ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

オルツ、決算粉飾の疑いで臨時株主総会へ 売り上げ7割水増し? AI開発企業

コラム&ニュース ニュース
リンクをコピー
AIGIJIROKU トップ
AI GIJIROKUより

AI議事録サービスで急成長したオルツに“売上水増し”疑惑が浮上。約40億円の架空計上が指摘され、8月に臨時株主総会を開催する方針だ。

 

AI議事録で急成長も、その裏で“循環取引”の疑い

AI技術を活用した議事録自動化ソフト「AI GIJIROKU」で知られる東証グロース上場のAIスタートアップ企業、株式会社オルツ(本社:東京都港区)が、売上の大幅な水増しを行っていた疑いが浮上している。関係者によると、同社は複数の企業との間で実態のない取引を装い、資金を循環させる「循環取引」により売上を計上。実際には発生していない売上を有価証券報告書に記載していた可能性がある。

証券取引等監視委員会は2025年4月、金融商品取引法違反(虚偽記載)の疑いでオルツに対して強制調査を実施したと発表した。調査関係者によれば、同社の2024年12月期決算に計上された約60億円の売上のうち、約7割に相当する40億円が架空であったとされている。

水増しは2021年ごろから開始か

オルツは2014年に創業。AIを活用した業務効率化ツールの開発を主軸に事業を展開してきた。特に2020年にリリースした「AI GIJIROKU」は、企業・自治体での利用が広がり、売上の柱となってきた。

決算資料によると、同社の売上は2020年12月期で約5500万円だったが、2021年には約9億5000万円、2022年には約26億円、2023年には約41億円と急拡大。そして2024年10月に東証グロース市場へ上場し、同年12月期決算では約60億円を計上した。

しかし、監視委の調査で浮かび上がったのは、売上急増の背後にある“粉飾”の可能性だ。関係者によれば、2021年ごろから売上の架空計上が始まり、AI GIJIROKUによる収益が全体の8〜9割を占める中、見せかけの成長が続けられていたという。

決算延期と第三者委員会の設置

 

こうした疑惑を受けて、オルツは2025年4月25日、AI GIJIROKUに関して「売上の過大計上の可能性がある」と公表。第三者委員会を設置して調査に乗り出すと発表した。これに伴い、同社は5月に発表予定だった2025年12月期第1四半期決算を延期している。

企業としての信頼回復を図るため、オルツは8月中旬をめどに臨時株主総会を開催することを決定した。株主総会では、ガバナンス体制の強化を目的に取締役の追加選任が主な議題となる見込みだ。

臨時株主総会の詳細と株主への通知

オルツは6月4日に取締役会を開き、2025年6月30日を臨時株主総会の基準日として設定。これにより、当日までに株主名簿に記載された株主は、議決権を行使できることになる。

開催日時や会場、議案の詳細については現在検討中であり、今後の取締役会で決定次第、電子公告などを通じて公表する方針だ。公式サイトのIR情報でも随時更新される予定となっている。

ガバナンス体制の不備が浮き彫りに

今回の問題は、企業の成長と透明性のバランスがいかに重要かを浮き彫りにしている。特にAI関連企業は、技術革新のスピードが早く、投資家の期待も高いため、成長の過程でガバナンスが後手に回りやすい。今回のオルツのケースは、まさにその典型例といえるかもしれない。

オルツは2024年10月の上場時点で急成長をアピールしていたが、その裏では十分な内部統制や取締役会の監視機能が確保されていなかった可能性がある。今後の臨時株主総会では、そうした体制の立て直しに向けて、取締役の構成やコンプライアンス体制の再構築が問われることになるだろう。

投資家と市場の反応

今回の問題に対して市場は敏感に反応しており、オルツの株価は疑惑公表後に大きく値を下げた。投資家の間では、企業価値の根幹を揺るがす問題として慎重な見方が広がっており、臨時株主総会に向けてどのような再建策が示されるかが注目されている。

企業統治の強化はもとより、AI分野における倫理・透明性の確保も重要なテーマだ。国内外でAI関連企業への規制強化の動きが進む中、日本発のスタートアップであるオルツがこの試練をどう乗り越えるのか、今後の動向が注目される。

参照:臨時株主総会招集のための基準⽇設定に関するお知らせ(オルツ)

【関連記事】

Tags

ライター:

システムエンジニアとしてキャリアをスタートし、大手ITベンダーで勤務しつつ、副業でIT系の記事を執筆。2010年よりフリーライターとして独立。IT業界での経験を活かし、エンタープライズからコンシューマー向けテクノロジー、AI、SaaS、DXなど幅広いテーマで執筆

関連記事

タグ

To Top