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山の宿 明治温泉

https://www.meijionsen.jp/

老舗旅館再生請負人の地域を巻き込む力-山の宿 明治温泉が感謝を伝えたいステークホルダー

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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新型コロナでホテル・旅館業界が大打撃を受けるなか、老舗旅館の再生請負人・長野県奥蓼科「山の宿 明治温泉」オーナー鈴木義明さんは、「今だからこそ地域を元気にしたい」と苦境をチャンスに変えるべく精力的に活動しています。

秘湯の魅力を起点に、過疎の村の見守り活動、地域観光の目玉となる巨大吊り橋プロジェクト、さらにはネパールの温泉宿の学校設立計画まで。その社会問題の解決を目指す行動力には圧倒されるばかりです。

そんな鈴木さんを奮い立たせる原動力とはいったい何なのか。老舗旅館の再生に向けた独自の取り組み、その過程でお世話になった様々なステークホルダーへの感謝の気持ちを伺いながら、未曽有の危機を前向きに生き抜くヒントを探ってみたいと思います。

 

山の宿 明治温泉は「昔の自分を振り返る宿 」

山の宿 明治温泉について教えてください。

山の宿 明治温泉は、長野県は奥蓼科にある温泉宿です。「おしどり隠しの滝」という美しい滝が宿の真横を流れ、季節によって様々な顔を見せてくれる渋川渓谷の木々に囲まれています。山の宿 明治温泉の開業は明治21年ですが、江戸の末期より近郊の農家の湯治場として営んできた歴史があるので、150年以上に渡って多くのお客様に愛されてきた歴史があります。

開業当時の明治温泉

開業当時の明治温泉。江戸の末期より、近郊の農家の湯治場として細々と営まれてきた

長い歴史があるぶん小まめな修繕が必要な古い宿ですが、それも趣の一つとして、お客様には「古き良き時代に戻ってきた」という感覚を体験していただけると思います。

どこか懐かしみを覚える宿なのですね。

そうですね。私たちが目指しているのは、「昔の自分を振り返ることのできる宿」づくりです。というのも、以前いらした80代のお客様が、「この宿には60年前、新婚旅行で来たことがある」とお話していたんです。「建物は変わったけれど、山の空気や景観が当時のままで、その当時のお互いを大切にする気持ちがまた芽生えてきた」とおっしゃるお2人を見て、なんて素敵なんだろうと。

最近は開発が進んでいますから、山の中でも景色が変わっている場所も多いです。しかし、幸か不幸か奥蓼科は開発の目が向けられなかった地域のため、当時の姿がそのまま残っています。

ですから、たとえ過去にこの地方を訪れたことがなかったとしても、日本の原風景として、「あの頃に戻ったみたい」「初めてなのになぜか懐かしい」と思っていただける宿になっていると思います。時代は急速に変化していきますが、この宿ではゆったりと流れる時間を味わっていただきたい。そのため、私たちは自然を守り、レトロな内装を残して、居心地の良い空間づくりを行っています。

明治温泉の横を流れる渓谷おしどり隠しの滝

奥蓼科の自然あふれる明治温泉の横には“おしどり隠しの滝”が流れる

 

事業承継後の急務は、従業員の労働環境の改善

鈴木さんはいつから山の宿 明治温泉のオーナーを務めているのでしょう?

2018年からです。当時の山の宿 明治温泉は、数名の従業員が毎日20、30名のお客様のおもてなしをする状態だったので、従業員たちは相当まいっている様子でした。

当時のオーナーは私の友人で、私が過去に10以上の宿の立て直しを行ってきた経験を持つことや、宿泊施設の経営を軌道に乗せるコツを熟知しているということをよく知っていたので、「経営を手伝ってほしい」と呼ばれたんです。

結局、従業員の動労環境を改善するにあたり、前オーナーは自身の力不足を感じたようで、私にオーナーを引き継ぐことになりました。彼なりに従業員に対する愛情はもちろんあったのでしょうが、上手く表現できていなかったみたいです。マネジメントの難しいところですね。

明治温泉の露天風呂

温泉に浸かりながら渓谷美を堪能できる開放式露天風呂

その後、従業員の労働環境は改善されたのでしょうか?

コミュニケーションを増やしたことで、だいぶ変わったと思います。休暇や残業代についてなど、きちんと説明するようにしています。今後はネパールの人材を3名正社員として雇用することも決まっており、より働きやすい環境を作れると思います。

新型コロナウイルス感染拡大による影響はいかがですか?

やはりきついですよ。でも、めげません。大変ありがたいことに、周囲が私に大きな期待を寄せてくれているんです。きっと私には皆にそう思わせる何か特別な力があるんだ!と自分を信じて、やりきろうと思っています。

 

ネパールに温泉宿と学校を

鈴木さんは旅館業のほかにも、いくつか事業に取り組まれているとお聞きしています。

はい、一つは過疎地域への灯油の配達業です。冬になると周囲の宿や一般家庭に向けて車で灯油を配達しています。高齢者が多いこの地域では、配達は見回りとしても機能しています。そのため、地域住民の方々とのコミュニケーションの一環としても大切にしている事業です。

御射鹿池(みしゃかいけ)は東山魁夷の「緑響く」のモチーフ

御射鹿池(みしゃかいけ)は東山魁夷の「緑響く」のモチーフで、テレビCMでロケ地として使われて一躍有名に

旅館業、灯油の配達事業、そしてもう一つは何でしょう?

もう一つは、ネパールで事業を行いたいと思っています。

なぜネパールなのでしょう?

私は山登りが好きなので、20、30年前はネパールへヒマラヤトレッキングをしによく行っていたんです。当時はポリオワクチンが行き渡らないため、山の中なのに足が不自由になってしまう人たちをよく見かけました。また、子どもたちが、私が手に持っていたみかんがほしいと寄ってくるのですが、みかんは食べかけでほとんど食べるところなんて残っていないんですよ。そのみかんの皮をしゃぶる子どもたちの姿に非常にショックを受けました。

といっても、当時の私はスキルもお金も経験も何も持っていなかったので、ただ見ているだけでした。ですが、様々な経験を積んだ今ならば、ネパールで何か役立つことができるのでは?と思ったんです。

そして思い立ったのが温泉です。実はネパールにも温泉があるんですよ。私の温泉宿を経営するスキルが生かせる場があるんです。

では、ネパールで温泉宿を経営したいと?

温泉宿というよりは、日本の温泉宿のサービスが学べる「学校」を作りたいのです。

まず、ネパールに温泉宿を建てて、現地の人を雇い、トレッキングに来た観光客の宿泊料金からきちんと給料を出します。そうすればネパールの人たちは、その温泉宿の学校に通うための学費を稼ぐことができます。そこで日本語やビジネスマナーなどを教えるのです。

温泉宿の仕事と日本語をある程度理解している現地スタッフであれば、将来技能実習生として日本に来たときも、日本でも働きやすくなります。そういう環境を作りたいのですね。

正直なところ、今の技能実習生が受けている待遇は酷い場合が多いのが実際だと思います。日本語が話せないため、低賃金で重労働、差別的対応を受けているケースもあります。

せっかく日本が好きで来日したネパール人たちが、酷い扱いを受けないように自国できっちり教育を受けられる場所を作りたいと思っているんです。

素晴らしいビジョンですね。ぜひ実現させてほしいです。

簡単にできることではないですが、私のビジョンを応援し、励ましてくれる人がいるので、それらを前に進む力に変えて実現させようと思います。

 

全長350mの巨大吊り橋プロジェクト

長野県茅野市の横谷峡

長野県茅野市の横谷峡の絶景

旅館業、配達業、そして将来は海外での温泉宿・学校経営と様々な分野に挑戦されている鈴木さんですが、実はもう一つ考えていらっしゃることがあると聞いております。

はい、実は今、全長350mの吊り橋プロジェクトを構想中なんです。

350mの吊り橋ですか!今のところ日本最長の吊り橋は静岡県の三島大吊橋で400m(主塔間長)、次は390m、375m、315mと続きますから、もしこのプロジェクトが実現したら日本第4位の吊り橋になりますね!

長野県茅野市には、「笹原観光まちづくり協議会」という、観光によるまちづくりで笹原区を持続可能な集落にすることを目的とした協議会があります。私もこの協議会の「自然部会」に入っているのですが、事務局長の武安さんという方が、この吊り橋構想を思いついたんです。

「すーさん(鈴木さん)、ここに吊り橋が架かったらどうなると思う?点と点だった観光地が、吊り橋によって繋がるんだよ!」と、最初に聞いたときは、その壮大な構想に非常に驚きました。もちろん吊り橋そのものもすごいのですが、70代の武安さんが「もっと先の未来を見たい」という熱い思いをお持ちだということがすごい。あまりに感動したので、おそらく10億円以上の予算が必要なビッグプロジェクトですが、「何とかしてみるか!」と思ったんです。発起人会をつくり、実際に吊り橋屋さんに調査してもらったら、「架けられますよ」とのことだったので、これはやるしかないなと。

反対意見などは出なかったのでしょうか?

実は、対岸側でも10年前から吊り橋構想はあったみたいなんです。しかし、あまりに壮大な話なので、動き出さないまま消えてしまったようでした。しかし、その観光のための道づくりをする委員会の委員長が、「奥蓼科の鈴木さんが、吊り橋を架けたいと話しているみたいだから、一度話を聞いてみよう」と委員会で私を話題に出してくれたらしいんですね。

これはチャンスだと思い、構想をその委員会で宣言してきたんです。吊り橋ができれば、この地域に一大名物ができ、観光客は広い地域を丸ごと楽しめ、観光収入も得られるので地域活性化に繋がりますよ、と。

「茅野市ってすごい!この吊り橋から見える景色は最高!」と感動しながら笑顔で吊り橋を渡る人の笑顔を想像してください、とお話しをしたらその会合で初めてだという拍手が起きたんです。

皆さん「吊り橋の絵が目に浮かぶよ」と言って、誰からも反対意見が出なかったんですよ。普通は「そんなの無理だよ」という人が絶対いると思いますが、そのときは誰しもが「吊り橋はできるものなんだ」と思ったということでした。

ここまで来たら、どれだけ時間がかかってもやり遂げるしかないでしょう?(笑)

非常に楽しみです。ぜひ実現してほしいですね!

頑張りますから、見ていてください。また動きがあったら報告させてもらいますね。

御射鹿池(みしゃかいけ)に架かる虹

御射鹿池(みしゃかいけ)に架かる希望の虹

 

山の宿 明治温泉のステークホルダーへの向き合い方

奥蓼科の地域を守り、未来の希望を育む「山の宿 明治温泉」オーナーの鈴木義明さんが大切にするステークホルダーへの思いを伺いました

 

社員に対しての思い

丸茂さん(料理長)

丸茂さんは、私が以前勤めていた白骨温泉の旅館の板前さんでした。私が山の宿 明治温泉に移ってから半年ほど経ったとき、「鈴木さんと一緒に働きたい」と連絡をくれたんです。理由を聞いてみると、「鈴木さんの環境で働くと、自分の腕がもっと磨けるから」と言ってくれました。私は割とスタッフの裁量に任せて自由にやってもらうタイプなので、それが彼に合っていたのでしょうね。ちょうど料理人を探していたタイミングだったので、また尊敬する丸茂さんと一緒に働けることになったのです。彼がうちの宿に来てくれたことで、山の宿 明治温泉の料理の評価はさらにアップしました。彼の料理はどれも美味しいのですが、特にお味噌汁にはファンがつくほどなのです。料理の新メニューの開発にも積極的に関わってくれて助かっています。丸茂さんには、「今の俺のことをどう見てる?」と聞いてみたいですね。

奥蓼科の四季折々の新鮮な素材を生かしたコース

蓼科牛も堪能できる

4月1日から正社員になる方

まだ社員ではないので名前は一応伏せておきますが、この人はすごい人ですよ。丸茂さんが紹介してくれたのですが、非常に気配りのできる真面目な人です。指示をしていないのに朝一でロビーを暖めておいてくれたり、良いタイミングで「コーヒーどうですか?」と持ってきてくれたり。周りをよく観察しているのでしょうね。姿が見えないなと思ったら、ペンキを塗ったり薪を積んだりと、自分で仕事を探して真面目にコツコツ働いてくれています。職を提供している私に感謝してくれているのですが、とんでもない!むしろ私が感謝です。こうした頼もしいメンバーと4月から営業が始められるので、私もワクワクしています。

過去の社員やアルバイトスタッフ

今はもう辞められた方々ですが、短期間でもこの宿で時間を共有した社員やアルバイトスタッフにも感謝の気持ちを伝えたいです。たとえ一時でも一緒に働くことで何かを掴んでくれていたらこんなに嬉しいことはありません。

奥様

結婚して18年になる妻には頭が上がりません。これだけ好き放題させてくれるなんて、本当に心が広いと思います。ホテル勤めで家に帰れない日が続いていたときは、すごく寂しい思いをさせてしまっていたと思いますし、「独立したら離婚」と言われていたのに、のらりくらりと独立してしまいましたし…。そんな私を受け入れてくれて、本当に感謝しかありません。私たちは結婚式を挙げておらず、良い指輪もあげられなかったのですが、それでも信頼して頼りにしてくれていると言ってくれて嬉しかったですね。

先日、きちんと感謝を伝えようと、結婚してから初めて花束をプレゼントしました。妻はすぐにSNSに花束の写真をアップして、「旦那が花束をくれた。怪しい」なんて書いてましたけど(笑)、色々なコメントを見ると「でも、やっぱり嬉しい」と書いてあり、喜んでくれたようなので私も嬉しかったです。

たまにそっけない態度をとられて寂しいときもありますが、僕の帰宅を美味しいご飯を作って待っていてくれて、休みの日はデートしている気分にさせてくれ、ずっと支えてくれている妻には大感謝です。お互い50代になりますが、あたたかい関係が続いていて良かったなと思います。

 

お客様に対しての思い

明治温泉を愛してくださるお客様

2020年の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言中は、山の宿 明治温泉も休業を余儀なくされ、非常に苦しい状況に陥っていました。ポジティブな私もさすがにへこんでいたそのとき、なんと過去にこの宿を利用してくださったお客様が寄付金を募り、持ってきてくださったんです。

「この宿が潰れては困る。これは微々たる額ですが」といって差し出されたお金を見たとき、「へこんでいる場合なんかじゃない、生き残らないと」とスイッチが入りました。私たちがこの危機に負けず、「何とか踏ん張ろう!もっと素晴らしい空間にしよう!」と力一杯思えているのは、お客様のおかげです。

この宿を愛し、私のことを仲間として受け入れてくれているお客様を、いつでも迎え入れる準備を万端にしておこうと思っています。「山の宿 明治温泉を愛してくださってありがとうございます」という感謝の気持ちをお伝えしたいです。

取引先に対しての思い

矢澤さん(コンサルタント)

コーチングなどを行ってくれるコンサルタントの方です。社員との接し方など、褒めるところはしっかりと褒め、改めるべき点は私の目を見て正直に指摘してくれるので頼りにしています。しかし、実は過去に仕事の仕方について疑問が生じたことがありました。「私はやらされるようなコンサルを受けるのは嫌です。このままだと契約を続けるわけにはいきません。ともに成長したいんですよ」ときっぱりお伝えしたところ、「こんなに正直に気持ちを伝えていただいて嬉しいです」と言ってくれたんです。その出来事を境に矢澤さんは、私たちにものすごく寄り添い、とにかく話を聞いてくれるようになりました。彼女のコンサルのおかげで、この宿の風通しが良くなり、スタッフが働きやすい環境になったと思います。山の宿 明治温泉を好きという気持ちがとても伝わってきますし、彼女の自分に厳しい姿勢を見習いたいと思っています。矢澤さんがいるからこそ、山の宿 明治温泉は良い雰囲気で成長していっています。いつまでも一緒にやってほしいとお願いしたい素晴らしいコンサルタントです。彼女には、「山の宿 明治温泉がどんな状態になったらワクワクしますか?」と聞いてみたいですね。

後藤さん(コンサルタント)

当社の労働環境の改善に尽力してくださるコンサルタントです。年間売上高約1億円の企業を3億円まで伸ばした経験もあるやり手で、私にもたくさんの宿題を出してくれています。あまりに宿題が多いので、「こんなにたくさんは無理です!」と最近はお断りさせてもらっていますけれど(笑)。

正直な気持ちをさらけ出させてくれる人で、私自分を振り返らせてくれる存在でもあります。「こうした方が経費削減できますし、鈴木さんの理想とする形に近くなりますよ!」とあたたかく励ましてくれることに感謝をしています。

セムコ株式会社の宗田さん

船舶用機器メーカーのセムコ株式会社で代表取締役社長を務める宗田さんは、どんなピンチに直面しても成長の機会に変えてしまうタフな方です。新型コロナウイルス感染拡大の影響に私がめげないのは、実は宗田さんのおかげなのです。彼の精神力は本当に凄まじい。そんな彼の人間性に惚れてお付き合いさせてもらっています。私にとっては宗田さんを見習うことで成長することができますし、また、刺激を与えあえる同士でもあると思っています。

明治温泉 鈴木さんの宗田さんに対する思いは、こちらの記事から読むことができます

地球環境に対しての思い

先ほども申し上げましたが、私は旅館業のほかに、一般家庭などに向けて灯油の配達業も行っています。今は前述したセムコ株式会社の宗田さんと、灯油を無駄なく調達して配達することで在庫量を減らすプロジェクトを共同で行っている最中なので、そのプロジェクトが本格的に動き出したらまたご報告できればと思います。

  

地域社会に対しての思い

笹原観光まちづくり協議会

観光を手段としたまちづくりを通して、持続可能な集落になることを目指す長野県茅野市笹原区の団体です。奉仕精神あふれる素晴らしい人たちで、豊かな人脈を生かして地域とのパイプ役を担ってくれています。

なかでも事務局長の武安さんは頼りになる人で、コロナ関連の補助金も彼のおかげでスムーズに申請することができました。補助金の存在は知っていたのですが、手続きも煩雑なのでチャレンジする気になれなかったところ、「鈴木さん!これはやらない手はないよ!」とお尻を叩いてくれたんです。おかげさまで弊社の新たな組みにしっかりと利用させていただいております。

武安さんをはじめとして、笹原観光まちづくり協議会のメンバーにはいつも本当に助けていただいています。一緒に道路清掃もしてくれますし、木も一緒に切ってくれる。お土産の販売も手伝ってくれる。皆さん方がいるから、頑張ろうと思える存在ですね。感謝という言葉では足りないほど感謝です。早く黒字化を実現して、私も地域に還元したいと思います。聞いてみたいことは、「笹原観光まちづくり協議会のみなさまにとって、山の宿 明治温泉はどんな存在ですか?」ということです。

信州一ともいわれる奥蓼科の紅葉

信州一ともいわれる奥蓼科の紅葉

 有限会社イリセンの茅野さん

イリセンは、寒天関連商品の製造・販売を行う会社です。代表取締役の茅野さんは、メディアに出演したり、子どもたちに凍み豆腐や寒天づくりを教えたりなど、地域の人たちに興味を持ってもらうような活動に積極的で、「凍みの会」というグループも作っています。僕も茅野さんの活動を応援するためこの会に入っていますが、逆に茅野さんが山の宿 明治温泉のことを宣伝してくれたり、会を通して自転車屋さんや蕎麦屋さんなど異業種の方と知り合うきっかけにもなったりしているので大変ありがたく思っています。また、イリセンがあるおかげで、僕らの宿でも茅野市の食材が宣伝でき、食材を通して地域の風土をお客様に理解していただくことができています。茅野さんにお伺いしたいのは、「最終的に何を目指しているのか、今後どんなことにチャレンジしていきたいのか」といったビジョンですね。
  

金融機関に対しての思い

八十二銀行茅野支店の支店長と融資課の黒田さん

言うまでもなく、山の宿 明治温泉が存続できているのは金融機関さんのおかげです。特に融資課の黒田さんにはお世話になっています。「明治温泉さんが助かるなら」という一心で、コロナ禍での融資も尽力してくださいました。まだお若いのに、「鈴木さんだったらやれますよ!」といつも励ましてくれる頼りがいのある方です。以前は銀行に対して冷たいイメージがあり身構えていたのですが、黒田さんのあたたかいお人柄と寄り添ってくださる姿勢のおかげでかなり印象が変わりました。いつまでも八十二銀行さんに頼るのではなく、自分たちでしっかりとお金を稼ぐ力をつけて恩返ししたいですね。八十二銀行さんにとっての優良案件に早くなろうと思っています。

八十二銀行さんにお伺いしたいのは、「山の宿 明治温泉を含む、奥蓼科はどういった存在であり、今後どのようになっていってほしいですか?」という質問です。

 

未来世代と未来のステークホルダーに対しての思い

未来について語るとき、「人と自然の共生」というキーワードがよく出てきますが、私はまず「人と人とが共生できる社会」を目指すことが重要だと思っています。人種や性別などで格差ができてしまうのが昔からどうも腑に落ちません。富が一極集中する世界ではなく、皆が互いを思いやり、分け与えられる世界になれば良いなとずっと思ってきました。

どうしてこんなにも自分勝手な人が多いのでしょうね。人の不幸を見て喜ぶ人がまだまだたくさんいるのかもしれません。私自身は小学校、中学校といじめられっ子で、一時期不登校になったこともあったのですが、いじめっ子はまさに人の不幸を見て喜んでしまう人たちです。ですから一番良い仕返しは、幸せになることなんです。今の私はやりがいのある仕事を持ち、信頼できる人に囲まれ、非常に楽しく暮らしていますから、一番良い形で仕返しができました(笑)。

自分でできることも増えたので、未来世代に対して何ができるのかもよく考えるのですが、やはり先ほども言ったように「人と人が共生できる社会」を作ることに関わっていきたいと思っています。人間同士が仲が悪いと、自然も人も滅ぼしますし、病気も呼ぶし、地球も困ってしまいます。分け与える世界を目指して、今後も自分にできる限りのことをしようと思います。

 

【企業概要】
有限会社 明治温泉
代表取締役社長 鈴木義明
〒391-0213 長野県茅野市奥蓼科4734
TEL.0266-67-2660
FAX. 0266-67-2450
https://www.meijionsen.jp/

 

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ライター:

1991年東京生まれ。中央大学法律学部出身。卒業後は採用コンサルティング会社に所属。社員インタビュー取材やホームページライティングを中心に活動中。

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