県庁いらないなら、県議もいらない! 議員定数を削減せよ

村上総務相が13日の衆議院総務委員会で「全国の自治体は300~400程度で済む」と発言したことが波紋を広げている。しかし、この発言をめぐる騒動こそ、日本社会が抱える「先送り主義」の象徴ではないか。自治体の統廃合は、少子化と財政問題の現実を考えれば避けられない議論だ。
今まで政治がこの問題に手をつけなかったことこそ問題なのであり、むしろ村上氏の発言は、ようやくこの国が真剣に未来を考え始める一歩と捉えるべきだろう。
「今から考えなければ間に合わない」 村上総務相が発言の趣旨を説明
村上氏は14日、国会で改めて発言の意図を説明し、「次の世代は生き残るために今から考えないと間に合わない」と強調した。立憲民主党の落合議員が発言の撤回を求めたが、「私の発言の趣旨は、人口減少に伴い自治体のあり方を今から議論していく必要があるということ」とし、撤回を否定した。
また、「人口30万人程度の市を基準とすれば全国で300ほどになる。そうなれば国と各市が直接対話する方が効率的であり、県庁の存在意義は見直される可能性がある」と述べ、道州制の必要性にも言及した。
SNS上の反応 「問題を直視しない方が無責任」
この発言に対し、SNSでは賛否が分かれたが、「今まで誰も言わなかったことをようやく指摘した」「人口減少が止まらないのに、自治体の数を減らす議論すらしない方がおかしい」といった支持の声が多く見られた。
「少子化で人がいなくなるのに、税金を湯水のように使って自治体を維持し続けるつもりなのか?」
「問題を先送りして、いざ財政破綻したときに『想定外』と言うのが目に見えている」
「この議論が出ると必ず『地方を見捨てるのか』という感情論になるが、むしろ地方の持続可能性をどうするかという話。誤魔化しはもう効かない」
こうした意見は、いずれも村上氏の発言を問題視するより、むしろ「なぜ今まで真剣に議論されなかったのか」という点に焦点を当てている。
一方で、「県庁不要論は唐突すぎる」「市町村の統廃合は必要だが、行政サービスの低下を招くのでは」という懸念もある。しかし、こうした批判に対し、「それなら今すぐ自治体の維持方法を提案しろ」「人口が半減しても『このままでいい』というのはありえない」と反論する声も多い。
識者の見解 「避けられない議論だが、説明が足りない」
専門家の間でも、この議論は必要だとする声が多い。
白鳥浩・法政大学大学院教授(現代政治分析) は、「『県庁はいらない』というのはショッキングな発言だが、単に人口減少に伴うものではなく、今後の統治システムをどう設計するかという視点で捉えるべきだ」とSNSで指摘する。その上で、「県庁が不要になるなら、その機能をどこに移すのか、現在の自治体業務を誰が担うのかといった具体的な説明が必要だ」と述べ、村上氏の説明不足にも言及した。
ある自治体関係者は、「行政のスリム化は避けられない。少子化による人口減少と税収減を考えれば、自治体の数を減らすことはむしろ必然」と指摘。「問題なのは、こうした議論を避けてきた政治の姿勢だ」と述べる。
「問題ないどころか、やるべき議論だ」——この国の現実を直視せよ
確かに、県庁いらないは極論だが、自治体再編という議論自体はまったく問題ではない。むしろ、今まで誰も正面から取り上げなかったことこそが問題なのだ。
日本の自治体は、戦後からほとんど構造を変えずに続いてきた。しかし、人口が半減する未来が確実に迫っているにもかかわらず、今まで何の対策も講じられず、「とりあえず現状維持」という無策が続いてきた。いよいよ人口減少が現実のものとなり、地方財政の破綻が見えてきた途端、「急な発言は無責任だ」「県庁がなくなったらどうするのか」と反発するのはあまりに稚拙だ。
現実を直視しなければならない。地方自治体が今のままで存続できるわけがない。少子化が進む限り、税収は減り、公共サービスの維持は不可能になる。これは「地方を見捨てる」のではなく、「地方を持続可能にするための議論」だ。市町村合併を視野に入れなければ、税金の無駄遣いは続き、将来世代にさらに重い負担を押し付けることになる。
もちろん国民の納得を得るためには、政治家にも定数削減などは率先してもらう必要がある。県庁がいらないという議論でいえば、県議だっていらないのだから。
そもそも、この国の政治はなぜこんなにも問題を先送りし続けるのか。少子化対策ひとつとっても、こども家庭庁を設立したのは2023年。莫大な予算をつけながら、出生率は上がらず、若年層の自殺率は過去最悪を更新し続けている。こんなものは20年は前から着手すべきものだったろう。いまもって、「考える」と言いながら、何の結果も出していない。村上氏の発言を批判する前に、「では今までの政治は何をしてきたのか?」と問うべきだ。
政治は「正しいことを言った者が叩かれる」場ではない。自治体再編の議論を避けるのは、今のシステムにしがみつく既得権益層や、補助金に依存する寄生虫的な自治体や業者を守ることにしかならない。むしろ、この種の発言に過敏に反応し、撤回を求める輩こそ、公金に群がる国の癌そのものではないか。甘言ばかり繰り返し、痛みを伴う改革を決断できない、国民にお願いできない政治家に存在として何の意味があるのだろう。国の未来から目を背ける輩は国民の代表からは即刻退場すべきである。
「地方を守る」という美名のもとに、非効率で不要な組織を温存し続けることこそ、若い世代にとっての最大の害悪だ。