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特定非営利活動法人 キーパーソン21

http://www.keyperson21.org/

〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704

わくわくする自分からはじまる川崎未来まちづくり2023|富士通(株)×川崎市立宮内中学校×川崎市×キーパーソン21

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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認定NPO 法⼈キーパーソン21では、2022年度に引き続き、富⼠通株式会社(以下、富士通)と協働して、川崎市⽴宮内中学校2 年⽣を対象にした「わくわくする自分からはじまる~川崎未来まちづくりプロジェクト」を実施します。

そのキックオフイベントが、2023年7月4日、富⼠通・川崎⼯場で開催されました。

宮内中学校の保護者、教員、富士通社員、地域住民などが参加する中で、キーパーソン21、富士通、宮内中学校、川崎市、それぞれの立場より本プロジェクトの意義や抱負を語ったほか、2022年度で取り組んだ中学生からの発表も行われました。

子どもたち・市民創発の未来まちづくりを⽬指す

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会場となった富士通川崎工場
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初めに、富士通・川崎工場の総務本部エリアマネジメント統括部シニアディレクターの松本 行治さんがあいさつに立ち、「川崎市は富士通にとって発祥の地であり、8万人の国内従業員の約1/3にあたる2万7,000人が働いている」と説明しました。そして、「さらにその約1/3の9,000人が、今回の会場となった川崎工場で働いている」と語り、縁が深く、思い入れの強いまちが川崎であることを強調しました。

また、来年、市政100周年を迎える川崎市の福田紀彦市長が常々、「これから100年の川崎市を考えてほしい」と語っていることに触れ、「ぜひ宮内中学校の生徒の皆さんにも考えほしい」と述べるとともに、「富士通としてもこのプロジェクトを全力で支援する」と約束しました。

続いて、司会を務めるキーパーソン21の松尾容子さんより、プロジェクトの概要が説明されました。

プロジェクトの⽬的は、「子どもたちへのキャリア教育プログラムを中⼼とした、子どもたち・市民創発の未来まちづくりを⽬指す」、コンセプトは「⼤⼈が協⼒して、⽣徒たちが⾃⾝のキャリアと⾃分たちが住むまちについて思いを巡らせ、主体的に考えるプロセスを応援する」となっています。

昨年度、子どもたちの主体性を育みたいという宮内中学校の教諭の声から始まり、キーパーソン21、富士通、川崎市教育委員会が連携・協働して取り組んできました。今回の「わくわくする自分からはじまる川崎未来まちづくり2023」も、昨年度と同様に中学2年生を対象にして、約半年間、さまざまな取り組みが行われます。

対話を通じてわくわくエンジン発見のサポートするのが大人の役割

続いて、キーパーソン21、宮内中学校、富士通、川崎市の担当者がそれぞれメッセージを語り、会場からの質疑に答えるクロストークの場が設けられました。

キーノートスピーカーとして登壇したキーパーソン21代表理事の朝山あつこさんからは、「宮内中学校の保護者だった時の体験から、子どもがわくわくして動きださずにいられない原動力(わくわくエンジン)を発見するサポートをするのが大人の役割だと思った」と、キーパーソン21の事業を始めた経緯が説明されました。

さらにキーパーソン21では、「子どもたちの生きる意欲を引き出し、自分で決める力を育み、自分で一歩を踏み出すことを応援する」という3つのことを大切にしていると語りました。

そして、このプログラムが川崎のまちづくりにつながる理由は、以下の5つであると述べました。

  1. 地域全体で子どもを育てるから、大人も成長する。
  2. 楽しいプログラムなので、初対面の人とも仲良くなることができる。
  3. 対話をすることで信頼関係が生まれ、子どもがやりたいことを発言できる。
  4. 子どもが発言すると、大人が何を応援するべきか分かる。
  5. 応援されると勇気が出て、一歩踏み出すことができ、まちづくりにつながる。

宮内中学校の生徒が「本当の自分」に出会ってほしい

宮内中学校2学年主任教諭の吉浦大雅さんは、宮内中学校に赴任して5年。生徒について感じてきたこととして、「授業を真面目に受け、部活動も熱心で、爽やかで元気のいいあいさつができる、とても素晴らしい生徒が多い」と、まず長所を挙げました。

非の打ちどころがないように思えますが、その一方で、忘れもしない出来事があったと明かしました。自身の中学生時代には、好きなアイドルやプロ野球選手などから刺激をもらっていたので、ある生徒に「どういう芸能人に興味があるの?」と聞くと、「いや、別に」という答えが返ってきたというのです。その後も、話題になっていたサッカーの話などもしてみましたが、「知らない、分からない」という返事に終始したといいます。

そのような体験を通じて、宮内中学校の生徒は「気づく力、主体性、自己肯定感、そして将来に向けてのビジョンについてはまだまだ伸びしろがあるのではないか」と語りました。

その上で、「本当の自分に出会わせてあげたい」という思いから、本年度のテーマを「本当の自分を知る」と設定して、キャリア教育をしていきたいという抱負を述べました。

「パーパス」をもとに川崎市のまちづくりに取り組む富士通

富士通・ソリューショントランスフォーメーション本部クロスインダストリービジネス推進室の岩田尚子さんは、富士通では社員一人ひとりがパーパスを持っており、自身のパーパスは「世界中の人生物語に、たのしいを描きだす」であることを説明しました。

さらに「わたしたちのパーパスは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくことです。」という富士通のパーパスを紹介し、テクノロジーの力で社会課題の解決に挑んでいると語りました。

また富士通と川崎市は、2021年に持続可能な未来都市の実現に向けて連携協定を強化し、「健康」、「安全・安心」、「環境」、「仕事・暮らし」を4つの重点テーマとして取り組んでいることを紹介しました。そして、その取り組みの1つである、川崎市中原区で取り組んだ「マチカドプロジェクト」について説明しました。

「マチカドプロジェクト」は、「まちへの意見を誰に伝えたらよいかわからない」という区民の思いと、「まちに関わる人の想いを知り、まちづくりに活かしたい」という中原区役所職員の想いが起点となました。日常の生活導線上にある武蔵小杉駅周辺にタッチパネル式の大きなデジタルサイネージを設置し、サイネージ上でアンケートを実施することで市民の意見を収集した実証実験です。中原区役所職員、区民、富士通の協働で実現しました。

最後に岩田さんは、「富士通社員は、一人ひとりが自身の「パーパス」を持ちながら日々の活動に取り組んでいる。パーパスはわくわくエンジンの考え方にも近いので、このプロジェクトで出会う富士通社員には、ぜひパーパスを聞いてみてほしい。」と語りました。

起業家支援、アントレプレナーシップ教育に取り組む川崎市

川崎市経済労働局イノベーション推進部の永田宏樹さんは、保育園に関する業務に携わったことがターニングポイントとなり、日本の教育に疑問を抱き、3年前に次世代育成プロジェクト「かわさきジュニアベンチャースクール」を立ち上げました。これは小中学生向けのアントレプレナーシップ教育です。

アントレプレナーシップとは、起業家的な能力だと思われていますが、EUが作っているEntreCompという指標では、「機会の発見」、「創造性」、「ビジョン」など、15個の能力に分かれていることが説明されました。その上で永田さんは、「アントレプレナーシップ=想像を形にする力」と考えれば分かりやすいと語りました。

さらに、「子どもは2本の足で立つ」というデンマークでの教育の考え方を紹介しました。右足が知識で、左足が心と情緒を表しています。デンマークの教育現場では、学校の先生とは別に、ペダゴーと呼ばれる専門家が必ず携わり、心や情緒、社会性などを育んでいるという事例に、参加者は熱心に聞き入っていました。

そして、「保護者の方はお子さんがどのように変わっていくかというところを見ていただきながら、考えていただければうれしい」と結びました。

教育委員会の「キャリア在り方生き方教育」と校訓に合致したプロジェクト

続いて、「もっと聞いてみたいタイム」と題し、参加者からの質問にパネラーが回答する時間が持たれました。

保護者から「このプロジェクトと学校の方針とのコラボレーションはどのように考えているのか」と尋ねられた宮内中学校の吉浦さんは、この取り組みが川崎市教育委員会の「キャリア在り方生き方教育」で伝えていることや、「らしくあれ」という校訓と合致しているので、生徒が自分らしさに気付けるいいチャンスなると答えました。

また、「かわさきジュニアベンチャースクール」のゴールを問われた川崎市の永田さんは、どのように成長していくかということを子どもたち自身で考えられるようになることだと述べました。また、行政の観点では、川崎市で起業する人、あるいはグローバルに活躍する人材を育てることが、将来的なゴールであるという抱負も語りました。

さらに、富士通が川崎市立聾学校の生徒とのワークショップを起点に取り組んだエキマトペ(駅のアナウンスや電車の音などの環境音を視覚的に表現する装置)についての質問があり、岩田さんから説明があったほか、昨年度の本プロジェクトを担当した宮内中学校教諭の林裕輔さんから、参加した生徒たちの成長ぶりが紹介されました。

中学校年生のわくわくエンジンが、まちの課題を見いだす

最後に、2022年度の取り組みに参加した宮内中学校3年生の3名が、「自分のわくわくエンジンは何か」、「わくわくエンジンが分かってから、チャレンジしたことや、変化したこと何か」、「わくわくエンジンから川崎というまちを見た時に、どんなところが気になったのか」というテーマで発表しました。

廣澤璃麻さんのわくわくエンジンは、「目の前のことに全力で取り組む」です。これを発見したことで、体育祭の応援に取り組んで1位を取ることができました。

川崎市を見て、治安が悪いイメージを持ったので、PR動画を出して、川崎市の魅力を日本全体に伝えるために、中学生から動きだしたいと語りました。

小山柊太さんのわくわくエンジンは、「模範解答ではないことをしたい!」で、相手の期待を乗り越え、全然違う角度から言うことに面白さを感じています。

日常の学校生活の中でわくわくエンジンが発動して、友達からも「すごいことするね」と言われ、頑張ったかいがあったと思っています。

創造力のある人が増えて、治安や子育て、安全を守れるような川崎市にしたいので、柔軟な思考力がある学生たちを集めた学園都市を築きたいと考えています。

長谷川峻介さんのわくわくエンジンは、「みんなが気持ちよくくらせるように頑張ること」です。小学校の時からやろうと思ってもできなかった体育祭の応援団長にチャレンジすることができました。

中原区大戸地区はごみのポイ捨てが多いので、ゲーム形式の清掃イベント「日曜日のクリーンタウン」を実施したいと語りました。

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続いて、吉浦さんから「わくわくエンジンを発見してから、それをどのように発展させてきたか」という質問がなされました。

長谷川さんは、友達と一緒にまちをきれいにする取り組みをしていると答えました。

「模範解答でないことをしたい!」というわくわくエンジンを立てた小山さんは、周りの人も予想外の考え方をしていることを知るようになり、負けていられないなという競争心が生まれたそうです。

廣澤さんは、昨年度のプロジェクトを担当した宮内中学校の林先生の情熱に感動したので、林先生に追い付き、追い越す勢いで頑張っていると語りました。

イベントが終了してからも、参加者は感想を共有し合いながら、いつまでも名残を惜しんでいました。

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◎団体概要
名称 :特定非営利活動法人 キーパーソン21
URL:http://www.keyperson21.org/
設立 :2000年12月10日
代表理事:朝山あつこ
所在地:〒211-0004神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704
連絡先:TEL 044-431-0420  FAX 044-431-0421  E-mail:info@keyperson21.org

名称 :富士通株式会社
URL:https://global.fujitsu/ja-jp/
設立 :1935年6月
代表:時田隆仁
<川崎工場>
所在地:〒211-8588 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1
連絡先:TEL 044-777-1111

名称 :川崎市立宮内中学校
URL:https://kawasaki-edu.jp/3/207miyauti/index.cfm/1,html
設立:1957年4月1日
校長:大内孝二
所在地:〒211-0051  川崎市中原区宮内  4-13-1
連絡先:TEL 044-766-3470  FAX 044-799-9279

名称 :川崎市
URL:https://www.city.kawasaki.jp/
市長:福田紀彦
所在地:〒210-8577川崎市川崎区宮本町1番地
連絡先:044-200-2111(代表)

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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