文系学生にも高い関心
武蔵野大学は、文系理系を問わず全学部生を対象としたAI副専攻の2期生成果発表会を9月9日に開催する。
AI活用に必要な知識・スキルを習得するプログラムで、文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)」にも認定されている。AI人材不足が深刻化する中、専門分野の知識とAIスキルを兼ね備えた人材育成を目指している。
企業のAI活用を加速させる人材不足
近年、AI技術の進化は目覚ましく、企業活動においてもその活用は不可欠になりつつある。顧客データ分析による販売戦略の立案、需要予測に基づいた在庫管理の効率化、AIによる業務自動化など、様々な分野でAI導入が加速している。
しかし、それと同時に深刻化しているのがAI人材の不足だ。AIシステムの開発や運用には、高度な専門知識やスキルを持つ人材が必要となる。経済産業省の調査によると、2030年には最大で約12万人のAI人材が不足すると予測されており、企業にとってAI人材の確保は喫緊の課題となっている。
文理融合型のカリキュラムでAI人材を育成
このような状況の中、武蔵野大学では2021年度より全学部生を対象としたAI副専攻を開設した。これは、所属する学部学科での学びに加えて、AIに関する体系的な知識とスキルを身につけることができるプログラムだ。文系学生でもAIの基礎から応用までを学ぶことができ、AIツールやサービスを活用した企画立案や業務改善など、実践的なスキルを習得できる点が特徴だ。
カリキュラムは、プログラミングやデータ分析といった基礎的な内容に加え、AI倫理、AIと社会、データに基づいた課題解決など、幅広い分野を網羅している。AIを単なる技術として捉えるのではなく、倫理観や社会との関わりを意識しながら活用できる人材育成を目指している点が、大きな特徴と言えるだろう。
専門分野とAIの融合で広がる可能性
学生たちは、これらの学びを通して、それぞれの専門分野でAIを活用する具体的なイメージを膨らませている。例えば、社会学部の学生がAIを用いた消費者行動分析に基づいたマーケティング戦略を立案したり、文学部の学生が自然言語処理技術を活用した文章作成支援システムを開発したりするなど、その可能性は無限に広がっている。
ビジネスに直結する成果にも期待
9月9日に開催される成果発表会では、学生たちは自ら設定したテーマに基づいてAIを活用したプロジェクトの成果を発表する。企業のマーケティング課題解決や、社会問題解決に繋がるAIサービスの提案など、ビジネスに直結するテーマも多く、企業関係者にとっても大きな関心を集めそうだ。
武蔵野大学のAI副専攻は、AI人材の育成という社会的な要請に応えるだけでなく、学生一人ひとりの可能性を広げ、未来のキャリアを切り拓く力となることを目指している。AI時代において、文系・理系といった枠にとらわれず、AIを活用できる人材の重要性はますます高まっている。同大学の取り組みは、今後の高等教育におけるAI教育の在り方、そして企業におけるAI人材育成のモデルケースとしても注目されるだろう。