
人気グループ「三代目 J SOUL BROTHERS」のボーカリスト、今市隆二さん(37)がタクシー運転手に暴行・脅迫を加えた疑いで書類送検されていた件について、8月28日、被害者側との示談が成立した。被害届は取り下げられ、刑事手続きは事実上終結する見通しだ。
脅迫発言を認め、謝罪文を提出
双方の代理人による交渉の結果、今市さんは被害者に対し「殺すぞ」という趣旨の発言をした事実を認め、暴行・脅迫行為について謝罪。書面での謝罪が運転手に伝えられ、解決金の支払いも行われた。金額については非公表だが、運転手側は謝罪を受け入れ、示談に応じた。
被害者代理人は「芸能活動の自粛や休止を求めるものではない」と強調しており、活動再開を妨げる条件は設けられていない。
被害者「ただただ恐怖の数十分」
会見では、被害者であるタクシー運転手のコメントが代読された。
「運転中に耳元のアクリル板を突然殴られたときの衝撃と恐怖は、今まで経験したことのないものでした。『もし事故を起こしてしまったらどうしよう』『絶対事故を起こさせないように』ということだけを考え、ただただ恐怖の数十分が過ぎていきました」
当時の恐怖がいかに深刻だったかを訴えた。
飲酒トラブルが背景に
事件は今年4月に発生。酒に酔った今市さんがタクシーに乗車中、同乗していた友人との口論をきっかけに乱暴な言動に及んだとされる。
当初、所属事務所のLDHは「第三者である運転手への乱暴はなかった」と説明したが、その後の交渉で暴行と脅迫の事実が認められた。
弁護士らは「飲酒が関わる事件は記憶が曖昧になるケースが多い。今後は酒の飲み方に注意するべき」と指摘。今市さん側の代理人からは「禁酒」の提案もなされたという。
芸能活動復帰の見通し
示談成立により刑事的な決着はついたが、芸能活動復帰の時期についてはLDHの判断に委ねられる。LDHは事件後、今市さんに自宅謹慎と報酬返上を科し、10月のライブ不参加を発表。活動休止状態に置いてきた。
被害者側は自粛を求めていないため、復帰を阻む法的障害はない。ただし、飲酒によるトラブルであった点から「社会的責任」と「再発防止策」をどう打ち出すかが復帰の前提条件となる。
ファン心理、支持と批判の二面性SNSでは「謝罪したのだから復帰を待ちたい」「歌声がないと三代目は完成しない」といった支持の声がある一方、「飲酒による暴力は軽視できない」「信頼回復には時間が必要」といった厳しい意見も根強い。
ファン心理は「復帰を望む期待」と「社会的責任を問う批判」とに二分しており、LDHと今市さんはその両方に応える説明責任を負っている。
LDHグループ全体への影響
今回の事件は三代目 J SOUL BROTHERS だけでなく、LDH全体のブランドにも影響を与えた。当初の説明と実際の事実に齟齬があったことで、情報発信の信頼性に疑問が残った。
LDHはEXILEやGENERATIONSなど数多くの人気グループを抱える大手プロダクションであり、今回の一件は「事務所としての危機管理」や「アーティスト教育」の在り方にまで波及している。
音楽業界全体への波紋
スポンサー企業やコラボレーション先にとっても、所属アーティストの不祥事は無視できない。特にLDHはファッションブランドや飲料メーカーとのタイアップが多く、企業イメージに直結するため、今市さんの復帰には社会的信用の回復が不可欠だ。
「再発防止策の提示」と「誠実な説明」が不十分であれば、スポンサー離れやコラボ中止といったリスクも懸念される。
まとめ
今市隆二さんの事件は示談により決着したが、社会的信頼の回復はこれからの課題である。ファン心理は支持と批判に分かれ、LDH全体のブランドや音楽業界との関係性にも影響を及ぼしている。
復帰のタイミングをどう見極めるかは、今市さん本人の姿勢と、LDHがどれだけ透明性と誠実さを持って対応できるかにかかっている。