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メンタル不調で受診しても続かない…精神科をやめたくなる理由と対処法

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メンタル不調

五月病と“精神科離脱”を防ぐにはどうすればいい?

新年度の緊張感から解放されるゴールデンウィーク明け。心のブレーキが利かなくなり、職場や学校に足が向かなくなる「五月病」は、多くの人にとって身近なメンタルの落とし穴だ。体調不良や気分の落ち込みから精神科を受診しても、「医師との相性が合わない」「治療がつらい」といった理由で途中で通院をやめてしまう人は少なくない。こうした“精神科離脱”を防ぎ、心の不調に適切に向き合うためには、どのような工夫や支援が必要なのか。メンタルの限界サインと治療継続の鍵を探る。

 

大型連休明けに心が沈む――「五月病」のリスクに備える

新年度が始まり、慌ただしく過ごした4月の緊張感がひと段落するゴールデンウィーク。連休を終えた5月上旬は、社会人・学生を問わず、「やる気が出ない」「会社や学校に行きたくない」と感じる人が増える時期でもある。

俗に「五月病」と呼ばれるこの状態は、医学的な病名ではないが、精神的ストレスや気力の低下を伴う一種の適応障害として知られる。特に、新入社員や異動者、進学・進級した学生に多く、理想と現実のギャップや新しい環境への不適応が主な要因とされる。

五月病の特徴は、次第に意欲が低下し、日常生活への関心が薄れ、身体にも不調が現れる点にある。一過性で終わる場合もあるが、そのまま本格的な「うつ状態」に移行することもある。

その際、心療内科や精神科など専門医を頼ることが勧められるが、現実には「治療が合わなかった」「医師と相性が悪かった」といった理由で、受診を中断してしまうケースも多い。中断後に症状が悪化する例もあり、精神科治療の継続性が社会的な課題となっている。

 

メンタルが限界に達したときの典型的サイン

精神科医の益田裕介氏が監修する『眠れなくなるほど面白い 図解 メンタルの話』では、心が限界を迎えたときのサインを明確に紹介している。以下のような状態が見られたときは、心のエネルギーが枯渇している可能性がある。

  • 現実感がなくなる(解離感)
     夢の中にいるような感覚、世界が他人事のように感じられる状態。
  • 意欲や欲求の低下
     「楽しい」「食べたい」「欲しい」といった日常的な感情が乏しくなり、趣味や生活への関心が薄れる。
  • 自己肯定感の低下
     「自分には価値がない」「何をやってもダメだ」と自己評価が著しく下がる。
  • 身体症状の出現
     頭痛、肩こり、喉の詰まり、腹部の張り、めまいなどの自律神経系の不調が現れる。
  • 不安や焦り、眠れない夜
     理由のない不安、焦燥感が強く、入眠障害や中途覚醒が続く。
  • 自然に涙がこぼれる
     明確な理由がなくても、気づけば涙が出てしまうなど情緒不安定な状態。

加えて、次のような思考パターンの変化も危険信号だ。

  • 「周囲の人から嫌われている」
  • 「未来に希望が持てない」
  • 「どうせ相談しても無駄だ」
  • 「死んでしまいたい」
  • 「もう誰にも会いたくない」

こうしたサインが見られた場合は、無理をせず、早期の休養や相談が必要とされる。

精神科治療を途中でやめてしまう人が多い理由

せっかく専門医にかかったにもかかわらず、治療を中断してしまう人が少なくない。その背景には、以下のような要因がある。

  • 医師との相性が合わない
  • 薬の副作用や効果への不満
  • 話を十分に聞いてもらえないという不信感
  • 通院にかかる時間や待ち時間の負担
  • 「病気だと認めたくない」という抵抗感

こうした「治療の壁」を前に、多くの人が通院をやめてしまい、結果として症状が悪化する悪循環に陥っている。精神科医療においては「継続できる環境づくり」がきわめて重要である。

 

治療を中断しないための対処法と支援の工夫

● セカンドオピニオンを活用する

精神科でも、医師との相性や診療方針に納得がいかない場合はセカンドオピニオンを受けることが可能である。別の視点から治療方針を見直すことで、自分に合った方法を見つけられる場合がある。

● 医師との“相性”を事前に確認できるサービスを活用

近年では、医師の得意分野や診療スタイルを可視化する医療マッチングサービスも登場しており、初診前から自分に合う医師を選べる選択肢が増えている。

● ピアサポート(当事者支援)の導入

治療経験者が相談に乗る「ピアサポート」は、患者が安心して通院を続けるうえで効果的だ。話しやすさや不安の共有を通じて、孤立感を和らげる。

● オンライン診療の選択

外出にストレスを感じる場合は、オンライン診療という手段もある。自宅から医師とつながることで、通院のハードルを下げ、治療継続につながる可能性がある。

● 医療機関側の柔軟な対応

「この方法しかない」と断定せず、「一緒に考えましょう」という対話型の診療姿勢が、患者の安心感と信頼関係につながる。

 

まとめ:心が疲れたときに“続けられる支援”を選ぶ

  • 五月病は、心の不調が表面化しやすい時期。早期のサインを見逃さないことが重要
  • 精神科治療は「続けてこそ意味がある」。通院中断のリスクと対処法を知っておくこと
  • セカンドオピニオンやオンライン診療、ピアサポートなど、「無理なく続ける」ための工夫が増えてきている
  • 「一度やめたから終わり」ではない。自分に合う治療者・方法に出会えるまで、“探し続けること”が自分を守る行動になる
 

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ライター:

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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