
AI技術が社会を大きく変える時代に、業務プロセスの効率化で注目を集める株式会社BLUEISH。「特化型SaaS」を掲げる独自アプローチの全貌と、同社代表取締役の為藤アキラ氏の挑戦を追う。
AIで変わる仕事のカタチ
近年、AI(人工知能)の技術革新は目覚ましく、私たちの仕事のあり方を変えつつある。
特に注目されているのが、業務プロセスの効率化だ。人手に頼る煩雑な作業を自動化し、迅速かつ正確な処理を実現することで、企業の生産性は飛躍的に向上する。
しかし、AI導入には多くの障壁が存在している。
「AIを業務に活用したい」という意欲を持つ企業は多いものの、どこから手をつければいいのかわからない。あるいは、自社の業務に最適なソリューションが少ない。
このような理由から、AIを活用しきれない企業が多数存在している。さらに、業務プロセス自体が整理されていないことも、大きな課題として浮かび上がる。
そんな中で、AIを活用した業務プロセスの効率化を専門とし、「特化型SaaS」で注目を集めるのが株式会社BLUEISH(以下、ブルーイッシュ)だ。
同社は、独自のアプローチで様々な業界の業務プロセスの改善に挑んでいる。
ブルーイッシュとは何者か?
ブルーイッシュは、2018年に創業し、独自のAI技術を活用して業務効率化に特化したソリューションを提供している企業だ。
同社のポリシーは「AX(AIトランスフォーメーション)を通じてビジネスを変革し、世界に豊かさを届ける」というものだ。
これを実現するために、AIを活用して顧客の業務プロセスを効率化し、ビジネスを構造的に革新することを目指している。
中心となるサービスが、自社開発の業界特化型AIワークフロー開発サービス「Omni Workspace」である。
「Omni Workspace」は、業務プロセスに蓄積されたデータを活用し、AIによる効率的かつ柔軟な業務フローを自動生成する画期的なサービスだ。
従来、AI導入には専門的な知識や膨大なコストが必要だったが、このサービスを使用すれば、業務プロセスを簡単にAI化できる。
ブルーイッシュのクライアントからは、大幅な効率化とコスト削減が実現したという声が上がっており、その実績は様々な業界で高く評価されている。
また、同社のサービスは一般的な「BPaaS(Business Process as a Service)」と一線を画している。
BPaaSは、クラウドベースのソリューションとアウトソーシングを組み合わせて業務改善を図る手法だが、ブルーイッシュのアプローチはよりクライアントに寄り添ったものとなっている。
ブルーイッシュは汎用的な業務ツールの提供ではなく、顧客ごとに最適化された「特化型SaaS」を開発する点が特徴だ。
これにより、各クライアントの業務プロセスに完全にフィットしたソリューションを提供でき、従来のBPaaSよりも高い効率化と満足度を実現している。
多彩なキャリアを経て辿り着いた起業の決意
この独自サービスを提供するブルーイッシュを率いるのは為藤アキラ氏だ。
為藤氏のリーダーシップの源泉は、学生時代のオンラインゲームにある。
中学生でギルド(ゲーム内コミュニティ)を立ち上げ、最大600人規模にまで成長させ、多くの人を巻き込む力を磨き上げた。
ゲーム内では、仲間を巻き込みながら、目標設定や目標を達成するための戦略を練る能力を実践的に養い、複数のオンラインゲームで日本一のタイトルも獲得している。
この経験は後の社会人生活、そしてビジネスの場においても大きな武器となった。
社会人になってからのキャリアは、多様な業種・業界を横断して開発経験を積み重ねてきたことに特徴がある。
医療機器の開発や証券会社でのサーバー構築、AIや映像解析技術の研究、ゲーム業界でのクラウド技術を活用した開発など、幅広い分野で実績を残してきた。
さらに、スタートアップ企業ではCTOを数社歴任し、ゼロから開発組織を立ち上げる経験を重ねた。

「どの業界でも、技術やチームを活かして『良いもの』を作るために全力を尽くしてきました。ただ、多くのプロジェクトを進めていく中で、お客様の期待にしっかり応えるシステムを作るには、もっと根本から開発環境を見直す必要があると感じたんです」と為藤氏は起業するまでの経験を振り返る。
様々な業界での実績を得ていく中で、起業を目指したきっかけはUX(ユーザー体験)をより意識するようになったからだ。
「良いものを作るとはどういうことかを改めて考えたとき、『単に完成度の高いシステムを作る』だけでは足りないと感じました。ユーザーにとって本当に価値のあるものを届けたい。そのためには、チーム全体で価値を創造できる仕組みが必要だと思ったんです。」
この想いを胸に、為藤氏は2018年に株式会社ブルーイッシュを設立した。
未来を切り開く特化型SaaS
ブルーイッシュが掲げる「特化型SaaS」は、同社の事業の中核を担う重要なコンセプトである。
従来のSaaS(Software as a Service)は、業務効率化や問題解決を目的とした汎用的なツールをクラウド上で提供する仕組みだが、ブルーイッシュはSaaSをさらに進化させ、業界やクライアントごとに最適化した「特化型SaaS」、つまり個別のニーズに応じたAIエージェントを構築している。
「決まった形のツールを提供するだけでは、企業ごとの課題には十分に応えられない。私たちは、顧客のニーズに完全に寄り添ったソリューションを提供することを目指しています」と為藤氏は語る。
この「特化型SaaS」は、顧客ごとのニーズや業務プロセスに完全に寄り添ったカスタマイズ型のソリューションを提供する点で、従来のSaaSとは一線を画している。
その中核を担うのが、自社開発の業界特化型AIワークフロー開発サービス「Omni Workspace」だ。
「Omni Workspace」は、業務プロセスに蓄積されたデータを活用し、AIによる効率的かつ柔軟な業務フローを自動生成する画期的なサービスである。
従来、業務改善のためのAI導入には専門知識や膨大なコストが必要だったが、このプラットフォームを使えば、容易に、かつ迅速に大幅な業務プロセスの効率化を実現できる。

また、ブルーイッシュの「特化型SaaS」は「BPaaS(Business Process as a Service)」とも異なる独自性を持つ。
BPaaSがクラウドベースのソリューションとアウトソーシングを組み合わせ、業務改善を図るのに対し、ブルーイッシュはクライアントごとに特化したAIエージェントとワークフローを構築する。
その結果、業界や企業が抱える課題を深く掘り下げ、より精度の高い解決策を提供できるのだ。
「特化型SaaSを支えるAIエージェントの強みは、ただ作業を自動化するだけでなく、データを活用して業務プロセス全体を最適化できる点にあります。これにより、クライアントごとの課題に正確に対応できる仕組みを実現しています」と為藤氏はその優位性を強調する。
実際の活用事例の一例として、日本最大級の税理士事務所である辻本郷グループとの協業が挙げられる。
このプロジェクトでは、「Omni Workspace」とAIエージェントを活用し、領収書管理から月次報告書の作成までの一連のプロセスをAI化。
従来は数日かかっていた作業が、わずか数時間で完了するようになったという。
「顧客の業務プロセスを根本から見直し、最適化することで、本当に『良いもの』を届けることができる。この取り組みが、顧客企業の成長、そして社会全体の効率化につながると信じています」と、為藤氏は語る。
これらの事例が示すのは、ブルーイッシュの「特化型SaaS」が単なる効率化にとどまらず、顧客企業のビジネスモデルそのものを変革する可能性を秘めているということだ。
ブルーイッシュが実現する業務効率化の未来
ブルーイッシュが提供する「特化型SaaS」は、単なる業務効率化にとどまらず、企業の未来を形作る力を持っている。
その背景には、業務プロセスを根本から見直し、AI技術を活用して新たな価値を生み出すという戦略がある。

「私たちは、企業のノンコア業務をAIエージェントに任せることで、社員がコア業務に集中できる環境を創り出したいと考えています。それによって、企業自体が成長し、その提供するサービスが社会全体により良い影響を生む。これが私たちの目指す未来です」と為藤氏は語る。
そしてブルーイッシュが重視するのは、単なる業務効率化やコスト削減にとどまらない。
「予想外価値」の提供だ。これは、顧客が期待する以上の成果を創出し、驚きと感動を与えることを目指す考え方である。
例えば、従来6時間かかっていた作業を5分で完了させる効率化や、複雑な業務をAIで完全自動化する仕組みを提供することで、顧客企業の期待をはるかに超える成果を実現している。
「『予想外価値』を生み出すことは、ブルーイッシュの大きな使命です。単なる満足ではなく、クライアントに感動を与えるソリューションを提供する。それが、私たちの強みであり、存在意義でもあります」と為藤氏は語る。

さらに、この理念は社会が抱える構造的な問題への解決策にも繋がっている。ブルーイッシュは、2040年に日本が直面するとされる人材不足問題にも対応するソリューションを提供しようとしている。
AI技術を用いて業務効率を最大化することで、人材不足の影響を最小限に抑えつつ、企業の生産性を維持・向上させることが可能だ。
具体的な成果として、会計業務や放送業界での効率化事例が挙げられる。
これらの成功事例は、単なる時間短縮やコスト削減に留まらず、業務プロセスの質を向上させ、クライアント企業に新たな価値を提供している。
ブルーイッシュの「予想外価値」を重視する姿勢が、これらの事例の根幹を成している。
「私たちは単に業務を効率化するだけでなく、企業の競争力と社会全体の成長を支えるインフラを築いていきたい」と為藤氏は未来への展望を語る。
業務プロセスの効率化は、企業の収益を向上させるだけでなく、社員の働き方を変え、よりクリエイティブで価値を生み出す業務に注力できる環境を構築する。
その結果、企業も社会も持続可能な成長を遂げていくというビジョンが、ブルーイッシュの技術には込められている。
未来の業務プロセスは、AIエージェントによって再定義される。ブルーイッシュが描くその未来の姿は、人間の創造性とAIの効率性が共存し、企業と社会全体がより豊かになる世界だ。

インタビューを終えて
◎代表プロフィール
為藤アキラ
株式会社BLUEISH代表取締役。
独立系SIer企業にて、組み込みシステム、ハードウェア開発、大規模な金融システムの開発の経験。その後、AIの分野で画像/映像認識のR&Dに従事。複数のスタートアップでCTOを歴任し、2018年に当社設立。
AIエージェント、AIワークフローを活用したBPaas事業のPoCプロジェクトを横串で監修。
◎企業情報
社名:株式会社BLUEISH(英:Blueishu Co., Ltd.)
代表者:代表取締役 為藤アキラ
設立日:2018年2月9日
所在地:〒106-0046 東京都港区元麻布3丁目1−35 VORT元麻布 5F
資本金:1億4338万円
事業内容・システム開発事業
・Omni Workspace事業
・サーバー最適化支援事業
URL:https://www.blueish.co.jp/