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給食費支援ダンスに続け 子どもが「自分で稼いで支援」する時代へ――フリー・ザ・チルドレン・ジャパンなど新潮流

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給食費支援ダンス
DALL-Eで作成

給食費を払えない生徒を救うため、米国の小学校教員が始めたTikTokでの収益活動が大きな反響を呼んでいる。子どもや若者が「支援を受ける側」から「行動する側」へと変わりつつある今、日本国内でも、自らの工夫と行動力で社会課題の解決に挑む新たな取り組みが広がっている。チャリティーイベントの企画からプログラミング学習まで――次世代の担い手たちが自立した発想で地域や社会に貢献し始めている。

給食費支援ダンスから学ぶ「知恵と行動」の価値

アメリカ・ユタ州で特別支援教員を務めるケイティ・クリステンセン氏が、給食費を払えない生徒を助けるため、自らTikTokでダンス動画を投稿し、再生収益や募金によって5校分の滞納額を解消したという事例が話題を呼んでいる。BuzzFeedによると、彼女の呼びかけにより寄せられた支援は総額で1万7000ドル(約250万円)にのぼるという。

この事例に共通するのは、支援を「受ける側」ではなく「動く側」としての若者や子どもの姿勢だ。同様の潮流は日本国内にも見られ、単なる募金ではなく、自ら働きかけて資金を生み出す斬新な取り組みが各地で展開されている。

 

学校現場から社会課題へ挑む:チャリティーチャレンジ・プログラム

公益社団法人日本フィランソロピー協会が展開する「チャリティーチャレンジ・プログラム(CCP)」では、小学校高学年から中学生を対象に、社会課題に気付き、その解決に向けて行動する力を養う学習が行われている。

このプログラムの特徴は、単に募金をするのではなく、子どもたちが自ら課題を発見し、プレゼンテーションを行い、地域社会の大人たちから支援を得て行動する点にある。ある学校では、地域の高齢者との交流イベントを自ら企画・実施し、参加費を通じて得た収益を地元福祉団体に寄付した例もあるという。

 

若者の挑戦を社会が後押し:フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの活動

認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、25歳以下の若者による自発的な社会課題解決活動を支援している。子どもや若者たちは、自ら考案したチャリティーイベントを実施し、その過程で得た知見や成果を「ソーシャルアクションレポート」にまとめて発信する。

中学生が主導して行った「制服リユースプロジェクト」では、家庭に余った制服を回収し、清掃・整備して必要とする家庭へ無償で提供。寄付金ではなく、自分たちの労働や工夫で課題を解決する姿勢が高く評価された。

 

テクノロジーを駆使する教育支援:ソニーのオンラインワークショップ

企業の取り組みとしては、ソニーグループによる遠隔教育支援が挙げられる。同社は地方や離島の小学校と自社オフィスをオンラインでつなぎ、プログラミング教育のワークショップを開催している。

児童たちは「学校を便利にする発明」というテーマのもと、自らアイデアを出し、コードを書き、作品を発表する。その過程で課題発見能力や発信力を身につけ、学習成果を地元イベントなどで紹介する機会も得ている。技術を「稼ぐ力」や「支える力」として学ぶ実践例である。

 

生活の厳しさを越えて自立を目指す:子どもソーシャルワークセンターつばさ

岡山県倉敷市のNPO法人「子どもソーシャルワークセンターつばさ」では、家庭に課題を抱える若者の自立を支えるため、イベント運営や手作り商品の販売などを通じた就労型支援を展開している。

同法人では、支援者からの直接的な金銭提供ではなく、チャリティーマルシェなどを開催し、若者が自らの手で収益を得る仕組みを整えている。売上は全額若者の活動費や生活費の補助に充てられ、自立への第一歩として機能している。

 

「善意を待つ」のではなく「行動で示す」支援の形

これらの取り組みに共通しているのは、支援のあり方を「受動的」から「能動的」に転換している点である。支援を必要とする当事者やその周囲が、自ら動いて課題解決に乗り出す姿勢は、社会の共感を生むだけでなく、持続可能性の面でも優れている。

社会課題の解決に向けた支援は、もはや大人の専売特許ではない。子どもたちが「動くこと」そのものが、すでに未来をつくり始めている。

 

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ライター:

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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