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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

株式会社Sacco

https://www.sacco.co.jp

東京都渋谷区渋谷1-7-5-1006

0364276822

社員の家族を大切にする会社って? 社長の親から見たSacco

ステークホルダーVOICE 社員・家族
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ステークホルダーメディア では、企業と社会のつながりを可視化することを目的に、企業がステークホルダーからどう見えているのかを記事にしています。お客様や取引先からどう見えているのか。地域社会や株主からどう見えているのか。そういった一つひとつの声を可視化していった先に、企業の360°評価につながると考えています。

ただ、私たちがこういった活動をするにあたり、運営会社である株式会社Saccoは、ステークホルダーからどう見えているのかを可視化しなくていいのか、という声が社員から聞こえてきました。

そこで率先垂範するべく、Saccoも他企業同様に、ステークホルダーからの声を可視化していくことにしました。

社員の家族も重要なステークホルダー

ステークホルダーの中には当然、「社員」も含まれます。せっかくのご縁で働いてもらっている社員には、生きがいを感じてほしい、幸せになってほしいと願うのは、経営層の誰もが願うことだと思います。私たちの考えでは、ステークホルダーを尊重する企業は、「ステークホルダーのステークホルダーも尊重している」というポイントがあると見ています。なぜなら、「社員の幸せを願う=社員がプライベートな時間も充実している」が重要になるからです。この精神のもと、ステークホルダーメディアでは、「社員」のカテゴリーには、正社員だけではなく、契約社員、業務委託、パート・アルバイトも内包していることは当然のこと、社員の家族もまた社員に内包される重要なステークホルダーだと考えています。

昨今はプライバシーへの配慮が求められる時代ではありますが、この時代に求められる企業として社員の幸せを願う「個を尊重したやり方」があるはずで、社員の大切な家族からも愛される会社作りを真剣に行っていくアプローチの延長線上に、いまの時流に合致した「いい会社」づくりができるのではないかと考えています。

そこで今回は、社員の家族からの声を可視化するんだったら、まずは代表自らやっとくか、ということで、家族にインタビューしてきました。私自身、落としどころを見定め切らないまま、インタビューしてきたところがあり、読み物として成立しているか微妙ですが、ご笑納ください。

※本記事ですが、私、加藤の両親(加藤健・典子)へのインタビューとなっています(最初に子どもにインタビューを試みたのですが、顔出しNGをはじめとした諸般の事情が重なり、無念ですが……。いつか、出てくれるかな!)。

ちなみに、両親ですが、父は企業を定年退職した身で、母は専業主婦になります。

社長の両親へのインタビュー

最初に、私加藤から、両親にステークホルダーメディアの概要を説明しました(考えてみれば、親に会社のことをきちんと話したことはなかったです)。ステークホルダーの声を可視化する意義とステークホルダーを大切にする企業が、社会的に評価される価値観を作っていくというミッションを伝えました。

加藤:……というわけで、社員にも家族のインタビューをお願いしていきたいんだけど、まずは社長自らやらないと、って話があって、父さん母さんの時間を頂戴しました。話の進め方としては、まずボク(企業)から父さん母さん(ステークホルダー)に感謝の想いをお伝えするので、そのうえで父さん母さんの立場からSaccoがどう見えているかを聞かせてください。

えーと、……なんか、恥ずかしいね。まぁ、今まで色々と迷惑をかけてきましたが、産んでくれてありがとう、育ててくれてありがとうございます。

:なんだかよくわからないけど……もう、お前が他人様に迷惑をかけないでくれればそれでいいよ(私、加藤は10代の頃、親に多大な迷惑をかけた親不孝者です)。……仕事の話でいえば、聞いた限りで思うことは、モノを作って売る商売ではないから、難しいビジネスだと感じるよ。

 :ステークホルダーの声を可視化していくというのは、競合はいるの? いないんでしょ。誰かがやっている既存のビジネスをやるのではなく、誰もやっていないことをやっていくのは本当に大変だと思うよ。欧米ではこういったビジネスはあるの?

 加藤:メディアとして、企業のステークホルダーの声を可視化していく媒体は、今現在では見当たらないね。なぜ、これをやり始めようと思ったのかを説明すると、受託で、社内報とかインナーウェブを制作していたことに起因します。

社内報っていうのは社員とか社員のご家族に会社のことを知ってもらうために作るものなんだけれども、社員やその家族の人たちに、会社のことを好きになってもらうために色々な企画を作るんだけど、その一環として、企業を取り巻くステークホルダーを取材するんです。 地域社会の人たちが企業のことをどう見ているかとか、取引先がどう見ているかとか。話を聞いていくと、とてもいい言葉が取材の中でたくさん拾えて、それを記事にしていくことによって、社員の人たちが「私たちの会社ってステークホルダーからこうやって思われていたんだ」っていう自社の価値を再発見してもらう機会につながっていくことが多かったのです。

で、これだけ良いコメントが取れるんだったら、むしろ、ステークホルダーからどう見えているかをインナーのメディアに留めるのではなくて、表に出すことで、企業が「いい企業」だということを伝えることができるよねと思って、これをやりはじめました。

:ステークホルダーの声を可視化して、どうするの? 何か指標化したりするのかい?

加藤:企業の潜在領域下にある社会的存在価値を定量化していこうという動きは、海外ではESG投資の際に活用するために、AIを使って手掛けているところや、国内でも、公益資本主義とかアカデミアの人たちがやろうとしていることだよ。でも、Saccoでやろうとしているのは、そういった経済学の大家たちが長年取り組んでいるような高尚なことではないよ。

:なんだ、そうなのか……。(父は現役時代に、企業の内部統制を推進したり、監査役をしていたので、指標化はわくわくするテーマだったようです)

テーマはステークホルダーへの感謝と360°評価

加藤:うん、Saccoでやろうとしているのは、まずは、自社を取り巻くステークホルダーからの声を可視化する文化を作りましょう、という活動なの。なぜなら、昨今は人がモノを買う際、誰しもがお客様事例を参考にするのだから、そういったお客様事例を内包する形でステークホルダー事例を作ることに一定の意義はあるんじゃないかと考えています。ステークホルダーからの声を可視化していくことによって、最近言われ始めたSX(サステナブル・トランスフォーメーション)やSDGsに企業各社がどうやって取り組んでいるかを伝えていくことができると思っています。

実際にステークホルダーからの声を可視化していくアプローチとして、どの企業も今日まで存続できているのは、いわば、ステークホルダーのおかげなのだから、そのお世話になっているステークホルダーに、「感謝の想い」を伝えましょうということを提唱しています。なぜなら、感謝の想いを伝えれば、ステークホルダーは喜んでくれるだろうし、そうすることで、企業をどう見ているかのいいコメントがとれると考えているので。その先に、企業がお世話になった人に感謝を贈り合う文化を作りたいと考えています。

:ああ、それで私たちに「ありがとう」を言ったのね。めずらしくて、わけがわからなかったわ(笑)

加藤:うん(笑)企業からお世話になった人に「ありがとう」を伝えていくことで、逆にそのステークホルダーの人たちからも「ありがとう」が贈られていくことを狙っていて、たくさんの「ありがとう」が企業ページに並んでいったら、企業の社会性・公器性を伝えられるなーと。例えば、お客様や取引先からの「ありがとう」、地域社会だったら地域の飲食店や自治体といった人たちからの「ありがとう」、株主や金融機関だったら、その人たちが企業をどう見ているかといった風に、ステークホルダー別にたくさんの「ありがとう」を並べていくイメージです。

その延長線上に、企業が、ステークホルダーからどうやって感謝されているのかを可視化していくことによって、事業規模の大小を問わず中小企業であっても良い事ってやってるよねという価値を伝えていきたいんです。最終的には、ステークホルダーを大切にする企業がいま以上に尊敬される、そんな世の中を作りたいと考えています。

:……なんか、青臭いことしているんだな。企業がステークホルダーからどう評価されているかの一番簡単な判断基準は、一回だけの取引で終わるんではなくて、次もオーダーが入ることだよね。

:私はなんとなくわかるよ。中小企業だと、同業界の人には知られていても、全くの一般人は知られてないものよね。でも、例えば、学生がどこの企業に勤めるかを考えた時に有名な企業やマスコミ受けがいい企業に勤めたがるものだけれども、そういった時に俊のビジネスが大きくなっていれば 、売上とか社員数以外のもう一つの判断基準になるということでしょ。

俊の話を聞いてと思ったけど極めて伝統的な日本の価値観ね。 日本的な企業の在り方だよね。欧米をはじめ、最近の企業は、地域とか社員の家族とかって関係ないんじゃないの。

伝統的な日本式経営の価値観の再評価

加藤:それがだいぶ変わってきているのです。欧米の価値観が一周回って日本に追いついてきている感じはあるよ。日本のことを調べていくと中世時代の近江商人の「三方よし」に始まり、江戸時代の石田梅岩とか、渋沢栄一、松下幸之助、近代では、稲盛和夫に代表されるように、企業には地域社会をはじめとしたステークホルダーは大切にする責任がある、という価値観がいまも根強く残っているの。「利他の心」とか「三方よし」の考え方が好きな風土がね。

ところがアメリカでは、1960年代以前は同じようにステークホルダーを大切にしている価値観が強かったんだけれども、1962年にミルトン・フリードマンが出てきて、「企業の持ち主は株主である」「企業は株主に利益さえ出せばいいんだ」という考え方が唱えられていった1970年代以降、「金融至上主義」「株主第一主義」「株主主権主義」とかいった言葉に代表される考えがトレンドになっていったんだ。

その考えがどんどん激化していった先に、リーマンショックなどの事象や貧富の格差の拡大が無視できないところまできてしまった今日の世の中になってしまったと言えます。さすがにここまでくると、「いまの社会ってどこか間違ってしまっているよね」と多くの人が感じるようになったわけです。

で、今度は欧米発信で、企業は従来株主のためのものだったけれども、これからの時代は顧客・社員・取引先・地域社会・株主といった全てのステークホルダーを尊重するようシフトすべきといった宣言が出されたりしているんだよね。2020年のダボス会議も、こうした考えを表す言葉である「ステークホルダー資本主義」がメインテーマになったぐらいなんだ。

でも、これって日本人がもともと持っている伝統的な日本式経営の価値観と一緒ですよね、という話で、元々、地方の中堅中小企業の多くが持っている、「俺たちが地域を守るんだ!」という考えと、欧米の最先端の思想がここにきてシンクロしつつあり、世間では、ステークホルダーを大切にする日本企業が再評価される時代にならないかな、という期待が生まれはじめたのです。

でも、そんな簡単な話ではなくて、多くの有識者が言うには、この動きもまた米中欧のパワーゲーム化していくから、自動車の排ガス規制のように、必ずしも日本企業に有利なようにデファクトが定まることは望めない、という意見が多く、この点を留意する必要があるけれどもね。

こういった前提をもとに、Saccoのビジネスは、事業規模の大小を問わず、どんな企業もステークホルダーとどう向き合ってるのかを 内外に示す責任が、今後は生まれてきますよ!だから、ステークホルダーの声を積極的に可視化していきましょう、と提唱するもので、ステークホルダーを大切にする企業が評価される、新しい価値観を社会に醸成したいと考えるものなのです。

両親から見たSacco

:ふーん。まぁ、あなたの場合は、どっかで私たち親に恩返しをしないといけないと思いますよ。いまのところ、あなたがしてくれた唯一の恩返しは、可愛い孫を二人作ったことだけだから!

あとは、貴方に望むことは、私自身もそうだし、あなたもそうだけれども、棺桶に入る時に、「あー、いい人生だったな」と思えるような人生を送ってほしいということです。マイナスの要因をいかにプラスに転化できるかが、人生を彩り豊かなものにする鍵だしね。つい最近も Twitter を見ていて「逆境も考え方によっては素晴らしいもの」というシェイクスピアの言葉が出ていたわ。かのシェイクスピアもそう言ってんだから、世の中のために、きちんといいことをしていきなさい。

:俊の会社に期待する、うーん、言葉が出ないな。人に堂々と言えるビジネスをしてほしい、かな。こういった事業を営んで会社を経営しています、とね。大きくなくても、ちゃんと利益を出して長続きしていける会社にしてほしいな。いくら大きな会社でも、終わってしまうこともあるからね。そして、何より、社員の人たちが、いい会社に入っててよかったなと思ってくれるような会社にしてくれればいいね。

:私の実家は東北の文具の卸問屋と文具屋で100年以上続いてるけれども、会社を続けるということは本当に難しいことよ。ビジネスというのは良い時ばかりではないもの。活版と紙を手掛けるようになってから三世代続いているけれども、確かに、うちの父の時代は戦後の勢いで会社を大きくできたけれども、今は地方の衰退の煽りを受けてしまって、元気がないもの。

地域がしっかりしていればモノを売っていくことはできるけど、地域自体が衰退してしまったいまとなっては、自分の所でいくら頑張ったって難しいところはあるわよ。

だから、ビジネスは常に先を読んで、新しいことを考えていかなければならないんだろうけど。本当に商売を続ける大変さを私は実家を見ていて感じるかな。自分が育つときは優雅に育ったが、今の世代はそうではないから。あれほど堅実で盤石そうに思えた商売だったのに、いまが大変なんだから、ましてやあなたのビジネスは同業があまりいないんだったら、本当に大変ないばらの道なんだと思う。まあ、あなたが選んだ道なんだから、きちんとやりきってみなさい。

:しかし、ステークホルダー云々っていうのは、俺が会社にいた頃から、言っていたぞ。そこいくと何も変わらないよな。……まぁ、頑張りなさい。そして、時には顔を見せなさい。

加藤:はい……。

最初は、気乗りしなかったインタビューでした。でも、終わってみて、文字お越ししているいま思うのは、そういえば、親に感謝の言葉とか伝えたこと自体、あまりなかったな、ということ。そして、親に会社の話ができたことが、思いのほか、ボクにとって大きなカタルシスになったというか、心が晴れやかな感じになったことに驚いています。

自分から社員だけではなく、きちんと家族の声をとろうと言い出した手前、まずは自分からやらないとなと気乗りしなかったけれども、やってみてよかったなーと。そして、尚一層、親に恩返しをしていくためにも、会社を頑張ろうと決意を新たにできました。

それにしても、感謝を伝えるというのは難しいです。やはり、第三者が間に入ってくれた方が、きちんと伝えたいことを伝えられることを再認識しました。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人100年経営研究機構参与。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。社会的養護の自立を応援するヒーロー『くつべらマン』の2代目。 連載: 日経MJ『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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