清家あい区長に公開質問、「なぜ加害児童を守り、被害児を見捨てるのか」

かつて経産省に勤め、鋭い政策分析で知られる宇佐美典也氏が、自らの家庭に降りかかった悲劇をSNSで明かした。「娘は去年12月からいじめで幼稚園に通えなくなっている」。そう打ち明けたX(旧Twitter)の投稿は瞬く間に拡散し、1400万件以上の閲覧を記録した。
娘は転園を繰り返してもなお同じ児童から追いかけられるようにいじめを受け、ついにはPTSDの診断を受けた。5歳にして睡眠導入剤を飲む生活。宇佐美氏は「港区が娘よりも加害児童を優先した」と区の対応を強く非難し、区長・清家あい氏に公開質問を投げかけた。
「狂っている」と父が叫んだ港区の教育行政
宇佐美氏の怒りは教育現場の対応だけではない。予算不足を理由に幼稚園の職員を補充しない一方で、シンガポールへの修学旅行には潤沢な予算を付ける港区の財政配分を「狂っている」と断じた。区が掲げる「こどもまんなか宣言」など、口先だけに過ぎないと切り捨てた。
「なぜ加害児童ばかり守られ、被害を受けたうちの娘は後回しにされるのか」。SNSには父親の悲痛な声が幾度も流れた。
救いの手は区議から
こうしたなかで動いたのが新藤加菜区議だった。彼女は宇佐美氏からの相談を受け、教育委員会と交渉。結果、園児をグループ分けし、加害児童と接触しない時間割を導入する仕組みを実現した。これにより娘は週1日午前だけ登園できるようになり、宇佐美氏も「どん底から少し回復できた」と感謝を述べている。
「出席停止」の制度はあるのに…
父親が求めているのは加害児童への登園停止処分だ。学校教育法には「出席停止」の規定があり、市町村教育委員会が命じることが可能とされている。
だが現実には、適用はきわめて厳格で、感染症の流行時のように明確な外形事実がなければ簡単には動かない。結果として、被害児が転園や登園停止に追い込まれるという「逆転現象」が起きやすい。
SNSで広がる「被害児の権利を守れ」の声
X上では「被害者より加害者の人権ばかり優先されている」との声が噴出した。「授業妨害が数年続いても親が拒否すれば適正なクラス替えさえできない」と、自らの経験を重ねる保護者の声もある。世論の共感は「加害児童の権利と同じくらい、被害児が学ぶ権利を守れ」という一点に集約されつつある。
「こどもまんなか」の看板と現場の乖離
港区は2023年に「こどもまんなか宣言」を掲げ、「すべての子どもを守る」と声高に訴えてきた。だが、現場で苦しむ家庭にとっては、その言葉がむなしく響いている。実際に娘が登園できず、家族が鬱や不眠に追い込まれる状況を前に、宣言が“ポスターの標語”に過ぎないのではないかという批判が強まっている。宇佐美氏が突きつけたのは、「美辞麗句と現場の現実の間にある大きな溝」そのものである。
国際比較と外国人コミュニティの壁
さらに今回の事案を複雑にしているのは、相手が外国籍児童である点だ。宇佐美氏は「中国人コミュニティに逃げ込み、日本の常識が通じない」と発言している。もちろん、外国籍児童の権利も尊重されるべきだが、保護者間での文化的摩擦や、地域社会との接点の希薄さが問題解決を難しくしている面は否めない。
欧州では移民家庭の子どもを対象とした特別支援クラスやカウンセリングが制度化されている例もあるが、日本ではこうした仕組みが乏しい。結果として「法と文化の狭間」で被害児が取り残される現実が浮き彫りになっている。