
総重量763kgの“肥満落下系堕天使アイドル”びっくえんじぇるが、CANDY TUNEの楽曲『倍倍WIGHT!』を替え歌にして披露し、SNSで大バズリしている。YouTube登録者数22万人を超える彼女たちは、笑いと共感を武器に、時代の価値観を軽やかに塗り替えている。
びっくえんじぇるとは? 総重量763kgの“肥満落下系堕天使アイドル”
「天使だったけど、体重オーバーで地球に落っこちた」――。
この設定からすでにユーモアと物語性が溢れている。2018年に結成されたびっくえんじぇるは、“太っていることを隠さないアイドル”として活動を続けてきた。
メンバーは「白米」「マカロン」「ステーキ」「マヨネーズ」など、それぞれ“食”を象徴する担当を持つ。YouTubeチャンネル「BIG ANGEL CHANNEL」は登録者22万人、累計再生回数は1億3千万回を突破。動画1本あたり平均12万回再生を記録しており、視聴者の約7割が女性だ。
「食べて笑って踊る」――そんな姿が共感を呼び、“多様性の象徴”として支持が広がっている。
替え歌『倍倍WIGHT!』がSNSで大バズリ 「痩せないと…」自虐の裏にある強さ
11月10日夜、びっくえんじぇるが投稿した1本の替え歌動画が、SNSを席巻した。
CANDY TUNEの人気曲『倍倍WIGHT!』を、自らの体型に重ねた替え歌で披露したのだ。
「だーいぶ痩せないと 毎分体重増量中!!」
「食事のアイスということは もう一度食事に戻るということです」
歌詞は自虐的でありながら、どこか前向きだ。
踊るたびにステージが揺れるような迫力に、コメント欄には「キレがすごい」「完璧な替え歌」「見ていて元気が出る」と称賛が相次いだ。
ENCOUNTによると、投稿から48時間でX(旧Twitter)上の関連投稿は8,200件を突破し、Instagramでは50万回再生。TikTokなどを含めたSNS全体の累計再生数は約200万回に達した。
「笑いながら泣ける」「この人たちは本気で生きてる」との声も広がり、びっくえんじぇるの名が再びトレンドに浮上した。
女性ファン8割 “痩せないアイドル”が広げた共感の輪
びっくえんじぇるのファン層は、実に8割が女性だ。
体型や外見に悩む人たちが、彼女たちの姿に自分を重ねる。
「太っていても可愛い」「この人たちを見て、自分のことを少し好きになれた」――。
そんなコメントがSNSに並び、ライブでは観客が涙を流す光景も珍しくない。
YouTubeデータでは、視聴者の61%が18〜34歳女性。かつての“理想のアイドル像”を塗り替える存在として、確実に時代の共感をつかんでいる。
「痩せなければ天界に戻れない」 笑いながら社会のタブーを撃ち抜く
びっくえんじぇるの設定は冗談のようでいて、社会を映す鏡でもある。
「痩せなければ天界に戻れない」というキャッチフレーズは、体型への圧力や外見主義への風刺でもある。
彼女たちは自分たちを笑いながら、同時に社会を笑ってみせる。
そのユーモアの裏にあるのは、「誰もがそのままで輝ける」という強いメッセージだ。
観客もまた、その笑いに救われる。照明が落ち、最後のサビでメンバーが笑顔を見せる瞬間、会場全体が少し軽くなる――そんな“空気の変化”が、びっくえんじぇる最大の魅力といえる。
“個性経済”を動かす堕天使たち SNSが生む共感ビジネス
びっくえんじぇるの活動は、単なるエンタメではない。
YouTubeやSNSを基盤にファンとの関係を育て、共感を経済に変える“個性経済”の成功例でもある。
自己プロデュース、グッズ販売、イベント運営まで自ら行い、2024年度の物販売上は前年の1.6倍。
SNSの熱量が、リアルな売上につながっている。
ファンが求めるのは完璧さではなく、“リアルに生きる姿”。びっくえんじぇるは、そこに時代の答えを見出している。
結び
びっくえんじぇるは、ただ踊るだけではない。
笑いながら、社会を映し、希望を届けている。
「天界に戻るのはまだ先でも、地上は意外と悪くない」。
そんな言葉が似合う彼女たちは、今日もステージで笑い、踊り、食べる。
その姿に、多様性の時代を生きる人々は、きっと自分の姿を重ねている。



