
物流のプロフェッショナルとギャルという、一見して水と油にも思える両者が手を組んだ。日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)と合同会社CGOドットコム(以下、CGOドットコム)は、JR貨物の制服を再利用したお守り型キーホルダーを制作し、これを用いた体験型イベント「ギャル神社 by JR貨物 〜あなたの『好き』、届けます。〜」を13日から東京・渋谷で開催する。堅実なインフラ企業がZ世代の感性を取り込み、新たな価値創造に挑む試みとして注目される。
物流の「届ける力」とギャルの「アゲる力」を融合
CGOドットコムの発表によると、本イベントは13日(金)から15日(日)までの3日間、「マイラボ渋谷」にて開催される。
核となるプロダクトは、JR貨物の制服を素材としてアップサイクルした「お守り型キーホルダー」だ。全国へ貨物を運び続けてきた制服には、物流の現場で培われた「届ける」という実直な物語が染み込んでいる。今回のプロジェクトでは、その物語を「誰かの想いを運び、届けてきた時間」として再解釈。バレンタインシーズンに合わせ、個人の「好き」という感情を後押しするアイテムへと昇華させた。
会場には「ギャル神社本殿」と称するフォトスポットが出現し、ピンクの鳥居やデコミラーが設置されるほか、「愛のアゲ⤴みくじ」や、ギャル巫女による祈願体験なども用意されるという。物流が持つ「想いを届ける力」と、ギャル特有の「人の気持ちをアゲる力」を掛け合わせ、若者の街・渋谷で共感型の体験を提供する狙いだ。
「ギャル式ブレスト®」が生んだ化学反応
JR貨物にとって、BtoB事業が中心であるゆえの消費者、とりわけZ世代との心理的距離は積年の課題であった。この壁を打破すべく導入されたのが、CGOドットコムが提唱する「ギャル式ブレスト®」だ。
同社によると、2024年9月に実施されたこのブレインストーミングでは、「敬語禁止」「あだ名呼び」といったルールのもと、JR貨物の社員とギャルたちが膝を突き合わせた。「運びながらビールを醸造するコンテナ」や「踏切待ち時間の音楽」など、常識にとらわれないアイデアが飛び交う中から、「Z世代との共創によるアップサイクル商品」という着想が生まれたという。
そこから約1年半。定量・定性リサーチや試作を重ね、今回の「ギャル神社」という形に結実した。伝統企業が自己変革を迫られる中、外部の、それも全く異質の文化を持つパートナーと共に、前例やマイナスを疑うプロセスを経たことは、組織文化にも少なからず波紋を広げたことだろう。
担当者太田氏と総長バブリーが語る「共創」の意義
プロジェクトを牽引したJR貨物の担当者・太田氏は、固定観念にとらわれない会議の成果を強調する。 「自由に意見を共有でき、Z世代との共創プロジェクトができたことは大きな成果。文化の発信地である渋谷でイベントを行えることをうれしく思います」
一方、CGOドットコムの総長・バブリーもまた、物流の本質とギャルマインドの通底を見出している。 「物流という一見“ギャル”からは遠い業界に思えるJR貨物さんとの共創は、私たちにとっても大きなチャレンジでした。でも、『誰かの大切なものを運ぶ』という物流の本質は、実は『誰かの気持ちをアゲる』というギャルマインドと深く通じていたんです」
バブリーはさらに、「このプロジェクトは単なる商品開発を超え、新しい価値体験の創出につながった」と述べ、イベントを通じて多くの人に勇気と楽しさを届けたいと結んだ。
犬飼新社長率いるJR貨物が踏み出した、このポップで大胆な一歩。それは単なる廃材利用のエコロジー活動にとどまらず、企業が社会とどう関わり、どう想いを伝えていくかというコミュニケーションの変革でもある。渋谷の真ん中でギャルと貨物が交錯するとき、どのような新しい風景が見えるのか。その熱量を現地で確かめたい。



