
不正を知りすぎた事務局員の末路
東郷氏(本名角本裕子)は2020年12月から灘民主商工会の事務局員として勤務。
会員の税務申告や助成金申請を支援する傍ら、党活動にも従事した。2023年4月の兵庫県議選(神戸市灘区)では共産党公認候補として6516票を獲得したが落選した。選挙直後、「県議候補として共産党に出向したが選挙活動を怠った」という理由で解雇された。
東郷氏が主張する真の理由は、組織の不正を知りすぎた口封じだ。持続化給付金の申請で灘税務署収受印を透明フィルムで偽造し確定申告控えをねつ造した疑い、神戸市家賃支援金の不正受給、毎月給与明細を2枚発行して源泉所得税と社会保険料を脱税する工作など。証人尋問で事務局次長が「毎月2枚発行、自分も受け取っていた」と認めた。これを知った東郷氏を排除するため、党と民商が連携したと見られる。
裁判で一部勝訴も実態は支払い拒否
2023年6月、神戸地裁に不当解雇無効確認と慰謝料請求の訴訟を提起。2024年9月25日の判決で東郷氏が完全勝訴した。
裁判所は「解雇理由に客観的合理性と社会通念上の相当性がない」と認定し、地位確認とバックペイ約39万8000円+遅延損害金を命じた。 しかし被告の灘民主商工会は控訴し、支払いを拒否中。別件の党除籍処分無効確認訴訟では地裁・高裁で敗訴、現在最高裁に上告している。
勝訴判決が出ても組織は責任を認めず、強制執行段階に移行。内部告発者が法的に守られにくい実態が浮かぶ。
住所特定がもたらした家族への脅威
2026年2月24日、夫が「日本共産党関係者に自宅住所が特定された」と投稿。
東郷氏は即座に引用し、家族の安全を強く否定した。リプライ欄には「警察に相談を」「防犯カメラ設置を」「交通事故装いの可能性も」と支援と警戒の声が殺到。なりすましアカウントも急増した。 東郷氏夫妻はすでに警察に相談済みで、公安や法務局人権窓口にも連絡。過去の党員除籍事例ではハラスメントがエスカレートしたケースもあり、今回も「自殺や放火をほのめかすような嫌がらせ」と受け止められている。X上では「共産党の報復体質が露呈」との批判が広がる。
民主集中制が育む危険な排除体質
日本共産党は党規約で民主集中制を組織原則としており、下部組織や党員は上部の決定に絶対服従しなければならない。
異論や批判は「分派活動」とみなされ、容赦なく除籍・除名処分が下される仕組みだ。この原則は党の統一性を保つ一方で、内部の異論を封殺しやすくしている。 東郷ゆう子氏のケース以外にも、近年こうした処分が相次いでいる。
2023年、党首公選制を主張し書籍を出版した元編集主幹の松竹伸幸氏は、「党内に派閥・分派はつくらない」という規約に反するとして京都南地区委員会で除名された。再審査請求も党大会幹部団により却下され、現在は裁判で処分の違法性を争っている。
また2025年、福岡の日本民主青年同盟(民青)で活動していた30歳と26歳の女性専従職員2人が、民青幹部の「パワハラ言動」や党専従職員の「月90時間超の違法残業・残業代ゼロ」を告発したところ、「反乱分子」扱いされ除籍処分を受けた。党側は「職業革命家」として労働基準法の適用を否定する姿勢を示すが、告発者らは「党内に人権や労働者の権利はない」と実名でメディアに訴えている。
さらに神谷貴行氏(元漫画評論家)は2024年に不当除籍・解雇され、現在東京地裁で地位確認とパワハラ慰謝料を請求中。党側は「党員でなくなれば職員も当然辞める暗黙の合意があった」と主張するが、原告側は一方的な生活破壊だと反論している。 灘民主商工会はこうした党の下部組織として、選挙時の動員や資金集めを担ってきた。
東郷氏のように不正を知りすぎた人物を「使い捨て」にし、除籍後に報復的な対応を続ける構図は、党の歴史的パターンと重なる。裁判で不正工作の一部が認定されても、組織は反省や謝罪をせず対立を長期化させる。 この体質は、民主主義社会において内部告発者を守る外部的な仕組み(公益通報者保護法の実効性など)が機能しにくいことを象徴する。党内の「内部問題は党内で解決」という原則が、被害者の孤立を招き、看過できない危険性をはらんでいる。



