イオンフィナンシャルサービス株式会社HPより
イオン銀行は14日、同日付で小林裕明社長(57)を解任する人事を発表した。イオン銀の持ち株会社にあたるイオンフィナンシャルサービスも藤田健二社長(55)が引責辞任する。
金融庁から受けたマネーロンダリング(資金洗浄)対策の不備を巡る経営責任を明確にする。
イオンフィナンシャルサービスは「役員体制の早急な見直しが必要と判断した」と説明している。イオン銀行 代表取締役社長 小林 裕明、リスク管理本部長の穴田将人氏の両名を解任する人事も発表した。再発防止策の策定と実行を急ぐ。
イオン銀社長の後任にはイオンフィナンシャルサービスの木坂有朗取締役(50)が就く。木坂氏は1997年にイオンクレジットサービス(現イオンフィナンシャルサービス)に入社し、同社の海外現地法人のトップなどを経て経営企画本部長を務めるようだ。新トップのもとでガバナンス(企業統治)の立て直しを急ぐ。
イオンフィナンシャルサービスは白川俊介会長(61)が社長を兼務する。白川氏は金融庁検査局などを経て2023年にイオン銀とイオンフィナンシャルサービスの会長に就いた。
金融庁は24年12月、イオン銀にマネロン対策の不備で銀行法に基づく業務改善命令を出した。マネロンの可能性がある取引への対応で犯罪収益移転防止法に違反した恐れがあるほか、システム面での対応が不十分だった。金融庁は特に経営陣の対応の不備を問題視していた。
イオン銀は改善計画の策定や体制強化のため、外部の専門家らによる組織を24年12月26日付で取締役会の下に設けており、25年1月末に改善計画をまとめる見通しだ。親会社のイオンも外部専門家による第三者委員会を設けて調査に乗り出している。
金融庁の業務改善命令、イオン銀行における不備とは
金融庁は昨年12月、イオン銀行に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があるとして業務改善命令を発出した。具体的には、振込などの取引においてマネロンの疑いがあるかどうか適切に判断しないケースが少なくとも1万4639件に上る。また、不審な取引を検知してから同庁に届け出るまでの期間が長期化していた点も問題視された。
さらに、犯罪収益移転防止法に基づく体制整備が求められていたが、期限までに対応が完了しておらず、経営陣の関与も不十分と判断された。このような状況を受け、金融庁は厳しい処分を下すとともに、1月末までに改善計画の提出を命じた。
SNSの声、利用者の不安と批判
今回の一連の問題に対し、SNS上では多くの批判が寄せられている。「これだけの規模の金融機関がマネロン対策に不備があったことは信じ難い」「経営陣の首をすげ替えるだけでは信頼回復は難しい」「利用者への説明が不十分だ」といった意見が相次いでいる。
特に、利用者からは責任の曖昧さやグループ全体のガバナンスの在り方に対する不信感が広がっており、説明責任を果たすべきだとの声も多い。
企業の信頼回復に向けて、いま必要な視点
今回の問題は、金融機関におけるマネロン対策がいかに重要であり、それが不十分である場合の影響がどれほど大きいかを浮き彫りにした。ビジネスパーソンにとっても、ガバナンス対策や法令遵守の重要性を再認識する機会となったのではないだろうか。
このような事態を防ぐためには、徹底した内部監査の仕組みや、透明性の確保が不可欠である。また、経営者自身がリスク管理に深く関与し、問題が発生した際の説明責任を果たす覚悟が必要である。
イオンFSグループがいかにして信頼を取り戻すのかは、今後の改善計画の実行とその成果にかかっている。市場や利用者に対して誠実な姿勢を示せるかどうかが、グループ全体の未来を左右するだろう。