
政府は24日、経済財政諮問会議で物価高騰対策としてガソリン補助金を4月以降も当面継続すると表明した。補助金によりガソリン価格を1リットルあたり約185円程度に維持する方針だ。新たな予算措置は取らず、既存の計上済み予算で対応する。
政府方針の転換、脱炭素への逆行懸念も
ガソリン補助金は2022年1月に導入され、軽油や灯油を含む燃料価格の抑制を目的として、これまで延長を繰り返してきた。政府は昨年11月の総合経済対策で、脱炭素の流れを踏まえ、補助金の段階的縮小・廃止方針を示していた。しかし、コメ価格をはじめとする物価高が依然続いているため、今回の会議で年度末での打ち切りを見送った形だ。
政府関係者によると、新規予算は計上せず、これまでに確保した予算範囲内で対応するとしている。
電気・ガス補助は3月終了、ガソリン税廃止は不透明
1月から再開されていた電気・ガス料金への補助は3月で終了する一方で、ガソリンへの補助継続は家計への影響を考慮した判断と見られる。
また、ガソリン価格の高騰を受け、自民党・公明党・国民民主党は昨年12月、1リットルあたり25.1円の「旧暫定税率」の廃止で合意したものの、具体的な実施時期は未定だ。政府は年1.5兆円規模の財源確保が課題となるため早期廃止に慎重な姿勢を崩していないが、夏の参議院選挙を控え、自民党内からも早期廃止を求める意見が高まりつつある。
高騰の背景に原油価格や円安影響
ガソリン価格が高騰している主な理由として、中東情勢の緊張やロシア・ウクライナ情勢を受けたエネルギー市場の混乱による原油価格の高騰がある。また、日本は原油のほぼ全量を輸入に依存しているため、円安進行も輸入コストを押し上げている。
さらに、脱炭素政策により石油関連への設備投資が抑制されていること、ウクライナ危機などの地政学的リスクを背景とした市場投機行動の活発化、国内の税制問題として1リットルあたり約53.8円の税金(ガソリン税と旧暫定税率)の影響なども、ガソリン高騰の要因となっている。
補助金の財源は一般会計から
ガソリン補助金の財源は、主に政府の編成する補正予算や予備費などを通じて一般会計から捻出されている。当初は新型コロナウイルス対策予算を転用したが、その後も補正予算や予備費を繰り返し活用している。これまでの予算総額はすでに8兆円を超えている。
政府は2025年4月以降の継続にあたり、新規予算を計上せず既存の予算内で対応するとしているが、長期化による財政負担の増加や財源の持続可能性への懸念も指摘されている。
補助金期間の具体的終了時期は未定
政府はガソリン補助金を段階的に縮小し、2024年12月から価格目安を引き上げているが、具体的な補助金終了時期は明示していない。原油価格や経済状況を注視しつつ、補助金の継続や終了を判断するとしており、当面は状況に応じた対応が続く見込みだ。
補助金という一時的措置から抜け出せない政府の状況を、識者からは「市場のゆがみ」や「脱炭素推進への遅れ」との批判もある。政策の持続可能性や財政負担に関する議論は今後さらに活発化しそうだ。