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254億円を宝塚市に寄付した岡本光一氏とは何者か キーエンス創業期の幹部にして大株主だった!

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篤志家の老夫婦

世の中には素晴らしい人がいるものである。兵庫県宝塚市に住む岡本光一さん(77)と岡本明美さん(75)夫妻が、老朽化した市立病院の建て替え費用として、約254億円の寄付を行ったことが2月3日夕方にニュースで報じられた。この巨額の寄付は、地方自治体への寄付としては異例の規模であり、全国的に大きな注目を集めている。

岡本氏は一体何者なのか。どんな方なのか。その経歴をたどると、日本を代表する企業の成長とともに歩んできた人物であることが分かる。

キーエンス創業期の幹部

岡本氏は、現在世界44カ国・200拠点で事業を展開するキーエンスの創業期に入社し、3人目の社員として技術開発に携わった人のようだ。同社は計測機器や情報機器、光学顕微鏡などを手がける企業で、国内企業の時価総額ランキングでは現在トップクラスに位置する。

同社の業績は岡本氏が在籍していた時代から右肩上がりで成長を続け、1994年には上場を果たした。その後、岡本氏は「技術屋としての仕事に集中したい」という思いから同社を退職している。

しかし、その間に優秀な技術者として評価され、ストックオプションを得ていたことが、岡本氏の莫大な資産形成の要因となった。現在もキーエンスの大株主であり、保有株式の時価総額は1,800億円を超えるとも言われる。

ボランティア活動と社会貢献

岡本氏が社会貢献に関心を持ち始めたのは、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけだった。被災地でのボランティア活動を経験し、福祉や地域コミュニティの重要性を実感したという。

その後、2002年には私財を投じて財団法人を設立し、福祉施設の運営を開始。過去にも約37億円を投じてボランティアセンターを開設するなど、社会貢献活動を継続してきた。

岡本氏は「財を成したのは自分の能力だけではなく、会社や社員の力があってのこと。個人だけで占有するのは違う」と語っており、今回の寄付もその理念に基づいたものである。

日本では異例の寄付文化

日本では寄付文化がまだ根付いていないとされる。アメリカではメイヨー・クリニックなどの著名病院に巨額の寄付が集まり、寄付者の名前が病院の壁に刻まれることが一般的だ。しかし、日本ではこれほどの寄付を個人が行うことは稀である。

中央大学大学院教授の真野俊樹氏は、この寄付について「日本では病院への寄付文化があまり根付いていないが、こうした事例が増えることで経営が厳しい病院の一助になれば」とSNSでコメントしている。

SNSでは、岡本夫妻の寄付に対して「見事なお金の使い方」「日本にも寄付文化が広まるきっかけになれば」といった称賛の声が多く寄せられている。一方で、「寄付金に群がる政治家や関係者が出ないことを願う」といった懸念もある。

宝塚市は、この寄付のうち250億円を基金として積み立て、新病院の建設や医療機器の充実に活用する方針だ。岡本氏の寄付は、日本の社会貢献のあり方を考え直す契機となるかもしれない。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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