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上履き廃止が広がっている 子ども・保護者のリアルな声と学校生活の変化とは?

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上履き廃止
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東京都内の公立小中学校で「上履き廃止」の動きが広がっている。これまで当たり前だった「上履き文化」だが、近年、履き替えの手間や保護者の負担軽減を理由に、一足制(校舎内でも外履きのまま過ごす制度)を導入する学校が増えている。一方で、衛生面の懸念や子どもたちの意識とのギャップも浮き彫りになっている。なぜ上履きがなくなるのか、そのメリットとデメリット、実際の声を交えて考察する。

上履き廃止が広がる背景

これまで日本の学校では、外履きから上履きに履き替える二足制が一般的だった。しかし近年、東京都港区や中野区、台東区、品川区などで「一足制」の導入が進んでいる。特に港区では、小学校19校中18校、中学校10校中7校がすでに上履きを廃止している(港区教育委員会による)。

この背景には、以下のような要因がある。

  • 持ち物の負担軽減:上履きを持ち帰る、洗う、乾かす手間が不要になる。
  • スペース確保:昇降口に下駄箱が不要となり、オープンスペースとして活用できる。
  • 避難時の安全確保:地震や火災などの災害時に、靴の履き替えなしに迅速に避難できる。
  • 混雑の解消:登校時の昇降口の混雑を防ぎ、スムーズに教室へ移動できる。

港区では、学校の敷地が狭く昇降口のスペースが限られていることや、校庭の人工芝化が進んでいることも、一足制を後押しする要因となっているという。

一足制のメリットとは?

(1) 保護者の負担軽減

保護者からは「上履きを持ち帰らない、洗わない、乾かない、忘れる……。週末の上履き洗いがなくなるだけでストレスが減った」という声もある。上履きを持ち帰ることを忘れたり、子どもが洗わずに親の負担になったりするケースは多い。特に共働き家庭では、一足制の導入によって育児負担の軽減が期待される。

(2) 学校の運営効率化

下駄箱の設置が不要になることで、昇降口が広くなり、学校施設の有効活用が可能になる。また、靴の履き替えがないことで、授業開始までの流れがスムーズになり、時間のロスが減るというメリットもある。

一足制のデメリットと課題

(1) 衛生面の懸念

一足制に対する最大の懸念は「校内の衛生環境」だ。特に小学生は床に座ったり、転がったりすることが多いため、靴に付着した汚れをそのまま持ち込むことへの不安を感じる保護者も多い。

「雨の日に通学すると、靴が泥だらけになる。そのまま教室に入るのは衛生的に気になる」と話す保護者もいる。また、動物の糞やゴミを踏んでしまった靴で過ごすことに抵抗を感じる家庭もある。

(2) 子どもたちの意識とのギャップ

一足制を導入する学校では、意外にも子どもたちの間で「上履きを履きたい」との声が多く上がっている。

THE TIME,の調査によると、保護者30人のうち「一足制に賛成」は19人だったのに対し、子ども30人のうち「賛成」は4人のみという結果が出たそうだ。

「靴を履き替えると気持ちが切り替わる」と考える教育関係者もおり、気分のリフレッシュのために上履きを推奨する意見もある。

神戸市の事例 一足制の伝統と見直しの動き

東京都では一足制の導入が進んでいるが、一方で神戸市ではその流れが逆転しつつある。

神戸市の学校は、もともと敷地の狭さや欧米文化の影響を受けて、一足制を採用してきた。しかし、床の清掃方法として行われている「油引き」という作業が教師の負担になっているため、一部の学校では二足制への移行を検討している。

「教室の床に油を引く作業が負担になり、働き方改革の観点から見直す動きが出ている」と神戸市教育委員会は説明する。

まとめ:上履きは必要か?

東京都内で広がる「上履き廃止」の流れ。一足制の導入によるメリットは多いが、地域の環境や子どもたちの意識によって課題も浮き彫りになっている。

一方で、神戸市のように、一足制を見直す動きも出てきており、上履きの有無が全国的な統一ルールではなく、地域や学校の特性に応じた対応が求められる。

これからの学校生活において、「上履き」は必要なのか。それとも時代とともに変化すべきものなのか。今後の動向を注視したい。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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