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サンリオで常務取締役に不適切報酬受給の疑い 複数年で数億円か、内部通報で発覚

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サンリオ【公式】 instagramより

サンリオは4月16日、常務取締役1人が、指名・報酬諮問委員会で決定された報酬額とは別に、自らが執行を担当するグループ子会社から追加の報酬を受け取っていた疑いがあると公表した。内部通報を受けて社内調査を進めた結果、複数年にわたり合計数億円の追加報酬を得ていた疑いが発覚したという。会社は当該取締役のすべての職務を停止し、利害関係のない独立した専門機関の支援のもとで詳細調査を始めた。さらに、グループ全体の再発防止策の策定と公表も進めるとしている。

 

内部通報が暴いた「別枠報酬」の疑い

今回の開示で目を引くのは、問題の入り口が内部通報だった点である。取締役報酬は本来、会社が定めた手続きと統制の中で決まるべきものであり、サンリオ自身も、指名・報酬諮問委員会での審議を経て報酬の透明性と客観性を確保する仕組みを掲げてきた。その枠外で、担当子会社から別途報酬が流れていた疑いが事実なら、単なる役員の倫理問題では終わらない。親会社の報酬統制、子会社管理、そしてグループ全体の内部統制が、同時に問われる事案になる。

サンリオの役員報酬方針では、業務執行取締役の報酬は固定報酬、特別賞与、株式報酬で構成され、個人別の報酬額は取締役会で決議した方針に基づき、代表取締役社長が人事本部担当役員らと協議したうえで、指名・報酬諮問委員会の答申に従って決定するとされている。2025年6月の株主総会では、取締役の金銭報酬限度額を年額6億円以内、譲渡制限付株式付与のための報酬を別枠で年額2億円以内とすることも決議済みである。今回の疑いは、その正式な決定手続きとは別のところで資金が動いていた可能性を示す。問題は金額の大きさだけではなく、報酬決定の正規ルートを外れていた疑いにある。

ガバナンスを前面に出してきた会社で起きた異変

サンリオは近年、統治体制の整備を対外的にも強く打ち出してきた。公式サイトでは、2021年6月に任意の指名・報酬諮問委員会を設置し、委員長を社外取締役が務め、委員の過半数を独立社外取締役が占める体制だと説明している。取締役会では中期的な経営の方向性や大型投資、グループ重大リスクへの対応、役員人事などを扱い、2025年3月期には19回開かれた。2025年6月には監査等委員会設置会社へ移行し、監査・監督機能の強化も掲げていた。

その意味で今回の事案は、制度があるのに防げなかったのか、制度はあっても運用が及ばなかったのか、という点を厳しく突きつける。サンリオは、内部監査室が同社とグループ会社の業務執行を調査し、その結果を取締役会と監査等委員会に報告すると説明している。監査や報酬審議、リスク管理の線が何本も引かれていたにもかかわらず、内部通報がなければ今回の疑いが表面化しなかったのだとすれば、統制の実効性そのものが次の論点になる。

 

好業績のただ中で噴き出した不祥事

業績との落差も大きい。サンリオの会社概要によると、2025年3月期の連結売上高は1449億400万円だった。さらに2026年3月期第3四半期累計の決算説明資料では、連結売上高1431億円、営業利益623億円と、累計第3四半期として過去最高を記録したうえ、通期見通しを売上高1906億円、営業利益751億円へ上方修正していた。キャラクターIPの多面展開が実を結び、北米、欧州、アジアを含めて事業が拡大していた最中だっただけに、今回の疑惑は業績の勢いとは別の場所で経営の土台を揺らす。

サンリオの事業は、商品販売だけでなく、ライセンス、デジタルコンテンツ、テーマパーク、教育、スポーツ関連まで広がっている。グループ子会社の役割も大きく、海外子会社CEOを兼ねる役員も少なくない。そうした企業構造の中で、親会社役員と子会社報酬の線引きが曖昧になれば、統治のほころびは個人の問題では済まなくなる。今回の開示文が、単に調査開始だけでなく「グループ全体における再発防止策の策定と公表」に踏み込んだのは、その危機感の表れと受け止めるのが自然である。

焦点は「誰が知っていたか」と「どこで止められたか」

今後の焦点は明確である。第一に、追加報酬の支給はいつ始まり、どの子会社で、どのような名目でおこなわれていたのか。第二に、親会社と子会社のどの管理ラインがそれを把握していたのか、あるいは把握できなかったのか。第三に、報酬審議、内部監査、監査等委員会、コンプライアンス体制のどこで異常値をつかめなかったのかという点である。会社は現時点で氏名や詳細な経路を開示しておらず、ここから先は独立した専門機関の調査結果が記事の軸になってくる。

サンリオは、ガバナンスのページで「指名・報酬プロセスの透明性」を今後の課題として挙げ、より具体的な評価基準の説明や委員会での議論状況の取締役会への定期報告に取り組むとしていた。そこへ飛び込んだのが、まさに報酬をめぐる疑惑だった。制度の看板と現実の運用の間にどれほどの隔たりがあったのか。キャラクター企業の明るい表層とは切り離し、上場会社の統治として厳しい視線を浴びることになる。

 

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ライター:

東京都出身。一日中ネットに張り付いている。

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