の糖蜜漬け工程で発生するシロップを使い、濃厚な果実味ともちもちした食感を実現した。パッケージはシンプルながら贈答需要にも応える仕様とし、自分へのご褒美から小さなギフトまで幅広い利用を想定する。
廃シロップを再利用した循環型お菓子──素材を無駄にしない製法
本商品の最大の特徴は、本来用途が限られがちな副産物を“主役の素材”として再生させた点だ。果実シロップは糖度が高く、香りも豊かだが、加工食品として再利用するには技術や設計が求められる。カンロは長年培ってきた菓子づくりの知見を生かし、未利用資源に再び価値を付与した。食品ロス削減と味わいの両立を図る姿勢は、循環型食品の新たな方向性を示している。
ヒトツブカンロearthの狙い──サステナブルな商品設計の背景
背景には、同社が掲げるパーパス「Sweeten the Future」がある。ヒトからヒトへと気持ちがつながる“ひと粒”の価値を起点に、同社は2012年の創業100周年時に「ヒトツブカンロ」を立ち上げた。2022年にはサステナブルライン「ヒトツブカンロearth」を展開し、みかん搾汁後の繊維を使ったグミなど、循環をテーマにした商品を継続的に投入してきた。「CYCLECUBE」もその思想を継承し、資源を未来へ渡すという企業姿勢を日常消費の場へ落とし込んでいる。
日常消費×サステナブルで広がる新市場──CYCLECUBEが示す未来
環境配慮型の商品は、特別な選択肢から日常へ浸透しつつある。「美味しいから選ぶ」という自然な購買行動の中に循環の価値を組み込むことで、サステナブル商品の裾野はさらに広がるだろう。副産物を再び生活者の手元へ戻す「CYCLECUBE」は、これからの食品企業に求められる“味と価値の両立”を提示している。小さなひと粒が、持続可能な市場の成長へと確かな一歩を刻んでいる。



