
千葉市花見川区幕張町の国道14号で3月27日夕、横断歩道を渡っていた小学2年生の男児(8)が車2台にはねられ、死亡した。TBS NEWS DIGやFNNによると、事故は午後6時半ごろ発生し、男児は信号機のある横断歩道を渡っていたところ、直進してきた車にはねられ、その後、隣の車線を走っていた別の車にもはねられた。警察は車を運転していた2人から事情を聴き、当時の状況を調べている。
千葉・幕張の国道14号で何が起きたのか
男児は道路を無理に横切ったのではなく、信号機のある横断歩道を渡っている最中に命を落とした。
テレビ朝日によると、現場は右折専用レーンを含む4車線の国道で、JR幕張駅から約600メートルの場所。
生活道路ではなく、交通量の多い幹線道路だった。
横断歩道と信号があれば安全だという前提が、現実の道路では簡単に崩れることを示した。
横断歩道なのに子どもは守られなかった
多車線道路では、1台目の車が歩行者を見落とした時点で危険が連鎖しやすい。
前方の車に視界を遮られ、隣の車線を走る車が横断中の歩行者に気付くのが遅れることもある。
事故原因は今後の捜査を待つ必要があるが、横断歩道上で、しかも複数車線にまたがって事故が起きたという事実からは、道路構造の危うさが浮かび上がる。
春先に増える子どもの歩行中事故
警察庁は春の全国交通安全運動にあわせた分析で、歩行中の死傷者は7歳が最も多く、児童の歩行中の死亡・重傷事故は4月から6月にかけて増えるとしている。
さらに通行目的別では「下校」時の事故が最も多い。
今回の事故も夕方に起きており、子どもが一人で移動する時間帯と車の流れがぶつかる危険な時間に起きた。
新学期を前にしたこの時期こそ、通学路の安全点検が形式で終わっていないかが問われる。
「横断歩道があるから安心」という発想の限界
横断歩道をめぐる問題は、今回の現場が信号機付きだったとしても無関係ではない。
JAFの調査では、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている場面でも、一時停止する車はなお十分とは言えない水準にとどまっている。
信号の有無は違っても、横断歩道に歩行者がいても車側の警戒が緩むという現実は共通している。
横断歩道という設備があることと、歩行者優先が本当に機能していることは別である。
問われるのは子どもの注意力ではなく道路の設計
多車線道路に面した横断歩道では、信号時間の設定、右左折車との分離、待機スペースの確保、減速を促す道路構造まで含めて初めて安全が成立する。
子どもの注意力に責任を背負わせる発想では、同じ事故は繰り返される。
必要なのは、横断歩道があることではなく、子どもの命を守る仕組みとして機能しているかを点検することだ。
通学路の安全対策は「設置済み」で終わってはならない
今回の事故は、ひとつの交差点で起きた不幸な出来事として処理してよいものではない。
横断歩道があり、信号もあり、それでも子どもが守られなかった。
この事実は、通学路の安全対策が「あるかどうか」で止まり、「本当に守れているか」の段階まで進んでいないことを示している。
新学期を前に学校、自治体、警察が見直すべきなのは、注意喚起の言葉ではなく、子どもが一人で歩いても帰れる道路になっているかどうかである。



