2024年の経営コンサルタント業の倒産件数が154件に達し、過去最多を更新した。
参入障壁の低さと顧客ニーズの高度化が、業界内で淘汰を加速させている。
倒産件数、過去最多の154件に
2024年、経営コンサルタント業の倒産件数が前年比7.6%増の154件に達し、過去最多を記録した。
東京商工リサーチの調査によると、2023年の143件を上回り、2005年の集計開始以降で最大となった。
この背景には、コンサル業界の参入障壁の低さと競争の激化がある。
さらに、顧客ニーズの高度化や専門性の欠如が業界全体の課題を浮き彫りにしている。
参入障壁の低さと淘汰の現実
コンサルティング業界は、1人でも少ない資金で開業できるため、新規参入が容易だ。
しかし、実績や特色を持たない企業が顧客を獲得するのは難しく、競争に敗れる事業者が少なくない。
特に中小規模のコンサルタント会社は、資本力や従業員数で大手と比べて劣り、経営の安定性を欠くケースが多い。
今回の倒産件数でも、資本金1億円未満の企業が全体の98.7%を占めており、業界全体の脆弱性が浮き彫りとなった。
倒産原因の66.2%が「不況型」
調査によると、2024年に発生したコンサル業の倒産の66.2%が「不況型」に分類される。
これは、販売不振やコロナ禍のしわ寄せなどが影響したものだ。
実例として、2024年5月に破産手続き開始決定を受けた北浜グローバル経営株式会社のケースが挙げられる。同社は中小企業向けの補助金獲得支援を業務の中心としていたが、事業拡大に伴う人件費の増加が資金繰りを圧迫し、最終的に約20億5300万円という多額の負債を抱えて倒産した。
この事例は、業容拡大に伴うリスク管理の難しさを象徴している。
高度化する顧客ニーズと専門性の必要性
顧客ニーズが高度化し続けるなか、コンサル会社にはより高度な専門性が求められるようになっている。近年では、事業再生やDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、M&A(企業買収・合併)支援、自治体からの補助金申請アドバイスなど、業務内容が多岐にわたっている。
この変化に対応できる実績やスキルを持たない企業は、顧客の信頼を失い生き残るのが難しい。
生き残りの鍵は差別化と実績
今後、コンサル業界の淘汰はさらに加速すると予想される。
顧客に価値を提供するには、他社との差別化や実績のアピールが不可欠だ。
属人的な要素が強い業界だからこそ、コンサルタント自身の経験や人脈、そして優れた人材の確保が企業の成否を左右する。
中小コンサルタントにとって競争環境は厳しいものの、特色あるサービスや高度な専門性を持つことで未来を切り開く可能性は残されている。
参照:「経営のプロ」コンサルの倒産が過去最多 顧客ニーズの高度化と求められる専門性、淘汰が加速(東京商工リサーチより)