
One Asia法律事務所は、アジア太平洋地域の法律アドバイスをワンストップで提供することを目的に2016年に設立された。グループ全体で約400名の弁護士・スタッフを擁し、現地語だけでなく日本語でのサービス提供体制を構築している。経済発展と人権尊重が調和する社会を目指し、企業のESG・SDGs対応を事業戦略として実装する同所の取り組みは、単なる法的助言を超え、アジアの成長を支える「法のインフラ」としての役割を担う。
アジア太平洋地域を網羅するワンストップの提供体制
One Asia法律事務所は、アジア太平洋地域の法律に関するアドバイスを、各国の法律事務所のネットワークを基礎としてワンストップで提供すべく、2016年に産声をあげた。現在、同所のオフィスは日本国内(東京・大阪・福岡)のみならず、アジア太平洋地域の広範なエリアへと広がっている。
最大の強みは、現地オフィスや提携事務所に各国の弁護士・スタッフが勤務するだけでなく、アジア各国にコミットした日本人弁護士やスタッフが常駐している点だ。これにより、英語や現地語はもちろん、日本語でも高度なサービスを受けられる体制が整えられた。これは「クライアントのアジア太平洋地域への展開に貢献する」という、創立時からの原点を具現化したものである。
また、同所はグローバルな視点と同時に、ドメスティックなニーズも汲み取っている。日本企業の中には関西や九州に本社機能を持つ企業も多いため、東京に加えて大阪、福岡にも拠点を配置。国内案件についても、場所を選ばずワンストップで法的アドバイスを提供できる体制を敷いた。
クロスボーダー案件とガバナンス構築への専門性
近時、企業が複数国に拠点を置くケースは珍しくない。M&Aを検討する際、対象となる国ごとにデューディリジェンスや法的対応が求められるが、アジア太平洋全域に現地拠点を持つ同所は、こうした複雑な案件を一手に引き受ける。
企業のガバナンス強化においては、「グローバル内部通報制度(Global Whistle-Blowing System)」の構築支援に注力してきた。日本およびアジア各国の弁護士が連携し、各国の法令に沿ったコンプライアンス規定の整備や、内部通報窓口の設置における法的サポートを展開する。
また、情報提供の側面では、アジア全域法令情報提供サービス「Asia Law 360」を運用している。アジア太平洋各国の法令改正、官報、公告を網羅的に確認し、現地弁護士などの専門家が「クライアントに影響を与えうる重要な法令」を厳選。そこに簡易な解説を加えて届けることで、企業の迅速な意思決定を支えている。
さらに、サプライチェーンの管理についても独自の支援体制を構築した。日本のNGOと連携し、東南アジアを中心としたサプライチェーン全体の労働者から届く苦情に対応する「グリーバンスメカニズム」を提供。NGOとの協力関係を通じ、法律面のみならず人権擁護に関する的確な助言を行える体制を確立している。
「法のインフラ」として向き合う3つの社会課題
One Asia法律事務所が目指すのは、アジア太平洋地域の成長と多様性を支える「法のインフラ」として、経済発展と人権尊重が調和する持続可能な社会を実現することだ。企業のESG・SDGs対応を「守り(リスク低減)」に留めず、「攻め(事業戦略)」として実装する法務支援を重視し、具体的に以下の3つの課題に向き合う。
第一の課題は、「経済成長と法制度整備のギャップ」の解消である。急速な経済発展の一方で、法制度や執行体制が追いつかず、規制運用の不透明さが投資の障壁となる国も少なくない。同所は各国法制度の比較法・実務知見を集積し、開示・コンプライアンス体制の整備や現地実務に即した助言を通じ、透明性のある取引基盤づくりを後押しする。
第二に、「クロスボーダー投資と人権・労働問題」への対応だ。サプライチェーン全体での人権尊重が求められる中、人権デュー・ディリジェンスの実行や、責任あるサプライチェーンに即した契約の見直し、ガイドライン策定などを実施。各国のESG対応状況を継続的にモニタリングすることで、企業の成長と人権尊重の両立を実務面から支えている。
第三に、「中小企業・スタートアップの国際展開支援」を掲げる。持続可能な社会には新しい担い手の挑戦が不可欠だが、海外展開時には情報やコストの壁が立ちはだかり、リーガルアクセスが限定されがちだ 。同所はアジア各地のネットワークを駆使し、実情に即した戦略的なリーガルサービスを提供することで、海外進出や拡大局面を伴走支援していく。
ダイナミックな市場における「持続可能性」の実装
アジア太平洋地域は、経済成長や都市化が同時に進むダイナミックな市場だ。一方で、そのスピードに伴う環境負荷や人権課題、規制運用の不透明性といったリスクも顕在化しやすい。
One Asia法律事務所は、単にリスクを指摘する存在ではない。投資、取引、サプライチェーン、ガバナンスの各局面において、契約や社内規定、コンプライアンス体制、人権デュー・ディリジェンス等を通じ、「法とルールで持続可能性を組み込む」ことにその知見を発揮する。
今後の展望として、これまで培ったノウハウを駆使し、日本企業の関心が高まるインドや中東諸国の強化、さらにはアフリカ諸国への進出を見据える。同時に、日本国内でのリーガルサービスの拡大にも注力し、海外戦略とは異なるアプローチで国内の法的ニーズにも深く応えていく方針だ。
同事務所はこれからも、アジア太平洋の成長の最前線において、企業の競争力向上と社会課題の解決を両立させる実務を通じ、持続可能なビジネスと社会の両立に力を尽くしていく。




